No. 902. 公園まわり.2023.5.3.

今年は3月が異常に暖かく,そのせいか成虫越冬種などは早くから活動を始めていました.しかし4月に入って寒さがぶり返し,場所によって微妙に羽化のタイミングが異なるため,コサナエ属をはじめとした春一番のトンボたちが,早く羽化したところもあれば,遅くなってしまったところもあるといった感じになりました.

例えば例年の観察場所でフタスジサナエの羽化を4月9日に見て早いと感じましたが,そこはもともと早い目に羽化する場所で寒さがぶり返す前に羽化を終えてしまったのす.それに対し,例えば昨日のオグマサナエの観察場所では,例年の羽化がおそらく遅いのでしょう,その結果,4月の寒さによって羽化が遅らされたので,成熟前の個体ばかりといった状況になったのだと思います.

さて,今日は3カ所の公園を回る予定で出かけました.最初に半月ぶりに先日ヤマサナエの羽化を見た公園に行きました.公園のトンボたちの状態はそのときと様変わりしていました.まず驚いたのがフタスジサナエがたくさん活動していたことです.ヤマサナエを見た日には,実はコサナエ属のトンボを探すのが目的でした.そのときには全く姿がありませんでした.

そのときには,4月9日の羽化を見て今年は早く出てくると感じてその感覚で,もうコサナエ属は羽化しているはずだと思っていましたから,この公園にはコサナエ属のトンボがいないというふうに(気持ちの中で)判断してしまったのです.

ともかく,この公園にはフタスジサナエがたくさんいることが分かりました.一方で,それ以外のコサナエ属は見当たりませんでした.


▲たくさんいたフタスジサナエのほんの一部.▲

先日ヤマサナエの羽化を見た流れにもたくさん止まっていました.また1頭のメスもそこで産卵していました.


▲公園に造られた流れで産卵していたフタスジサナエのメス.▲

フタスジサナエは,その他の場所でも産卵活動が見られ,全部で5回観察しました.ただ結構敏感なのと,発見が遅くすぐに飛び去ってしまい,ほとんど写真になりませんでした.


▲フタスジサナエメスの産卵.体をねじって卵をまき散らす直前.▲

さて,フタスジサナエがたくさんいたことにしばらく心を奪われていましたが,それ以外にもトラフトンボ,ヨツボシトンボ,シオカラトンボ,クロイトトンボなどが活動をしており,ヤマサナエも未熟な個体が飛んでいました.


▲トラフトンボのオスたち.7,8頭は飛んでいたと思う.▲

トラフトンボはたくさん飛んでいて嬉しく思いました.実は例年トラフトンボを観察していた池が浚渫され改修されて,完全にだめになってしまったのです.新しい観察場所を探さねばと思っていたので,ラッキーでした.ただ今日交尾態で飛ぶことを期待したのですが,それはかないませんでした.


▲ヨツボシトンボ.全部で5,6頭はいたと思う.▲


▲産卵するシオカラトンボのペア.▲


▲まだ若いヤマサナエ.流れのそばの草原に降りてきていた.▲


▲羽化直後のクロイトトンボ.羽化殻が横にある.▲

ヨツボシトンボが飛び,シオカラトンボが産卵し,クロイトトンボはもう数え切れないほど飛び,ヤマサナエが樹上や広場を飛ぶ,本当にいいところです.

さて,ここに長居しすぎて,2つめの公園には行くのをやめ,昼からは3つめの公園に行きました.ここは神戸市内の公園で,やはり先日コサナエ属を探しに行って全く見られなかったところです.最初にややこしく書いたように,ここも来るのが早すぎたのではないかと思ったからです.

公園に着いて,歩き回りましたが,ここはコサナエ属がなかなか見つかりませんでした.やっとのことで,合計4頭のコサナエ属を見つけました.なんとタベサナエでした.タベサナエは,兵庫県下ではあちこちにたくさん見られるトンボですが,神戸市域内には非常に少ないのです.私などはもう二十数年以上ぶりの神戸市内での出会いでした.


▲No.10:タベサナエ.神戸市域で二十数年ぶりに出会った.▲

あと,歩いていたときに,自動車?で踏み潰されてぺちゃんこになったペアのコサナエ属の遺体を見つけました.


▲車に踏み潰されたペアのコサナエ属.▲

潰れているので種名を確認しづらかったですが,わずかに前肩条が見え,二本の黒条も見えるのでフタスジサナエのようです.この公園にはコサナエ属の数は非常に少ないですが,フタスジサナエとタベサナエがいるようです.

ということで,今日の観察を終えました.

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