神戸のトンボたち
K049. ホンサナエ Shaogomphus postocularis
オスの静止.1990.5.30.,神戸市北区.
オスの静止.1990.5.30.,神戸市北区道場町生野(武庫川)./神戸市RDB:
 神戸市では,ホンサナエは数の少ないサナエトンボですが,松本(1982)によると,1965年頃北区にはたくさんいたと記されており,採集記録もあるので,ここでは確実に繁殖を繰り返していたものと考えられます.1990年代には,北区淡河川では幼虫,羽化殻,羽化しようとする幼虫,成虫と,各ステージを観察したので定着していたことはまちがいないでしょう.かつてはどこにでもいた普通種であったといわれていますが,河川環境の変化とともに個体数を減らしていったのだと思われます.
 市内での記録は北区道場町・淡河町,西区櫨谷町にあります.淡河町から少し流れを下った三木市志染町を流れる淡河川には2000年初めに見つけています.また北区道場町の武庫川に流れ込む波豆川(三田市内)でも,2010年に見つかっています.しかしこれらいずれの地域においても現在は姿を消しており,神戸市とその周辺ではほぼ壊滅状態です.いちおう神戸市RDBではAとなっていますが,今後「市内絶滅」になる可能性は十分にあります.

標本で見る消えたトンボたち

 神戸市内で絶滅状態と思われる本種について,皆さんの再発見を期待し,過去の生息地名を公表しています.もし見つけたら,トップページ下部に掲載しているメールでお知らせいただけると幸いです.