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県外へ出かけたときは「観察記」ではなく「エッセイ」にしていました.それはできるだけ多くの種類のトンボたちに出会い,観察というよりは写真撮影が目的の旅行だったからです.しかし今回は特定の種類にターゲットを絞って,その生態観察を主に行うための訪問です.
■ハネビロトンボ Tramea virginia (Rambur, 1842)
まずはハネビロトンボです.ハネビロトンボは鹿児島県には広く分布しているようで,地元の人が言うには,極めて普通のトンボらしいです.多分こちらでいうところの「コシアキトンボ」ぐらいの位置づけなのではないでしょうか.前回奄美に来たときに鹿児島県の方がトンボを見に来られていたのですが,ハネビロトンボにはカメラを向けることすらほとんどしなかったですから.
しかし私にとっては異国のトンボであることに変わりはありません.特に放卵時に,タンデムで飛来したペアのオスがメスを放してメスが単独で打水し,その直後にまたオスがメスを捕まえてタンデムになるということを繰り返すという珍しい習性を持っていますので,これを記録したいと長年思っていたのです.ですから今回の訪問では,これを記録することが最優先事項でした.
ハネビロトンボのタンデムは,池を高速で縦横に飛び回りながら産卵するので,どこで打水・放卵をするか全く分かりません.35℃の高温のなか日陰に座って観察していると,そんなハネビロトンボにも,打水する好みの場所があることに気づきました.浮葉植物だけでなくそこに藻が浮かんでいるような場所です.それが分かればそこで根気強く待つのみです.
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▲池を縦横に飛び回るハネビロトンボのペア.▲
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▲放卵直前のハネビロトンボペア.メスの腹端には黄色い卵塊が見える.▲
放卵する前には,水面の低い位置で一瞬止まるような動きをするのでそれと分かります.しかしそれをカメラでとらえるのは難しく,止まった瞬間にカメラを向けてピントを合わせてシャッターを切ってもだいたいが手遅れで,ジャストのタイミングになるのは至難の業であることが分かりました.ただ救いは,かなりの数産卵に来てくれたことでした.何度かやっているうちに反応するコツがつかめました.それは止まる前からトンボを追いつづけることでした.
しかし多くの場合は単なる通過で,それを何回もやられるとこちらの集中力が切れてきます.きっとトンボを追っている間息を止めているのだと思います.年寄りにはきつい.それでもなんとか成功し,記録を録ることができました.
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▲放卵寸前のペア.やはりメスの腹部先端には卵塊が形成されている.▲
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▲オスがメスを放した.黄色い卵塊が見える.メスが打水する直前である.▲
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▲メスが打水・放卵した瞬間.▲
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▲打水を終えてメスが上昇に転じたとき,オスはそれをつかみに行こうとする.▲
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▲後ろから抱きついて再びタンデムを形成しようとするオス.▲
この連続写真を見ていると,オスの姿格好が面白い.オスはメスと再びタンデムになるために,脚をいっぱいに広げて確実にメスをつかみ,尾部上付属器を根元から背側に直角になるように折って腹部を曲げ,すぐにメスの後頭部を挟めるような体勢をとっていることが分かります.最後の写真の次は,ペアが急上昇したためにフレームアウトしてしまいました.タンデムになる瞬間は,もう一つの撮影例にありましたので,それを載せておきましょう.
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▲打水・放卵後,オスがメスの後頭部を挟み,タンデムを再形成する瞬間.▲
でも,ハネビロトンボは,なぜこんな複雑な産卵様式を採用しているのでしょう.ふつうに連結打水産卵すればいいように思うのですが.現に同じように池を縦横に飛んで打水産卵するオオキイロトンボは,連結のまま打水しています.
これはオスの意志かメスが逃げたのかは分かりませんが,連結飛行中にオスがメスを放したり,打水・放卵の後オスがタンデムを形成しなかったりして,メスの単独産卵に移行する場合があります.
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▲単独産卵に移行して産卵場所を探すハネビロトンボのメス.▲
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▲暑いせいか,腹部を下垂しながら産卵場所を探すハネビロトンボのメス.▲
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▲打水前のメス.腹端に卵塊が形成されている.▲
だいたいこんな感じで主に午前中たくさんのペアが産卵にやって来ます.もちろん,単独で飛び回るオスはあちこちに見られます.やはり一定の範囲を巡回するように飛んでいて,他のオスが侵入すると激しく追尾して追い払いますので,なわばりを形成していると考えられます.
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▲なわばり飛行する,まだ少し若いオスのハネビロトンボ.▲
午前中はほとんど止まることなく飛び続けているハネビロトンボですが,お昼頃からぼちぼち木の枝先などに止まり始めます.最も日差しが強くなり気温も高くなる頃です.そんな状況なのに,彼らは日向に止まります.普通はコフキトンボのように体を水平にして止まりますが,暑い日向に止まるときには,腹部を下垂することが多いようです.腹部挙上姿勢は,観察した限りでは見られませんでした.
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▲コフキトンボのように,体を水平にして枝先に止まるハネビロトンボ.▲
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▲腹部を下垂して止まるハネビロトンボのオスたち.▲
ハネビロトンボで面白いのは,この腹部下垂姿勢を,飛びながらでもやっているところです.日向でなわばりの巡回で飛んでいるとき,腹部を下垂して飛ぶことがあります.
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▲腹部下垂姿勢でなわばり巡回のために飛ぶハネビロトンボのオス.▲
観察中のエピソードとして,ハネビロトンボのペアが産卵のため空中で一時停止したとき,リュウキュウギンヤンマが襲いかかり,餌として連れ去ってしまいました.産卵というのは動きが予測しやすく,スピードも落ちるので,大型のヤンマにねらわれやすいのですね.カメラは構えていましたが,ピンボケでした.
長い間ハネビロトンボの姿を観察・記録したかった思いがやっと実現し,楽しい時間を過ごすことができました.
■アオビタイトンボ Brachydiplax chalybea flavovittata Ris, 1911
今回の訪問では,ハネビロトンボを追いかけてばかりいたような気がしますが,もう一つどうしても確認したい課題がありました.それはアオビタイトンボの産卵,そしてメスがどこにいるかを見つけることです.台湾に行ったときも沖縄県を訪れたときも,アオビタイトンボのオスはよく見つかりましたが,メスが見つかりませんでした.だいたいこういったトンボのメスは,池周辺や,やや離れた草地などにたむろしているものなのですが,今日に至るまで全く見つけることができていません.
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▲アオビタイトンボのオス.オスは今回非常に数が多かった.▲
アオビタイトンボは,お昼前から出てくる数が増えてきます.今回朝早くから観察を始めましたが,早朝はシオカラトンボばかりでした.気温の高くないうちは,より北方に分布が広がっているシオカラトンボの方が目立つのでしょうか.アオビタイトンボはお昼が近くなると目立つようになり,夕方が近くなると今度はシオカラトンボが目立たなくなります.よく見るとこの2種姿格好も似ています.
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▲朝のうちはシオカラトンボが目立つ.▲
アオビタイトンボの数が増えてくると,あちこちでオス同士の争いが始まります.コシアキトンボのように2頭が並んで飛び,しばらくして一方が他方を上空へ追いやるような行動になったり,そのまま離れてしまうこともあります.
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▲オス2頭が闘争しているところ.▲
さて肝心のメスですが,最初に出会ったのは産卵しているメスを見つけたときでした.時刻は14時ごろで,もっとも暑い盛りです.アオビタイトンボはどんな産卵をするのか興味もありました.結論から言うと,茎や葉や枝など水面に出ている物体に卵を貼り付ける様式で,コシアキトンボと似ている感じです.ただ,コシアキトンボほどに連続性はなく,しばらくホバリングしてから腹端を打ちつけるといった間欠的な感じでした.
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▲産卵しているアオビタイトンボのメスを発見した.▲
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▲まず,腹端を打ちつける部分にねらいを定めて少しホバリングする.▲
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▲腹端を打ちつける直前の状態.腹部先端が上に反っている点に注目.▲
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▲腹部先端を反らしたまま枯れ茎に腹端を打ちつけて放卵する.▲
卵は枯れ茎にひっついているのが確認できました.薄緑色で透き通っています.このカットでははっきりとした写真がありませんでしたが,16時頃に見たもう一つの産卵場所にはたくさんの卵が着いているのが見えました.
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▲こちらの産卵では,葉の表面に卵を貼り付けている.15:58.▲
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▲葉面の緑色のが卵である.少なくとも左側の葉の卵は上のメスが放卵したもの.▲
上の枯れ茎に産卵している写真では水面より上側に卵を貼り付けていますが,下の葉上に卵を貼り付けている写真では水面より下側に卵が貼り付いています.コシアキトンボでは水面より上,コフキトンボでは水面より下,というふうにこれらの種の間ではかなり厳密に貼り付ける場所を選び分けていますが,アオビタイトンボはその辺はどちらでもいいのでしょうか.
ところで,まだ課題は解決していません.フリーのメスはどこに潜んでいるのでしょうか.草地にいない場合は樹上に上がるという可能性があります.そこで林縁に生える木の枝を見ながら探索してみました.すると意外と簡単に見つかりました.
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▲林縁の木の枝や葉に止まるアオビタイトンボのメス.▲
若干若い感じのする個体ですが,それでもメスはこういった感じのところに隠れていることが分かりました.成熟するともっと高いところに上がっているかもしれません.こういった場所にはやや若いオスもいました.
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▲若い感じのオスも同じにところに見られた.腰の部分がまだ地色だ.▲
アオビタイトンボは現在山口県でも見られるほどに北上しています.ベニトンボのようにやがて兵庫県などでも普通に見られるようになるのでしょうか.1977年に沖縄島で発見されるまでは大東諸島にしか分布していなかったトンボです.これを見るために南大東島へ行った人もきっといたに違いありません.最近の,南方種の北への分布拡大には,目を見張るものがあります.
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▲北上を続けているアオビタイトンボ.昔は大東諸島にしかいなかった.▲
■アマミルリモントンボ Coeliccia ryukyuensis amamii Asahina, 1962
さて,まだ訪問の目的があります.アマミルリモントンボの産卵を見ることです.マサキルリモントンボ,リュウキュウルリモントンボと,いずれも産卵の観察が実現していません.しかし,先島諸島,沖縄本島,いずれの訪問も,より多くのトンボに出会うことが目的でしたので,産卵観察のために時間を割くことは,限られた時間の中で優先順位として低かったのです.
しかし今回はちょっとした意地がありました.前回来たときに,アマミルリモントンボのオスはたくさん見つかりました.個体群密度から見て,産卵が見られる可能性は高いと考えていました.何が何でも見つけるという気合いで探しました.ポイントは時間帯です.午前中の早い時間帯に探してみることにしました.これがうまく当たったようです.まず最初に見たのが,連結しているペアでした.
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▲タンデム状態のアマミルリモントンボ.8:11.▲
成熟したメスを見たのはこれが初めてです.このペアはこの状態から動きがないので,別のペアを探しに行きました.すると少し離れたところに産卵中のペアがいました.朽ち木に産卵していました.コケのようなところに産卵するかと想像していましたが,意外と堅い基質に産卵するのですね.だから産卵管がやや大きく発達しているのでしょう.
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▲朽ち木に産卵するアマミルリモントンボ.▲
この場所は農道の横を流れる細流です.どうしてもこの角度でしか撮れないので溝に降りて撮ることにしました.そんなとき,農家の方が車で通り,突然止まって窓を開け,「ハブに注意してくださいね」と言われました.そうか,ハブというのはこういうところに潜んでいるのか,と思い気持ちを引き締めたところです.
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▲もうこれ以上は下の位置にできないぎりぎりの高さで撮った.▲
写真はたくさん採りましたが,植物内産卵をするトンボの産卵は何枚撮っても同じなので,ある程度で止めました.フリーのオスもいましたが,数は春に比べて減っていました.水が一部涸れていたせいかもしれません.
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▲アマミルリモントンボのオス.▲
■リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867
私が訪問したときだけかもしれませんが,奄美大島ではギンヤンマよりリュウキュウギンヤンマの方が普通でした.実は今回の目的の中にリュウキュウギンヤンマの産卵観察というのがあったのですが,リュウキュウギンヤンマの産卵メスは非常に敏感で,5mぐらい離れていても,こちらの動きに反応し,異常を感じれば産卵を止めて飛び去ってしまうのです.
今回は一度だけ産卵に入ったメスに出会いました.このメスも同様に敏感でしたが,産卵基質に止まる前にかなり長時間ホバリングしましたので,これをいただきました.時刻は16:40で,もう夕刻に近いですね.
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▲産卵基質に止まる前にしばらくホバリングしたリュウキュウギンヤンマのメス.▲
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▲どういうわけか私から視線が届かないような場所を選んで産卵する.▲
結局産卵はこんな感じでしか観察できませんでした.のぞき込もうとするとそれを敏感に感じ取って飛び去ってしまいました.こういうときは不動の姿勢で待つという鉄則を忘れてしまったようです.
しかし一方オスの行動については結構面白い観察が出来ました.オスは,普通のギンヤンマのように,池の上を飛んでメスを探しているのですが,これが意外と少ないのです.どこにいるかというと陸上!.林縁のやや開けた空間を往復しながら長時間飛んでいるオスがそこそこの数いました.普通なら摂食飛翔で片付けてしまいそうな感じの飛び方です.確かに餌昆虫が飛びますと追飛して捕らえたりしているようです.
しかしながら,この行動は,朝から夕方まで特に時間帯に関係なく行われています.普通摂食飛翔というのは時間帯が限られているように思うのですが,朝昼夕方を問わずいつもどこかでやっているという感じなのです.そしてメスが近くを飛ぶとそれを捕らえタンデムになって飛び去るのを見ています.メスが非常に敏感ですぐに逃げてしまうことと考え合わせると,これはひょっとしたらオスがメスを捕まえる戦略ではないかと思ってしまいます.真相は分かりませんが,とにかく陸上をよく旋回飛翔するトンボです.
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▲林縁の道の上を飛び回るリュウキュウギンヤンマのオス.▲
■ハネナガチョウトンボ Rhyothemis severini Ris, 1913
奄美大島と言えば,奄美大島にしか分布しない珍しいトンボがいます.1993年に初めて発見されて以来奄美大島以外では見つかっていません.津田(2000)によると,海外では台湾やベトナムに分布しているそうです.
同じく最近日本に入って来た,サイジョウチョウトンボ,またその少し前のアカスジベッコウトンボはいずれも台湾に分布しており,国内ではまず与那国島で初めて発見されています.これらが台湾から来たと言いきることができないにしても,台湾-与那国島-西表島という分布拡大ルートには共通性があります.ところが同じく台湾以南に分布するハネナガチョウトンボは,それらをすっ飛ばしていきなり奄美大島に現れ,しかもその他の離島には出現していないのですから,不思議としか言いようがありません.
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▲ハネナガチョウトンボのオス.▲
今回,ハネナガチョウトンボは姿が見られたらいいという程度の感覚で観察に来ました.でもその無欲がよかったのでしょうか,交尾・産卵を観察することができました.まずメスが入って産卵しているのを見ました.植生の中にもぐり込んでの打泥(打水)産卵です.これを上記写真のオスが見つけて,交尾態になりました.交尾態は割合近くに静止してくれましたので,写真記録にとることができました.
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▲ハネナガチョウトンボの交尾.▲
交尾しているメスの翅が非常に長く感じられ,ハネナガチョウトンボの和名の意味が分かります.交尾が終わった後もメスは産卵を継続しました.なお,産卵を見たのは全部で3回でした.数が少ないトンボですが,よく観察できたと思っています.
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▲植生の間に入り込んで産卵を続けるハネナガチョウトンボのメス.▲
ハネナガチョウトンボは南国のトンボです.暑さには強いのでしょう.お昼過ぎのもっとも暑いときにも池を離れず,腹部挙上姿勢で頑張っていました.そしてときどき周辺を飛び回ります.飛ぶ姿を遠くで見ていると,チョウトンボの飛び方と言うより黒いハネビロトンボといった方がよいような印象です.ハネビロトンボと同様に,翅の基部だけに色が付いているからでしょう.
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▲腹部挙上姿勢で頑張るオス.▲
ハネナガチョウトンボは条例で採集禁止になっているようですので,注意したいものです.いつまでも元気で残り続けてほしいトンボです.
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▲光線の加減か,紫色に怪しく輝くハネナガチョウトンボ.▲
◆その他のトンボたち
今回は生態観察・記録を中心に訪問したので,いくつかの種には出会えず終わってしまいました.そんな中でちょっとした出会いがあったトンボたちを最後に紹介しておきましょう.
■オキナワオオシオカラトンボ Orthetrum melania ryukyuense Sasamoto et Futahashi, 2013
オキナワオオシオカラトンボは沖縄本島で十分観察できたので,今回は観察目的から外しました.オスは小さな流れに止まっていましたし,交尾を目撃しました.
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▲流れに止まるオキナワオオシオカラトンボのオス.▲
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▲オキナワオオシオカラトンボの交尾.▲
■タイリクショウジョウトンボ Crocothemis servilia servilia (Drury, 1770)
ハネビロトンボ観察中にこのトンボをたくさん見ました.ときどきメスが入り産卵もしていました.
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▲産卵にやって来たメス.交尾されてしばらく静止中.▲
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▲タイリクショウジョウトンボの産卵.水滴が前方に飛んでいる.▲
■オキナワチョウトンボ Rhyothemis variegata imperatrix Selys, 1887
先島諸島では非常にたくさんの個体を見ましたが,奄美大島では,あまり多いようには見えませんでした.どちらかと言えば数は少ないトンボでした.メスでやたら翅の黒い部分が大きいのがいました.
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▲オキナワチョウトンボと産卵に来たメス.▲
■タイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax (Hagen in Selys, 1854)
さすが夏です.タイワンウチワヤンマの数が非常に多かったです.他のトンボを撮影すると,浮葉植物に着いている羽化殻が写るほどです.ハネビロトンボの産卵の写真にも写っています.産卵もいくつか見ました.面白かったのは,こちらで産卵するときは短時間ホバリングしてから浮遊物に腹卵を打ちつけるような動きをしますが,ここで見たのは,まさにすばやい連続打水産卵でした.これは多分オスが多すぎて,ゆっくり停止飛翔などしているとオスにつかみかかられるからかもしれません.
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▲タイワンウチワヤンマのオスとメス.▲
■最後に
今回目的としなかったトンボの中で,やはり出会いたかったトンボに,ミナミヤンマがあります.奄美大島のミナミヤンマは翅の前縁部が褐色に彩られていて,なかなか美しいトンボです.飛ぶ姿はそれなりに見ましたが写真に撮れるような状況ではありませんでした.一度だけ,木陰で座ってトンボ観察しているときに,ミナミヤンマのメスが止まりたそうに飛んできたことがありました.しかしハネビロトンボがこれを追いやって,結局止まらずに逃げてしまいました.止まってくれると嬉しいところでしたが惜しかったです.
タイワンシオカラトンボの姿を探しにあちこち移動しました.しかしどこも乾燥していて,これらがいそうな湿地状の場所が見つかりませんでした.それなら水田のあるところへと思いましたら,奄美大島にはほとんど水田地帯がないのですね.国土地理院の地図で水田のマークがついているところはわずかしかありません.ちょっと意外でした.ということで,探す場所が分からず出会えずじまいでした.
ベニトンボ,ハラボソトンボ,コシブトトンボ産卵,アオモンイトトンボ,リュウキュウハグロトンボ,オオキイロトンボなどを見ました.それからムスジイトトンボでしょうか.水色のクロイトトンボ系の産卵を見ましたが,遠すぎて種名の確認にまでは至りませんでした.このなかで,オオキイロトンボは奄美大島では飛来種扱いになっています(尾園ら,2021).残念ながら証拠写真はすべてピンボケでした.
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▲やはりベニトンボには登場してもらわないと.産卵は全く見ずだった.▲
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▲ハラボソトンボはとても数が少ないトンボであった.▲
チビサナエは探してはみたが見つからず,薄明薄暮の観察は行っていないので,まあ,今の季節これくらいが普通のところだと思います.以上.