トップ写真の解説
アオイトトンボは夏の終わりには産卵を始めるので,10月の下旬といえば産卵としてはかなり遅い時期になります.オスもメスも体が汚れて,長生きしている感じが出ています.この日,この池では,あちこちでこのようなペアが産卵をしていました.アオイトトンボはこのように通常水面より高い位置に産卵します.
連結植物組織内産卵.2011.10.29.
成虫
アオイトトンボは,兵庫県下では,5月下旬から11月下旬にかけて成虫がみられます.5月下旬から6月上旬のため池で,大量の羽化に遭遇することがあります.成虫はそのまま近くの樹林の林床に入り,夏を過ごすことになります.樹林の隣接しない平地や市街地のため池では,まれにヨシやガマの間に潜り込んでそのまま夏を過ごしているときがあります.9月下旬ころ水域に戻り,連結植物組織内産卵を行います.多産する池では,数多くのペアが産卵するシーンにお目にかかれます.通常はヨシやクログワイなどの茎の水面より高い位置に産卵すします.ただ,最近の報告では,潜水産卵など,水面下の産卵も観察されています.
移精行動.2012.9.16.
幼虫
アオイトトンボの幼虫はオオアオイトトンボと非常によく似ていますが,メスの原産卵管やオスの原生殖器の形態を比較するとなんとか区別できます.よく見る個体としては,アオイトトンボの尾鰓の色はふつう淡褐色で,オオアオイトトンボは濃いものが多いようですが,アオイトトンボでも濃いものもあるので注意を要します.秋に産下された卵はそのまま冬を越し,翌春孵化をします.幼虫の成長速度は非常に速いです.
スタジオ写真.2011.6.14.