No. 923. アマゴイルリトンボの観察.2023.6.23.

昨日は,天気予報がいい方に外れ,わずかな明るい曇り空の中,アマゴイルリトンボの姿を見ることができました.天気予報によると,今日はひょっとしたら雨と雨の間に挟まれた曇り空が広がる可能性がありました.せっかくここまで来ているのでダメ元でもう一度アマゴイルリトンボの観察に行くことに決めていました.夜中にはそこそこの雨が降ったようで,朝起きると地面や草木がびっしょり,でも空は雲の切れ間から青空が見られ,日も差しています.またいい方に予報が外れるかもしれません.現地に着くと青空がありました.


▲雨上がりの青空です.今日はうまくいくかな...▲

池面ではもうクロイトトンボが飛び回り,産卵もしていました.ただ空には雲が広がり始めました.ねずみ色のやや厚い雲です.


▲クロイトトンボの産卵.▲

アマゴイルリトンボはまだ池面には出ていないようです.ただ,岸近くのヨシの植生の中から,羽化直後のアマゴイルリトンボが次々と飛び立つのを観察しました.


▲池の方から羽化して次々と飛び立ってくるアマゴイルリトンボ.▲

こうなっては,羽化しているところを見たくなるのは当然です.しかしこれがなかなか見つかりません.そっと岸辺の草むらをのぞき込んで約10分,やっと羽化殻のそばに止まるアマゴイルリトンボの羽化個体を見いだしました.ただ,草の中なので写真には障害となる草があります.でもそれが実際の姿なので,草越しに記録をとりました.


▲羽化しているアマゴイルリトンボ.▲

だんだんと時間が過ぎていきますがアマゴイルリトンボは水面には出てきません.空はだんだんどんよりとした感じになってきつつあります.そこで,昨日のように草の中にいるアマゴイルリトンボを見に行ってみました.昨日より少ない感じはしましたが,それでもそこそこ飛んでいました.


▲アマゴイルリトンボのオスたち.下はまだ未熟なのだろう,淡色部が白い.▲


▲アマゴイルリトンボのメス.▲

10:00過ぎ,繁殖活動は,やはり曇り空では無理なのかと思い,今度は少し池から離れた草地をのぞいてみました.すると,交尾態のカップルが止まっていました.繁殖活動をやっているようです.


▲アマゴイルリトンボの交尾.10:08.▲

やがて交尾は解かれ,ペアはタンデム状態で池の方に向かって飛びました.これは途中で見失ってしまいましたが,飛んだ方向と池に浮かぶ産卵基質(枯れた水生植物の葉や茎)の存在する場所に目星をつけ,行ってみました.すると,そこには産卵に来ているアマゴイルリトンボのペアが複数飛んでいました.


▲池に現れたアマゴイルリトンボのペアたち.▲

こうなれば,産卵の観察も時間の問題だと思いました.ところがです.なかなか産卵を始めません.待つしかないので待っていると,葉に止まっているペアがだんだんと水面の方に降りていきます.そしてやっと産卵を始めました,が,私がほんの少し動くと,それも1~2mも離れた位置でです,さっと産卵をやめ飛び上がって,また葉に止まるのです.何度やっても同じです.近づけないどころか動けないのです.非常に敏感なトンボです.モートンイトトンボも産卵メスは非常に神経質ですが,それよりもっと神経質にこちらの動きに反応します.ねらいをつけるペアを変えても同じです.


▲かなり離れたところで,こんな向きのままシャッターを切るしかなかった.▲

12:00まで約2時間,とにかく息詰まる攻防戦という感じで,相手を替え場所を変えて産卵の写真撮影に挑みました.警戒してか植生の中で産卵するし,きれいに横からなんていうのは無理でした.それでも何回かはシャッターを切るチャンスがありました.


▲ほとんど,待っている立ち位置から撮影したものである.▲

この歩哨姿勢は水面ギリギリにカメラを置いて撮影するのが一番です.ただ一回だけそのチャンスに恵まれました.


▲やっとねらったような写真が撮れた.▲

今までの撮影でこんな難敵は初めてでした.ここはカエルが多いので,それを警戒して,ちょっとした異変でも飛び立つように学習しているのか,あるいは選択が働いているのかもしれませんね.

さて,今日は晴れていた時間帯があったので,曇った後も,メスたちが産卵に出てきているようでした.コサナエがいました.オスが数頭,メスは2回産卵に来ました.


▲コサナエのオスとメス.メスは産卵に来たもの.▲

それから,エゾイトトンボを見つけました.ルリイトトンボとエゾイトトンボがいましたので,そのほかにもいるかもしれません.アマゴイルリトンボは一応来た目的を達しましたが,その他のトンボが気になります.帰りにもう一度寄るつもりです.


▲エゾイトトンボがいた.▲

なお空気が湿ってきて気温が下がったので急いで車に戻りましたが,途中で本降りの雨に遭い,びしょ濡れになりました.北のトンボたちは,このような隙間的好天に反応して,繁殖活動をしているのですね.朝晴れたのが良かったです.繁殖活動を始めてしまってから曇ってきたので,中断はせず,厚い雲の下で産卵活動を継続していました.

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