No. 945. 他のトンボを見に行った.2024.4.2.

オツネントンボの観察はひとまずおいて,今日は他のトンボ,特にホソミオツネントンボやホソミイトトンボを探しに行きました.コサナエ属の仲間はまだちょっと早いと思いますが,シオヤトンボなら見られるかもしれません.全部で3つの池を回ってきました.まだ他のトンボたちは姿を見せていませんでした.かわりに,最後の池で,オツネントンボを見ました.何年か前,オツネントンボに出会えなくて探し回ったことがありましたが,今年は出歩くたびに遭遇しています.

3つ目の池は,スゲが伸び始めていて,水面から10cmほど突き出ている状態でした.オツネントンボはそこに止まって産卵をしていました.やはり基本的には,オツネントンボは水面より高い位置に産卵するのが好きなようです.


▲水面より高い位置に産卵するのが好きなようだ.▲

▲ちぎれたスゲの葉が産卵基質のときは水面の位置でも産卵する.▲

この場所には,単独のオスが3頭ほど見られました.タンデムペアは最大2ペアです.昨日まで行っていた池と比べると数は少ないですね.

▲単独オスは3頭程度いたように思う.▲

シーズン終わりにキトンボの報告ばかりになるみたいに,今年のシーズン初めはオツネントンボの報告一色になってしまっています.同じ成虫越冬種のホソミイトトンボやホソミオツネントンボは,後者はごく一部に分布するも,北海道にはほとんど分布していません.対してオツネントンボは北海道全域に分布しており,逆に九州北部より南方には分布していません.つまり,より北方に分布が広がって寒冷地に適応しているのがオツネントンボということになります.

昨年もオツネントンボは4月1日には元気に繁殖活動していました.少し前は4月上旬ごろに繁殖活動を始めていたように思いますし,もっと前の1990年代では,4月中旬くらいに盛んに繁殖活動をしていたように思います.だんだんと繁殖開始時期が早くなっています.対して,ホソミオツネントンボやホソミイトトンボは,少し遅れて4月中下旬に繁殖活動を始めます.1990年代あたりでは,成虫越冬3種が混じって活動をしていました.しかし去年や今年は,オツネントンボがいち早く繁殖活動を開始しているのに,他の2種は姿を見せていません.最近の気温上昇に,より寒冷地に適応したオツネントンボが,より敏感に反応しているように見えます.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 945. 他のトンボを見に行った.2024.4.2. はコメントを受け付けていません

No. 944. オツネントンボのビデオ記録.2024.4.1.

今日はオツネントンボのビデオ記録を録りに出かけてきました.今まで何度となくチャンスはあったのですが,意外と記録が録れていなかったためです.「兵庫県とその近隣のトンボたち」のページの欠落部分を埋めることができました.動画はYouTubeにアップしました.今年はWebサイト「神戸のトンボ」を充実させていければと思っています.

▲春一番! オツネントンボの活動▲

そのあと,谷筋を散歩しながらトンボを探しましたが,太陽が雲に隠れ,全くトンボの姿はありませんでした.今のところ元気なのはオツネントンボだけです.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 944. オツネントンボのビデオ記録.2024.4.1. はコメントを受け付けていません

No. 943. オツネントンボ繁殖活動開始.2024.3.30.

昨日,朝のうちは雨が降ったりしていましたが,午後から晴れてきて気温がぐっと上がりました.今日は黄砂のせいか.空がうす煙で濁っているような色をしていました.ただし天気は晴れ.桜があちこちで開き始めていました.セーターが暑く感じるような気温で,初めてセーターを脱いでトンボ観察に出かけました.


▲桜が開き始めた.暖かい昼間でした.▲

観察地は,この何回かオツネントンボを見に出かけているところです.まずはいつも観察している草地をのぞきました.しかしトンボは全く見かけずでした.池に出ているかもしれません.急いで池の方に移動しました.最初はトンボの姿を見つけられませんでしたが,突然,3頭のオツネントンボのオスが池岸の草むらから飛び出し,バトルを始めました.いました.池に出て活動を始めています.


▲池面で飛び回っていたオツネントンボのオス.▲

よく探すと,あちこちに止まっているオスの姿が観察できました.時刻は11:15くらいです.産卵はしていないか目を凝らしましたが,見つかりません.


▲よく見るとあちこちにオスがいた.複眼濃背面に青いスポットが出ている.▲

タンデムのペアが飛び出しました.産卵しているようです.ただ,敏感で,私の動きを感じるとすぐに飛び立ち,池の真ん中の方に飛んでいって姿をくらまします.たくさん産卵しているときには,個々のペアはかなり大胆になるのですが,1ペアだけだとやはり警戒心を解かないようです.時間が経つと,少しずつペアの数が増えてきました.こうなると警戒心が緩みます.


▲水面に浮かぶカンガレイの枯れ茎に産卵するペア.▲


▲あちこちで産卵するオツネントンボのペアたち.▲

全部で10ペア足らずが産卵していたように思えます.またあぶれているオスは20頭以上はいたはずです.結局,池の近くの休息場所に徐々に集まって,一斉に産卵を開始すると言う仮説はうまく証明できませんでした.3日前,彼らはどこにいたんでしょうね.謎は深まるばかりです.

ということで,いよいよ私のトンボシーズンが本格的に始まりました.今年もできるだけたくさんの兵庫県のトンボたちに出会えるよう頑張るつもりです.

---------------
今日出会ったトンボ
No.01.オツネントンボ.♂♀産卵.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 未分類, 観察記 | No. 943. オツネントンボ繁殖活動開始.2024.3.30. はコメントを受け付けていません

No. 942. オツネントンボ調査.2024.3.27.

この数日間寒の戻りということらしく,雨や曇りが多く,気温の低い日が続きました.きょうはやっとその寒さが終わり,暖かい日差しの晴れの日になりました.気になっていたオツネントンボをまた観察に行きました.


▲オツネントンボのオス.▲


▲オツネントンボのメス.▲

オツネントンボはいましたが,数は増えていませんでした.また,池にも出ていません.オス1頭とメス1頭.これらは前回と同じ個体かどうかは分かりません.ただメスの方は腹部第7節と8節の境目が,まっすぐになっておらず少しだけ曲がった感じがしている点が,前回見たのと同じです.

オツネントンボは褐色の地味なトンボですが,春のこの時期の草は,この体色が一番目立ちにくい保護色になっていることは間違いないことでしょう.今年は池にいつ出るか,また見に行きたいと思います.去年はこの池では4月1日にたくさん産卵していました.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 942. オツネントンボ調査.2024.3.27. はコメントを受け付けていません

No. 941. オツネントンボ再び.2024.3.16.

前回オツネントンボを観察した場所へ,今日も観察に出かけました.ねらいは,数が増えているかどうかを見に行くことです.前回はたった1頭だけの発見でした.もしここが繁殖場所個体群の通常越冬場所なら,もう少し数がいてもいいはずだと思われます.やはり越冬場所は遠くにあるか,または分散してしまっている可能性が高いと思われます.そして春の繁殖時期が近づいてくると,帰巣性があるかどうかは別として,繁殖できそうな池に集まってくるのだと想像されます.

今日のねらいは,繁殖場所を求めて集まってくるという仮説を立て,繁殖時期が近づくにつれて分散している場所から移動してきて,しだいに数が増えてくるかどうかを見てみようというわけです.

今日はメスが1頭と,もう1頭飛ぶのを見ました.2頭いたことが確認できました.


▲オツネントンボのメス.日向で摂食活動を行っている.▲

また出かけていって,数が増えるかどうか見ていきたいと思います.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 941. オツネントンボ再び.2024.3.16. はコメントを受け付けていません