デジタルトンボ図鑑
ショウジョウトンボ Crocothemis servilia mariannae Kiauta, 1983
ショウジョウトンボ:♂,兵庫県小野市.♀,兵庫県たつの市
♂,2001.6.18.(左),♀,2001.6.30.(右)./ スケール:1.0cm. 146% on 150ppi.
<分類学的位置>
 トンボ目 Order Odonata
 トンボ科 Family Libellulidae
 ショウジョウトンボ属 Genus Crocothemis

<分布> 
 北海道(南端の一部)・本州・四国・九州に分布し,周辺の離島でも見られる.種子島,屋久島にまで分布しているが,トカラ列島以南は,原名亜種のタイリクショウジョウトンボ Crocothemis servilia servilia が分布する.海外では,Kwang(2011) の韓国産トンボ目のチェックリストに,Crocothemis servilia mariannae が記載されていて,韓国にはこの亜種が分布している.また彼は,自身のWebサイト(韓国語)で,本亜種が満州・シベリアに分布すると記している.

<特記事項>
 かつては,本亜種は,台湾や中国に産するものと同種のショウジョウトンボ Crocothemis servilia としてひとくくりで扱われていたが,オランダの研究者 Kiauta (1983) が,日本本土産のショウジョウトンボの染色体数(核型)が中国などに分布するものと異なることを発見し,日本本土産のものを別亜種 Crocothemis servilia mariannae とした.その後 Higashi & Kayano (1993) は,九州北部から与那国島までのショウジョウトンボについて染色体数を調査し,奄美大島以南のものが,台湾などに産するものと核型が同じであることを発見した.杉村ら(1999)は,外部形態から,トカラ列島のものもタイリクショウジョウトンボ Crocothemis servilia servilia に含まれるとした.
 ♂は全身が赤くなり,♀は未熟なときは,翅も含め,全身が鮮やかな黄色をしているが,成熟すると黄褐色になり地味な感じになる.本種は初秋にも羽化するが,このとき特に翅色の濃い未熟な個体(写真下)をオオキトンボ Sympetrum uniforme と間違える場合がある.出版されている書籍などでもこの間違いが見られるので注意を要する.本種はオオキトンボと比べて腹部が上下に扁平であって,すぐにそれと分かる.♂も,時にアカトンボと間違えられることがあるが,同様に腹部が上下に扁平であることや,胸側にほとんど黒条斑がないことで区別ができる.

Kiauta, B., 1983. The status of the Japanese Crocothemis servilia (Drury) as revealed by karyotypic morphology (Anisoptera: Libellulidae). Odonatologica, 12:381-388.
Higashi, K. & H. Kayano, 1993. The distribution of distincy karyomorphs of Crocothemis servilia Drury (Anisoptera, Libellulidae) in Kyushu and the South-western Islands of Japan. Jpn. J. Ent., 61:1-10.
Kwang-Soo Jung, 2011.Odonata larvae of Korea. Nature & Ecology Academic Series 3.

<生体写真>
オスの生体写真

メスの生体写真

メスの生体写真