No. 957. オグマサナエの観察.2024.5.4.

この二日間成虫の出現状況を調べ,今後の観察の方向性を決めることができるようになりました.まず最初は,オグマサナエの産卵場所を突き止めることから行うことにしました.オグマサナエについてはすでに2ヶ所ほど産卵場所を突き止めています.今回は今年羽化を見た池でそれを探そうと思います.


▲今日の観察ポイント.背景にほぼまっすぐ落ち込む岸壁が存在する.▲

オグマサナエは,池のまわりに大なり小なり樹木があって,その陰になるようなポイントで,かつ池の岸辺が急勾配になって水面に落ち込んでいるような微小環境を好んでいるように感じます.今年羽化を見た池にも,一角にそのような微小環境があります.そこに目星を付けて待つことにしました.上の写真には,そういった場所に止まるオグマサナエのオスが写っています.


▲私が着いたとき,日当たりのよい場所にフタスジサナエが1頭いただけだった.▲

現地に入ったのが10:00ごろです.池岸には,日当たりのよい場所に止まるフタスジサナエのオスが1頭見られただけでした.まだコサナエ属のオスは活動を開始していないのでしょうか.池はトンボたちの喧噪がなく,とても静かです.まあ待つしかないでしょう.

と腰を下ろして観察ポイントに目をやると,メスが池岸に向かって動いている姿を確認しました.まだ気持ちの準備すらできていないタイミングです.近づいていきましたが,初めのうちピントを合わせるのに手こずり,時間をロスしました.メスは少し移動し産卵を続けています.やっと私の集中力も目覚めてきて,手応えのあるシャッターを切り続けましたが,いかんせん,産卵はもう終わりを迎えたようです.背中の構図を数枚撮った時点で,メスは飛び去りました.


▲私に背中を向けて産卵するオグマサナエのメス.▲

撮影後写真を検討すると,オグマサナエでした.到着時のトンボのいない状況にちょっと油断したようです.12:00まで待ちましたが,結局産卵メスはこの1頭だけでした.ここが産卵ポイントだということはメスの登場で明らかですが,オスたちもよく知っているようで,そのあと何度もその産卵ポイントが見える位置にやって来て止まりました.


▲追い払っても追い払っても,この場所に戻ってくるオス.▲

最初の写真のオスと上の2枚のオスは,多分同じ個体だと思います.オスがいると産卵に来たメスを持って行かれるので,毎度のことながらトンボのオスとのなわばり争いを繰り広げました.しかし何度驚かせて追い払っても,しばらくするとこの場所に戻って来るのです.このポイントへの執着心が強いことが分かります.このポイントへは少なくとも2頭のオグマサナエオスが訪れました.


▲上の一連の写真とは異なる個体のオグマサナエオス.淡色部の色が異なる.▲

ここ以外の池岸は日当たりがよくなっていて,そこにはオグマサナエではなくフタスジサナエばかりが止まっています.そして私の見ているポイントにはフタスジサナエは入ってくることがありませんでした.微妙にオスの待つ場所がこの2種では異なるようです.ちなみにフタスジサナエのオスは10:30頃から数が増えました.


▲日当たりのよい池岸に止まるフタスジサナエのオス.▲

こういう感じで今日の観察を終えました.もう一つ別の池,先日タベサナエの産卵を見た池に行ってみましたが,こちらも静かでした.オスが1頭日向でメスを待っていました.「悪天候後の晴天続き3日目は産卵個体が少ない」というジンクスが当たったようです.


▲日向でメスを待つタベサナエのオス.▲

私の持っているオグマサナエの産卵場所に対する経験値がまた少し積み上がったように思えました.明日もまた晴れそうです.明日の課題は何にしようか...

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No. 956. 成虫出現状況調査 北部.2024.5.3.

今日も昨日に引き続き,成虫の出現状況を調べに行きました.今日は兵庫県北部の方の出現状況です.南部のコサナエ属がしっかりと活動を始めていたので,北部の方に分布するコサナエの状況を見るのが一つの目的です.

さて,まず最初は,ホンサナエの生息地を訪れました.今年の状況はどうでしょうか.川に入ると,早速,オスが飛びました.水面を素早くジグザグに飛びます.体はスマートとはいえませんが動きはそれに似合わず敏捷です.


▲今日最初に出会ったトンボ,ホンサナエのオス.▲

川を歩くと,さらにオスがあちこちから飛び立ち,全部で6,7頭はいたように思います.激しく追尾をして,若い個体は活動が活発です.


▲活発に飛び回るが,結構同じところに戻ってきて止まる.▲

私が近づくと敏感に感じ取り飛び立ちます.自分が止まっていた場所が気に入っているのか,私のまわりをうろうろと飛んでいます.少しすると諦めたのか,水面をホバリングして飛びます.夕方によく見せる飛び方です.


▲水面を飛び回るホンサナエのオス.▲

しかししばらくすると止まり場所を変えて,一休みします.葉っぱに止まるより地面の方が好きなようで,砂州に止まったり,石を積んだ護岸に止まったりします.


▲地面に止まるのが好きなホンサナエ.▲

今日夕方までねばればメスの卵塊形成が見られるかなと思いましたが,今日は成虫の出現状況調査で,できるだけ多くの種類のトンボの状況を調べることが目的ですので,止めました.

次は本命のコサナエです.コサナエのいる池に向かいました.コサナエのオスは池にたくさん出ていました.20頭ぐらいはいたでしょうか.時刻も10:30ぐらいで,産卵にはちょうどよい時間帯です.


▲池に出て,メスを待っているコサナエのオス.▲


▲木漏れ日のある日陰でメスを待つコサナエのオス.▲


▲池岸から伸びたシダの葉に止まるコサナエのオス.▲


▲驚かせると飛び立ってしばらくホバリングする.▲

池の周囲を歩いて産卵メスを探しました.ほどなく,池岸で産卵しているメスを見つけました.産卵するコサナエは結構動き回るので,写真に撮りにくい相手です.


▲今日の産卵メス第一号.割合短時間で飛び去った.▲

産卵は集中するので,気を引き締めて次のメスを待ちました.しばらくすると同じところにまたやって来ました.最初の個体は驚いて逃げたようで,ひょっとしたら同じ個体かもしれません.こちらも短時間で産卵を終えました.


▲体をねじって卵を飛ばす.腹端に付く卵塊と,落下する卵が写っている.▲

このあと産卵に来なくなりましたので,場所を変えてみました.ホソミオツネントンボがまだまだたくさん活動していますし,オオイトトンボも飛び回っています.コサナエのオスも岸辺でメスを待っています.イトトンボたちを観察していると,産卵メスが入ってきました.ここは陽が当たっているので,撮影には好条件です.


▲草の中に入り込んで産卵するコサナエ.▲

ということで,コサナエたちは例年通り,ゴールデンウィークに産卵活動をたくさんやっていました.

コサナエを観察しているときに,未熟なヤマサナエが私の前に姿を見せました.これは私が探して見つけたのではなく,向こうから飛んできたのです.「私を忘れないでください」てな感じで,しばらく写真が撮りやすいように静止してから飛び去っていきました.それもオスとメスが1回ずつです.


▲ヤマサナエの未熟なオスとメス.黄色が鮮やかで美しい.▲

沖縄で見たヤエヤマサナエに比べると黄色の部分が少し小さく,黑っぽいサナエトンボですが,未熟期は黄色が鮮やかです.オスは特に成熟するとくすんだ緑褐色になりますから.そうそう,この池に来る前に,もう一つ『「私を忘れないで」出現』のサナエトンボと出会いました.アオサナエです.時期的には少し早い感じがしますが,ホンサナエに混じってときどき姿を現しますので,こんなものかもしれません.


▲突然目の前に現れて,写真を撮ったら遠くへ飛んでいったアオサナエのオス.▲

なんか今日はトンボたちのサービス精神に支えられている感じです.さて次はここへ来たもう一つの目的であるオオイトトンボです.オオイトトンボも最近南部ではあちこちで姿が消えたり個体数が減少したりと,なかなか見るのが難しいトンボです.ここには割合にたくさんいますが,昔に比べたら相当減っている気がします.今日のオオイトトンボはほとんど岸に近づかず,池の真ん中ばかりで活動していました.ですから,ぎりぎり写真を撮って,超トリミングするしか手がありませんでした.


▲唯一1mぐらい近くにやって来たオオイトトンボのオス.▲

オオイトトンボはほとんどがオス単独で飛び回っているばかりでした.11時を過ぎたあたりから,ポツポツタンデムのペアが見られるようになりました.


▲オオイトトンボの移精行動.セスジでは見たことがあるがオオイトでは初めて.▲


▲3mぐらい離れている.まだ小さなヒシの葉に止まって交尾.▲


▲4mぐらい離れている.産卵するペア.上の写真とは異なるペアである.▲

最近のデジタルカメラは本当に性能が向上したと感じます.上の産卵の写真などはほとんどドット・バイ・ドット(つまり6048×4024ピクセルの画像から640×480ピクセルを切り取った)ぐらいまでトリミングしているのですがなんとか見られますものね.

オオイトトンボより数が多かったのがホソミオツネントンボ,それに混じって少しだけいたのがホソミイトトンボ,当然成虫越冬の彼らは今も活動の最盛期です.クロイトトンボは次々羽化して飛び立つのが見られました.キイトトンボも羽化し始めていたようです.ただ白い体の個体は見間違いが起きる可能性があるので,また後日確認することにします.なおクロイトトンボの方は若いメスを見ました.


▲ホソミオツネントンボはまだたくさん活動をしていた.▲


▲ホソミイトトンボは数は少ないが繁殖活動最盛期という感じであった.▲


▲クロイトトンボのメス.クロイトトンボの若い個体はオスメスとも気品がある.▲

なお,この池で観察中,ずっとクロスジギンヤンマが飛び回っていました.2頭いたようですが,1頭は池に入ってくるとすぐに追い出されていました.産卵メスは写真に撮りやすいのですが,パトロールオスは苦労してやっと1枚というところです.


▲池をパトロールするクロスジギンヤンマのオス.▲

さて,調査のテーマ種はクリアできましたので,残りのトンボたちを紹介しておきましょう.シオヤトンボは例によってあちこちを飛んでいました.ハラビロトンボの未熟な個体が散見されました.シオカラトンボもいました.


▲シオヤトンボのオス.▲


▲ハラビロトンボの未熟オスと未熟メス.▲

さて,コサナエの池での観察は十分できましたので,あと近くの細流に入ってアサヒナカワトンボを見つけて終わろうと思いました.ニホンカワトンボの方は,ホンサナエの川にもたくさん飛んでいましたし,完全に繁殖活動期に入っています.ただ,今日は産卵を見ることができませんでした.


▲ニホンカワトンボは,オスもメスもたくさん流れに出ていた.▲


▲アサヒナカワトンボも薄暗い流れで繁殖活動を始めていた.▲

ということで,好天に恵まれ,たくさんのトンボたちに出会うことができました.今年は兵庫県北部も南部も,順調にトンボたちに出会えているような気がします.あとムカシヤンマに出会えていれば完璧でした.ということで,初見のトンボたちをまとめておきましょう.

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No.17. コサナエ.オス・メス・産卵
No.18. ヤマサナエ.オス・メス
No.19. ホンサナエ.オス
No.20. アオサナエ.オス
No.21. オオイトトンボ.オス・メス,産卵
No.22. クロスジギンヤンマ.オス
No.23. ハラビロトンボ.オス・メス
No.24. アサヒナカワトンボ.オス・メス,交尾

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No. 955. 成虫出現状況調査.2024.5.2.

4月が終わり,5月に入りました.過去の状況を考えても,5月に入るといろいろなトンボが活動を開始するはずです.今後のよい観察材料を決める上でも,今日は春のトンボの出現状況と活動状況を確かめに行くことにしました.まずはイトトンボから.アオモンイトトンボとアジアイトトンボはもう出ているはずですので,それから確認することにしました.

池に着いたとき最初に出会ったのはなんとセスジイトトンボでした.この池に昔はたくさんいたのですが最近は見かけたり見かけなかったりします.次に見たのがクロイトトンボ,なんか,アオモンイトトンボやアジアイトトンボがいません.少し探索範囲を広げると,アオモンイトトンボはたくさんいました.もうスズメノヒエが伸びつつある池の上を飛んで,しっかりと活動を始めていました.ただ,どういうわけか,アジアイトトンボの姿はありませんでした.


▲セスジイトトンボのオスとメス.結構早く出ています.▲


▲クロイトトンボのオスとメス.メスはクモを食べている.▲


▲アオモンイトトンボのオスとメス.アオモンイトトンボもクモを食べている.▲

アオモンイトトンボは,よく草の葉や茎をつつくような動作をします.あれはクモを捕っているんですね.普通クモが昆虫を捕って食べるのが食物連鎖ですが,トンボはときどきこのようにクモを捕って食べています.草に付く小さなクモですけど.

今日は気温が低いという予報で,風も吹いてちょっと肌寒かったのですが,アオモンイトトンボたちは気にせず飛び回っていました.いやはや元気です.アオモンイトトンボを探して歩いているとき,足下から黄色いトンボが飛び立ちました.ショウジョウトンボです.ショウジョウトンボは,昔は夏のトンボというイメージがありましたが,最近は4月から姿を現しています.


▲羽化直後と思われるショウジョウトンボのメス.▲

イトトンボの確認はできましたので,次はトラフトンボやヨツボシトンボといった春季種を確認しに行くことにしました.最近この2種が見られるところが少なくなったような気がします.それも間近に見ることができる場所が特になくなって来つつあるように思えます.果たして今日は飛んでいるでしょうか.

場所を変えると,まず目に付いたのがトラフトンボでした.最終的に6頭を確認できました.これは時間をかけて観察すれば,卵塊形成の場面に遭遇できるかもしれません.


▲池の上を飛び回るトラフトンボのオス.▲


▲ヒメガマの枯れ葉に止まって休むトラフトンボのオス.▲

下の写真はオスと判断していますが,翅の前縁に濃褐色のラインが存在するように見えるのでメスかもしれません.ただメスはもっと腹部が太いし,大きな産卵弁も見えませんので一応オスにしています.ヨツボシトンボの方は,トラフトンボの飛ぶ池で,ヒメガマの植生内で活動をしていました.


▲ヨツボシトンボのオスたち.▲

この2種,繁殖活動期に入っているようですね.ねばれば産卵にやってくるメスも狙えそうです.まだ晴れが続きそうですし,メスの成熟はこれからでしょうから,チャンスはありそうです.ということで次はコサナエ属の活動状況です.そろそろタベサナエやオグマサナエは産卵活動を始めているのではないでしょうか.

そこで,この4月オグマサナエやタベサナエの羽化を観察した池に,行ってみました.


▲フタスジサナエは,トラフトンボの飛ぶ池でオスがたくさん水辺に出ていた.▲


▲オグマサナエのオスは池に出ていて,メスを待っているようだった.▲

コサナエ属のトンボたちは,もう未熟期を終えて,繁殖活動期に入っているようでした.オスたちはみんな池に出ており,草むらなど,未熟期を過ごす場所ではほとんど見つかりません.これは産卵活動の観察も期待できそうです.時間的にここへ来たのが12時をまわっていたので,ちょっと厳しいかもしれないと思い,春にタベサナエの羽化をたくさん見た池で入ってしばらく待つことにしました.オスはすでに水辺で活動を始めています.


▲タベサナエも水辺でメスを待っているようだ.▲

しばらく水辺で立っていたとき,すぐ向こうで産卵しているメスを見つけました.久しぶりの産卵撮影で,ピントを合わせられません.結局草に止まった1枚だけで,全部だめでした.昨年秋以降トンボ観察をやっていなかったせいですね.


▲産卵メスがハリイ?に止まった状態.腹端に卵塊が出ているのが分かる.▲

コサナエ属の産卵は,経験上集中することが多いので,待ってみることにしました.時刻は12:50を少し過ぎた頃です.春のトンボは,気温が最も高いこの時間帯に産卵に来ることも多いのです.特に今日は気温が低めで,ここは日陰ですから余計にそうでしょう.

ほどなく,次の産卵個体がやって来ました.やはり集中しますね.時刻は13:02.今度の個体は枯れ枝のあるところで産卵しています.やはり他から見えにくいところが好まれるようです.


▲13:02,2回目の産卵観察.今度は少しピントが来た.▲

2回目の飛翔産卵の撮影,今度は少しうまくいきましたが,それでも微妙にピントがずれています.考えてみると,このカメラ修理に出したので,いろいろな状態が初期化されているかもしれません.視度調整を厳密にやって見ました.やはり少しずれていたようです.さて,もう来ないかもしれませんが,もう少し待ってみることにしました.なんせ昨日まで悪天候で今日は晴れていますから,経験上産卵密度は高いはず.腰を下ろして待っていると,13:23,やって来ました産卵メス.


▲3回目は比較的ピントが来た.産卵するタベサナエのメス.▲

トンボ撮影もはやり慣れて感覚を忘れないようにすることが大切です.このあと,オグマサナエの産卵もねらってみましたが,不発でした.帰り際,ムカデさんの遊泳を見ました.ゲストで紹介しておきます.


▲水に落ちたのだろうか,ムカデさんが遊泳していた.▲

いよいよ春のトンボたちの繁殖活動も本格化してきたようです.しばらくは忙しくなりそうです.今日は,上記で紹介した以外にはクロスジギンヤンマとヤマサナエを見ました.

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No.12. セスジイトトンボ.オス・メス
No.13. アオモンイトトンボ.オス・メス
No.14. ショウジョウトンボ.メス
No.15. トラフトンボ.オス
No.16. ヨツボシトンボ.オス

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No. 954. 成虫越冬種三者そろい踏み.2024.4.28.

今日は,そろそろオグマサナエが繁殖活動を始めるのではないかと思い,去年オグマサナエがたくさんいた池に行ってみました.結果はまだ少し早いように思えました,池に出てきているオグマサナエは2頭だけ.そして今年は他のコサナエ属も含めて個体数が少ないように感じました.去年は池の堤を歩くと次々とコサナエ属のトンボが飛び立ったものですが,今年はパラパラという感じでした.


▲池に出てきていたオグマサナエのオス.驚いて飛び立ちホバリング.▲

フタスジサナエはまだ未熟な個体がほとんどという感じでした.タベサナエは見ていません.池ではホソミイトトンボとホソミオツネントンボが繁殖活動をしていました.またクロイトトンボが羽化を始めていました.


▲羽化しているクロイトトンボ.▲

あとコサナエ属に混じってシオカラトンボが飛びました.今年初ものです.


▲シオカラトンボのメス.▲

そこで次は,この3月末にオツネントンボを観察した池に行ってみることにしました.ホソミイトトンボやホソミオツネントンボが活動しているのを見て,あっちの池の様子も知りたくなったからです.

池に着くと,まあ,たくさんのホソミイトトンボが活動をしていました.全部で50頭以上いたのではないでしょうか.それに混じって,ホソミオツネントンボもいましたし,オツネントンボも老熟したのがまだたくさん頑張っていました.久しぶりに見る成虫越冬種三者そろい踏みです.10年くらい前は,ゴールデンウィークあたりにこういうそろい踏みをよく見たものですが,今年は久しぶりです.


▲まだオツネントンボは頑張って飛び回っていた.大分色が落ちてきている.▲


▲岸辺の草に止まって移精行動をとるペア.オスは翅がボロボロだ.▲


▲オツネントンボが止まっている下でホソミイトトンボが交尾している.▲


▲ホソミオツネントンボも産卵している.▲

三者の中ではホソミオツネントンボの個体数が一番少なかったようです.ホソミイトトンボはグループ産卵をよくやるトンボです.ですから,隣り合った位置に止まって産卵するのを多く観察しました.


▲産卵したり交尾したり,活動最盛期と思わせる状態であった.▲

さて,十分楽しめましたので,次にカワトンボが羽化していることを確かめに,小川のある谷筋に行ってみました.ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボが羽化をしていました.そこには,コサナエ属もいましたが,やはりまだ未熟という感じでした.コサナエ属の繁殖活動が本格化するのは,5月に入ってからになりそうです.そしてうっかり同定ミスしてしまいましたが,ダビドサナエのメスも羽化していました.


▲ニホンカワトンボの未熟オス.アサヒナカワトンボはピンボケでした.▲


▲上から,タベサナエ,オグマサナエの順です.いずれもまだ未熟だ.▲


▲思い込みから最初フタスジサナエと誤同定.これはダビドサナエのメスです.▲

今年はシオヤトンボの数も少なく感じますし,コサナエ属もまだまだ未熟状態です.気温は今日28℃ありましたが,トンボの春は少し遅れ気味,というより,10年ぐらい前の標準的出現状況になっているようです.

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No.08. クロイトトンボ,羽化.
No.09. シオカラトンボ,未熟.
No.10. ニホンカワトンボ.未熟
No.11. ダビドサナエ.未熟

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No. 953. フタスジサナエの羽化.2024.4.25.

しばらく遠征旅行をしていたため,2週間ほど間が開いてしまいました.この3日間曇や雨だったのですが,今日は移動性高気圧がやって来て晴れ.コサナエ属の状況と,ホソミイトトンボがいないかを探しに行きました.

コサナエ属3種は,いずれも未熟な状態で,草原などを飛んでいました.その中でフタスジサナエの数が少ないと感じていましたが,池をのぞいてみると,今が羽化の真っ盛りという感じでした.多くがメスです.フタスジサナエは以前からオスの方が若干早く羽化すると感じていましたが,その通りで,見た感じ,未熟で飛んでいるのはオスばかりでした.


▲フタスジサナエのオス.この個体は池のそばに止まっていた.▲


▲オグマサナエのオス.まだ未熟である.▲


▲タベサナエのメス.個体数はタベサナエが一番多かった.▲

下の写真には羽化しているフタスジサナエが6頭写っていますが,写真を撮る前に2頭飛び立ってしまったので(羽化殻が2つ見えます),合計8頭がほとんど同じ場所で一斉に羽化していました.


▲フタスジサナエは羽化の真っ盛り.それも多くがメス.▲


▲羽化するフタスジサナエたち.▲

フタスジサナエの羽化は,10年くらい前まではだいたい4月の下旬から末くらいの間でした.今年はその当時と同じくらいの時期に羽化していますね.今年は全般的にこの2,3年に比べると出現が遅いのですが,昔の感覚ならちょうどぴったりというところです.今年は,オグマサナエ,タベサナエに始まって,フタスジサナエと南部のコサナエ属3種の羽化を全部記録できました.

フタスジサナエが羽化しているすぐ横で,シオヤトンボが産卵をしていました.シオヤトンボの出現も以前並みに遅れています.


▲産卵にやってきたシオヤトンボのメス.▲

遠征旅行ではサブカメラを使っていましたが,やはりメインカメラの方がきれいに写るような気がします.画像処理のチップが違うようです.

さて,コサナエ属の状況が確認できましたので,次は成虫越冬性トンボで残されている,ホソミイトトンボを探しに行くことにしました.4月上旬にオツネントンボを見に行った2つ目の池へ出かけました.オツネントンボが1頭ホソミオツネントンボが4頭ほど飛んでいて,それに混じってホソミイトトンボが,3ペアと単独オスが5頭ほど見られました.


▲タンデムのホソミイトトンボ.▲


▲産卵行動をとってもすぐ止めてしまい,近づくこともできない.▲

ペアは飛んでいるのですが,なかなか産卵をせずあちこちを飛び回っているだけです.ちょっと止まって産卵行動をとるのですがすぐ止めてしまいます.産卵はもう少し後の時間帯なのかもしれません.対して,交尾は2例見られました.


▲移精行動をとっている.メスは交尾の態勢.▲


▲移精行動のあと,交尾になった.▲


▲オスは止まってメスは飛んでいる!?.▲


▲やがて上のペアも交尾態勢に入った.▲

今年は,2018年に続いて,できるだけたくさんの兵庫県のトンボに出会うのが目標ですので,1種類ずつきちんと押さえていきたいです.

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No.06. ホソミイトトンボ.交尾・産卵
No.07. シオヤトンボ.産卵.

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