今日は,ヤブヤンマとネアカヨシヤンマを見に行きました.毎年行っているところですが,今年は状態がよくないので,今日だめなら今年はもう行かないことにしようと決めて行きました.現地に入ったのが10:30.11:00を過ぎた頃,ヤブヤンマのオスが入ってきて木の枝に止まりました.ヤブヤンマはいることはいるようです.
▲最初に入ってきたヤブヤンマのオス.▲
先日も書いたように,ヤブヤンマのオスは,お昼前後メスが産卵に来そうなところに止まる習性があります.この個体が飛び去った後,1時間ぐらいして次の個体が入ってきました.その後次々に出たり入ったりして,のべ6頭(翅の破れや体斑の微妙な違いから見て実際は3頭だと思う)入ってきました.
▲次々に入ってきては止まるヤブヤンマのオス.▲
一番下の写真の個体は,1時間近くじっと止まったままの状態でした.あまり私の存在を気にしないようで,一度飛んでもまた近くに止まりました.カメラの至近距離で撮影しても逃げませんでした.
▲300mmレンズの最短撮影距離で撮影.▲
このようにオスは次々と入ってきますが,結局メスは産卵に入ってきませんでした.雨の後の晴れ3日目のジンクスかもしれませんね.ヤブヤンマを待っている間,水たまりの中ではシオカラトンボとオオシオカラトンボが「激しく」飛び回っていました.ざっと見たところでシオカラトンボは50頭以上います.オオシオカラトンボが産卵を始めると,シオカラトンボが激しく干渉します.
▲オオシオカラトンボが産卵を始めた.オスが警護している.▲
▲産卵メスに激しく干渉するシオカラトンボたち.▲
シオカラトンボは産卵するオオシオカラトンボのメスに体当たりします.おそらくシオカラトンボのメスだと思っているのでしょう.オオシオカラトンボのオスは必死で警護しますが,多勢に無勢,メスの産卵を守ることができません.
▲シオカラトンボはあちこちに止まり,あちこちで交尾産卵をしていた.▲
▲ここでもオオシオカラトンボのメスに干渉している.▲
この水たまりではウスバキトンボも3頭ほどオスがメスを待って飛翔しています.ウスバキトンボの繁殖活動というのは,その個体数の多さから考えると,意外と見る機会が少ないものです.ここでは,暑い日向をものともせず,私が来たときからずっと飛んでいます.メスは3回ぐらい入ってきて交尾態になりました.
▲ウスバキトンボの交尾.メスは一切羽ばたかない.▲
ウスバキトンボは,暑くなってくると,腹部を下方にだらんと下げて飛ぶようになります.時々木の枝陰に止まることもありますが,ほとんど日向を飛び続けています.今日は35℃ぐらいあったはずです.この姿勢は,腹部挙上姿勢や腹部下垂姿勢に共通する,体温調節の意味があるのかもしれません.さすが熱帯地方で海を渡るトンボです.すべて飛びながら問題を解決しているみたいです.
▲腹部を下げて飛ぶ,腹部が赤くなったウスバキトンボのオス.▲
日陰ではリスアカネがもう活動していました.ギンヤンマも産卵に入りましたが,シオカラトンボに追われ続けて嫌気がさしたのか,すぐに飛び去ってしまいました.
▲リスアカネが日陰で繁殖活動を始めている.▲
▲ちょっと入ってきたギンヤンマだったがすぐに姿を消した.▲
時刻は14:00を過ぎました.もうヤブヤンマは産卵には来ないでしょう.長く止まっていたオスも姿を消しました.ここからはネアカヨシヤンマの産卵タイムです.少し場所を移動し,ネアカヨシヤンマを待つことにしました.すると時計で計ったかのように,ネアカヨシヤンマがすぐに産卵に入ってきました.しかし今日もまた近づかせてくれません.それでも追いかけ回しますと,一度姿を消しました.15:00少し前,今日の終了予定時刻が近づきました.本当に帰ろうとしたとき,再び産卵に入ってきました.敏感で,離れたところから写真を撮るしかありません.
▲遠くから撮影したネアカヨシヤンマの産卵.4mぐらい離れている.▲
近づいたら飛んでしまうのですが,一回だけ飛び立ったヤンマが私の方に向かって飛んできました.以前もあったのですが,人間の陰を隠れ蓑にするような行動です.私の足下に止まりました.真下です.
▲足下に止まったネアカヨシヤンマ.真上から見下ろしている.▲
▲ここは日向,私の陰が分かるであろう.少し体を傾けて撮った.▲
人間が近づくと逃げるのですが,かたまったようにじっとしていると向こうから陰を求めてやってくる.トンボって本当に変な生き物です.人間を人間と認識していないですね.動くと,その動きが危険な生き物として認識させているのでしょう.
まだ追いかけ回してもよかったのですが,ネアカヨシヤンマの産卵は同じような姿勢ばかりなので,記録がとれたことと,実は暑さでもう体力的に限界が近かったので,ここまでとしました.