質問です。恐らく産卵に来たのであろう場所で、ギンヤンマのメスが画像2、画像6のようなポーズ。腹端部分を水没させないように反り上げているように見えますが、どのような意味があるのでしょうか。
9月20日は朝から小雨が降ったり止んだり。午後になり雨雲が切れたので野周りへ。 丘陵の山麓、水路の中ほどに草にしがみ付くように止まるギンヤンマのメスを発見。翅はぼろぼろ、よく飛んできたものだと感心。 メス待ちのショウジョウトンボを撮影していて、ふと気付くと草から姿が消えていた。何気なしに水面を見ると先ほどのメスがじっとしていた(画像2)。 息があるようなので掬い上げると、翅音を立てて歩き回り、水路の縁の湿土や水中の草で産卵行動をしていた(画像3〜5)。シオカラトンボ♂にいじめられながらの産卵行動でかわいそうのようだった。 他のトンボを観察していたが、翅音が聞こえなくなった。そこで、ギンヤンマの方を見ると腹端部分を水没させないように反り上げて水に浮いていた(画像6)。まだ息はあるようなので、掬い上げ、今度は水面の草にたからせた。すると、その草で産卵行動を始めた。 その後、水際の草に登り止った。歩き回ったり、茎に登ったりするのだから脚力はそれなりのものが残っていたと見えた。 そして、4分後、さらに力が落ちたのか不自然な止まり方になった(画像7)。それからちょうど60分後、脚の位置、角度は多少の変化があったが、不自然な体勢のまま同じ茎に止まっていた。
画像1 翅はぼろぼろ、オスの翅休めかと思ったが、産卵に来た(?)メスだった。 画像2 飛べずに水面に。 画像3 湿土に産卵行動 画像4 水上の茎で産卵行動 |
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最期まで頑張るギンヤンマのメス・続き 権兵衛 2020年9月23日(水) 18:47 |
画像5 水中の茎で産卵行動 画像6 いつの間にか、水面に 画像7 腹端を水面から浮かせて草の茎に止まる 画像8 画像7の60分後。同じ茎に止まっていた。
なお、画像7 の状態でオスが通過したが素通りだった。 と、こんなことを観察してきました。
ところで、No.752. 続 ナニワトンボの観察.2020.9.22. ビデオ:カエルに食べられたマユタテアカネ.拝見しました。マユタテアカネをモシャモシャと食らう蛙が憎たらしく思えました。でも、蛙が獲物を待ち構える場所で産卵してはだめですね。
ビデオを見て、クロイトトンボの連結が産卵場所を移動した瞬間にペロリ。や、雌探しのクロスジギンヤンマが水中に引きづりこまれる姿などを目撃したのを思い出しました。トンボもカエルも必死に生きているのですね。
ビデオでツクツクボウシとミンミンゼミが聞こえましたが、当地はツクツクボウシがかろうじて残っているだけです。
今回のギンヤンマのメスのポーズの件。ビデオ編集でも済みましたらご教示をお願いいたします。 |
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腹部を上に反らす 管理者 2020年9月23日(水) 19:42 |
ご投稿ありがとうございます.
このギンヤンマ,かなりひどい状態ですね.でもメスは最後の力をふり絞って死ぬまで産卵を続けるようです.ムカシトンボで一度見たことがあります.産卵後落ちるのです.腹部先端を上に曲げる姿勢については,意味は分かりません.ただときどき水面に落ちたヤンマで見かける姿勢ではあります.写真1はギンヤンマのオスが水面に落ち浮かんでいる状態ですが,腹部先端を曲げています.2枚目はオオルリボシヤンマで,もがいているとき,腹部が水面に出ています.こちらは上方に反るように曲がってはいませんが.
腹部先端には肛門や生殖口がありますが,それをぬらさないためでしょうか? よくわかりません.写真のオオルリボシの方はもがいて上半身を水面に出そうと反らしているために,反動で腹部が上に曲がっているのでしょう.
このギンヤンマさん,本当にご苦労様です.
セミですが,実は昨日9月22日に,クマゼミが1頭泣いているのを聞きました.もう狂い鳴きとしか思えない時期です.ミンミンゼミとツクツクボウシはまだあちこちで鳴いています.こちらは例年通りです.そして孫と虫取りに行った8月29日には,まだクマゼミが集団鳴きしていました.私の子どものころは,クマゼミはだいたいお盆を過ぎると鳴かなくなったように覚えています.セミの季節も少し変化しているように感じます.
それでは失礼します. |
注意しながら観察をしてみます 権兵衛 2020年9月25日(金) 13:44 |
ビデオ編集でお忙しい中、ご教示をありがとうございました。
今回のギンヤンマのメス、発見時、水路の中ほどの草の高い位置にしがみ付くように止まっていましたが、撮影した画像を見ると、産卵後の休憩だったようです。画像1で、脚には泥や草(⇒矢印)が付いていました。 産卵後、飛び上がって止まったのか、よじ登ったのは定かではないですが、それなりに休んだのではないでしょうか。そして、もう一踏ん張りと思ったら飛行力の限界が来ていて、画像2の状態になったのかもしれません。
水上で腹部先端を上に曲げる姿勢については、注意しながら観察をしてみたいと思います。
ところで、この水路、昨年までとは環境条件が変わったのか、今年はクロスジギンヤンマ、ショウジョウトンボの産卵も見ました。ギンヤンマの産卵ともども、この場所では今年が初見でした。 昨年まではシオヤトンボ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、それと、アキアカネとオニヤンマの産卵しか見られませんでした。 果たして、全てのヤゴが育つかどうかは不明ですが、来期の観察の愉しみが3種分増えました。 ただ、今年からアメリカザリガニが棲みついてしまったので、どうなるか心配です。
画像9 脚には泥や草が。画像1 のトリミング 画像10 気のせいか疲れたような複眼。画像6 の16秒前。既に画像6 の体勢。 画像11 元気に満ちた表情?。8月1日、近くの溜池で。 画像12 参考、クロスジギンヤンマも産卵していた。6月12日
お世話になりました。 |
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翅が水に捉えられていますので事故だと思います 管理者 2020年9月25日(金) 14:26 |
写真2枚目(画像10)のギンヤンマの翅が水に捉えられています.また翅が白くなって(画像9)水をはじけなくなっているように見えます.
表面張力?で翅が捉えられると,へたをすると不均翅類のトンボは水から脱出することができなくなります.若くて力があれば強引に水から抜け出すこともありますが,弱っているときは,植物などにつかまって,脚を使って這い上がるしかないようです.
翅が水面にぺったりと貼り付いたようになっている場合は,明らかに事故です.だからこのギンヤンマは「必死」になっていたと思います.写真7,8は必死で這い上がったあとだったと思います.そういう意味で休息しているのかも知れませんね.
添付写真はすべて水に落ちた不均翅類です.翅の裏側が水の表面張力?に捉えられています.自力で翅を持ち上げようとしても,水に引っ張られてうまくいかないことが多いです.この例3匹とも助けてあげました.
それから4枚目(画像12)のクロスジギンヤンマ,ひょっとしたらギンヤンマとクロスジギンヤンマの雑種(スジボソギンヤンマ)かも知れません.捕まえれば良かったかも知れませんね.ちょっと写真だけでは判別できません.季節外れのクロスジギンヤンマは捕まえることをお薦めします.
それでは失礼します. |
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必死で移動したギンヤンマ 権兵衛 2020年9月25日(金) 21:21 |
再三のご教示をありがとうございます。 「水の表面張力?」とか勉強になります。ヒトがボートや船の底を潜ろうとして動けなくなってしまうのと同じ原理でしょうか。
次の投稿をしようとしたら、回答がありましたので、画像の補足など。
画像10 、画像6 と続き、撮影後、掬い上げ、水面の草にたからせると、その草で産卵行動を始めました(画像13 )。その後、草伝いに産卵行動をしながら岸に到達して、草の茎を必死で這い上がリました。脚力はあるので登るのは早かったです。画像7 の直前が画像14 になります。 画像14 は自然な止まり方のように見えました。画像14 の撮影から4分後、脚力が足らなかったのか、画像7 の体勢になってしまいました。休息しているのにしても不自然な体勢でした。 1時間後も力なく止まっているように見えたので、翌朝にその後を確認しに寄るつもりでした。ところが、朝の用事が慌しくて、山地へ出かける時間も遅くなってしまったので、すっかり忘れてしまいました。結末が確認できない中途半端な観察になってしまったようです。
画像13 産卵行動をしながら草伝いに移動 画像14 長い産卵行動の後の休息。自然の体勢に見える。
いずれにしても羽ばたいても飛ぶことのできなかったメスは必死だったことでしょう。
私も、届くときは、水面に浮かぶ、自力で飛び上がれないトンボを助けます。山の湿地でのアキアカネの画像がありましたので貼っておきます。
画像15 水面にへばりつくように浮かぶアキアカネ。脚が動いたので掬い上げる。 画像16 水から離れた笹に止まらせた。複眼に水滴がついている。
それから4枚目(画像12)のクロスジギンヤンマ、6月12日のもので、季節外れの個体ではありません。因って、ギンヤンマとクロスジギンヤンマの雑種(スジボソギンヤンマ)の可能性は低いと思われます。スジボソギンヤンマは機会があれば観てみたいです。 ところで、トンボ観察の必需品だと思うのですが、私は網と棹を所持していません。先シーズンと今シーズン初めに、今年こそは調達しようと思ったのですが、時間が足らなくてそのままになってしまいました。 山の湿地以外は基本的に自転車で移動しているので、装備類が最小限しか運べません。そんなこともあり、新たな装備の調達は二の次になってしまいます。 それでも、棹はあると止水域でのトンボの救出や羽化殻の回収に重宝なので、それなりの長さがあって短く収まるものを調達したいです。ヨシの生えている場所なら、トンボの救出や羽化殻の回収に棹は不要ですが、ヨシの生えている場所ばかりではありません。
お世話になりました。 |
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