■見分けのチェックポイント
羽化殻全長19mm程度.頭部の幅に比べて腹部の幅がかなり広く見える.側棘は第8,9腹節にあり小さい.背棘は第3−10腹節にある.第3,4腹節のものはまっすぐ立ち上がるが,第5腹節で後方に曲がり始め,第6腹節以降は背棘の背側が稜となる.第10腹節の背棘は稜が後方に伸びた感じのものである.肛上片先端は肛側片先端とほぼ同じ位置にくる.尾毛は肛側片の約1/2の長さである.第9腹節の後縁幅が第10腹節とほぼ同じになるくらい急に幅狭になるので第10腹節と肛錐が一体となってよく目立つ.側刺毛は5本程度,腮刺毛は6−8本程度である.
■分布と類似種
本州.四国,九州の記録は,ほとんどが飛来であって定着はしていないものと思われる.鹿児島県では幼虫や羽化殻が採集されている.上記写真の標本は鹿児島県産である.腹部が頭幅に比べて幅広い形態は,ベニトンボ,コフキトンボ,ヒメキトンボなども同様であるが,これらとは,背棘配置,側刺毛数を調べれば区別できる.また背棘配置がコフキオオメトンボと同じであるが,側刺毛数がコフキオオメトンボは9−11本と多い.
■生態
成虫は夕方になると道路上など低い位置を群飛する.筆者は幼虫をまだ採集したことがない.杉村ら(1999)によると,平地の池,アダンやマングローブの茂る海岸近くの池などに見られるという.