みなさんは,昆虫とそうでないものの区別がつきますか? 身のまわりには昆虫によくにていても,昆虫でない生き物がいます.例えば下の写真の生き物は昆虫でしょうか? それとも昆虫ではないでしょうか?
上の写真は,左がサワガニ,右がジョロウグモです.そう,これらは昆虫ではありません.昆虫の特徴は,体が,頭・胸・腹の大きく3つに分かれていて,脚(あし)が6本あることです.写真をよく見ると,サワガニは,脚が,はさみを入れて片側に5本,つまり全部で10本がありますし,クモの方は全部で8本ありますね.クモは昆虫に近いなかまであると考えられることがありますが,実はかなり遠い親戚(しんせき)です.例えば同じ脚でも,クモの前脚(まえあし)や2番目の脚は昆虫では顎(あご)や下唇(かしん)に変化していると考えられています※1.なお,昆虫には,翅(はね)はあるものとないものがありますので,翅のあるなしだけでは昆虫かどうかを決めることはできません.
でもこれらの生き物が,時々昆虫とまちがえられるのは,体の外側が固くなっていて,脚に節があるところがにているからでしょう.エビ,カニ,クモ,ダンゴムシなど,脚や体に節のある動物をまとめて節足動物(せっそくどうぶつ)と呼んでいます.昆虫も節足動物のなかまです.ですから,クモやカニとも,大きなグループでは同じなかまということになりますね.
ところで,生物のなかま分け(分類(ぶんるい)といいます)は次のようになされています.いちばん基本の単位は種です.モンシロチョウ,ギンヤンマ,クマゼミ,などというのはこの「種」の名前です.種がちがうと,ふつうは子どもができません.そしてよくにた種を集めたグループを属(ぞく),よくにた属を集めたグループを科(か),よくにた科を集めたグループを目(もく),よくにた目を集めたグループを綱(こう),よくにた綱をあつめたグループを門(もん),とよびます.たとえば,みなさんがよく知っているモンシロチョウは,節足動物門−昆虫綱−チョウ目−シロチョウ科−モンシロチョウ属−モンシロチョウ(種),となります.
では次に昆虫のなかまを見ていきましょう.みなさんは下の写真に出てくる昆虫の名前をいえますか?
さてどうでしょう.解答は下のようになります.全部当たりましたか? 全部当てることができたら,昆虫についてよく知っている人だといえます.
1.チョウ (カラスアゲハといいます)
2.ガ (スズメガのなかまでホシホウジャクといいます)
3.ハチ (オオスズメバチといいます)
4.クワガタムシ(コクワガタといいます)
5.ゲンゴロウ (その名のとおりゲンゴロウです)
6.カブトムシ (その名のとおりカブトムシです)
7.セミ (ヒグラシといいます)
8.バッタ (キリギリスといいます)
9.カマキリ (チョウセンカマキリまたはオオカマキリです)
10.ナナフシ (正しい名前はわかりません)
11.カゲロウ (モンカゲロウの一種だと思われます)
12.トンボ (オニヤンマといいます)
写真で分かるように,昆虫といってもいろいろな種類があります.写真ではよく分からないかもしれませんが,全部脚が6本あるのです.
それではトンボについて学習を始めることにしましょう.