兵庫県のトンボ幼虫ガイド
H029. ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera
ネアカヨシヤンマ終齢幼虫
写真1.ネアカヨシヤンマの終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長は35−45mmくらい.2010.5.24.
<特ちょう>
 ヤンマ型をした幼虫で,全体に角ばった感じがします.ネアカヨシヤンマには,ほかのヤンマの幼虫にはない大きな特ちょうがあります.それは背中にとげ(背棘:はいきょく)があることです.腹の背中の先のほうを見てみましょう.下の写真2のようにとげがあれば,ネアカヨシヤンマに間違いありません.ほかのヤンマには,ここにとげのある幼虫はいません.そのほか,写真3のように,腹の横の部分にもとげ(側棘:そっきょく)があります.

ネアカヨシヤンマのはいきょく ネアカヨシヤンマのそっきょく
写真2.ネアカヨシヤンマの背中のとげ.第8,9節にあります. 写真3.ネアカヨシヤンマの横のとげ.第5〜9節にあります.


<よく似た幼虫との区別>
 ネアカヨシヤンマにそっくりな幼虫に,アオヤンマがいます.でも,アオヤンマには背中のとげがありません.


<さがす場所のヒント>
 この幼虫は,浅い湿地(しっち)や小さな水たまりで生活しています.ふつうの池でも,岸の部分に浅い湿地のようなじゅくじゅくしたところがあれば,見つかることがあります.成虫は,下の写真4のような,水のない泥(どろ)の上で卵を産んでいます.ここは雨がふると水につかって,卵からかえった幼虫が生活できるようになります.ですからそういったところにある水たまりで幼虫がとれます.羽化を観察したいときは,6月のはじめくらいにとりに行くとよいでしょう.そのころに羽化が近い終齢幼虫が見つかります.秋から冬にかけての幼虫は小さいので,飼って羽化させるのはむずかしくなります.

ネアカヨシヤンマの産卵場所.
写真4.ネアカヨシヤンマの産卵.ネアカヨシヤンマは夏に水がなくなるような湿地に卵を産みます.