神戸のトンボ
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ムカシトンボ亜目
/ ムカシトンボ科
更新: 2017.05.01. 12:00
デジタルトンボ図鑑
ムカシトンボ科
Epiophlebiidae Muttkowski, 1911
ムカシトンボ科の種は,日本特産種のムカシトンボ
Epiophlebia superstes
(Selys, 1889)
とインド,ネパールに分布するヒマラヤムカシトンボ
Epiophlebia laidlawi
Tillyard, 1921
,そして最近中国黒竜江省で発見された
Epiophlebia sinensis
Li & Nel, 2012
の3種だけである.ヒマラヤの産地は近づきにくい山中にあるので標本が得にくく,また生態学的研究にもほとんど手がつけられていない.中国の産地は日本と類似の環境であるという.一方日本のムカシトンボは,山に入ればすぐにその姿を見ることができ,分布も広い.それ故本種は,日本の研究者により非常によく研究されており,形態学的研究,発生学的研究,生態学的研究など,多数の文献が,日本語または英語で存在する.ムカシトンボの研究に関しては,日本はもっとも優位な立場に立てる条件を備えている.
ムカシトンボは源流域に棲んでいて,流畔に生えているフキやジャゴケに産卵する.よって源流域に産卵のために植物が生えていることが生息の必要条件となる.一般的に源流域の水温は低く,また曝気されることが多いので,溶存酸素量も高い.ムカシトンボの幼虫の腹側は石のカーブに沿って曲がるようになっていて,小さな幼虫は写真のように石によくくっつく.おそらくこういったところで,カゲロウやカワゲラの幼虫をつかまえて生活しているものと思わる.幼虫期間は非常に長く,飼育によると5〜8年といわれている.
図1.ムカシトンボの生息環境.
図2.流れの石にはりつくように歩くムカシトンボの幼虫.
図3.林の中の羽化殻(矢印).
羽化一カ月くらい前には水から出て陸上で生活し林の中などで羽化する.
図4.ジャゴケを始め,様々な植物に産卵する.
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ムカシトンボ科
Family Epiophlebiidae
ムカシトンボ属
Genus
Epiophlebia
060.
ムカシトンボ
Epiophlebia superstes
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