今日は朝から晴天.家から小一時間のところにある田園地帯のお散歩コースを歩いてきました.よく晴れて,気温もさほど高くない,この「高くない」というのが大切で,最近は冬が終わったと思ったら春を通り過ぎていきなり夏といった気温の変化が何か普通のようになっている気がしますが,今日は春らしい穏やかな晴天でした.

まずはムカシヤンマのようすから確かめることにしました.羽化はもう時期的には少し遅いと思いますが念のためというところです.丹念に探すと,羽化殻が2個ついていました.これはひょっとしたら未熟なムカシヤンマに出会えるかと思い少し歩いていると,何と,道に,ムカシヤンマの轢死体が落ちていました.個体数がそれほど多くないのに,未熟なうちからこうやって死んでいくのは残念でなりません.

さて,さらにお散歩を続けました.少し行くと,いましたいましたムカシヤンマのメスが.幸先のよいスタートです.日陰の道路に止まっていました.写真を撮り終わっても全然動かないので,このままだと車に轢かれてしまうと思い,飛ばすために体に触りましたら,地面でばたばたと暴れるだけで飛び立ちません.なんと体がまだ柔らかい,おそらく羽化直後の個体でした.仕方がないので掴み上げ,道路横の草の中に止まらせておきました.

少し行くと,今度はオスが道路に止まっていました.今日のお散歩は本当によくできていて,頭で描いた最良の状態が次々と眼前に現れると行った感じです.この個体も撮影の後,車に轢かれそうな予感がしたので飛ばしました.こちらは結構飛ぶのですが,どういうわけかすぐに道路に戻ってきて止まります.いくら追い立てても道路がよほど好きなのか,人間に嫌気も差さず,道路に止まります.まあ仕方ないので成り行きに任せることにしました.が,予感は的中.今日の帰り道で,やはり車に轢かれた遺体を発見してしまいました.またもや轢死です.本当にこうやって次々と数少ないムカシヤンマが死んでいくのを目にするといたたまれない気がします.ここでは個体数が少ないトンボなのに.

また道をどんどん歩いていきました.いろいろなトンボに出会いましたが,それはまた後で紹介するとして,しばらく行ったところでまたムカシヤンマのオスに出会いました.今日は本当についているようです.こちらは非常にしっかりとした飛び方をし,最後に追い立てると,林の中に飛び去りました.これが普通ですよね.

さて,ムカシヤンマの話はこれくらいにして,今日非常によく目についたのは,オグマサナエでした.昨日,オグマサナエを見るためにわざわざ出かける必要がなかったくらい,今日のコースではオグマサナエがメインという感じでした.毎年感じることですが,出会えるときにはどこへ行ってもいるという感じですね.今日のオグマサナエは,未熟~やや成熟の個体が入り交じっていて,特にオスが多く見られました.全体的印象としては,前生殖期の終わりころの時期で,オスもメスもまだ池に戻らず,こうやって田園地帯で過ごしているといった感じでした.

このオグマサナエ,どの池で孵ったのか,一度確認する必要があります.これは次回の課題にすることにしました.今日は,お散歩の最後にタベサナエの繁殖活動という目的があるからです.

オグマサナエ以外のコサナエ属はタベサナエです.こちらはどういうわけか,メスばかりが目につきました.きっと産卵意欲のないメスが,田園地帯を飛び回っているのでしょうね.後の観察で,成熟したオスは池の周辺に多数集まっていました.したがって,タベサナエはオグマサナエより少し早く前生殖期を終え,成熟したオスは池に,成熟して産卵意欲のないメスが田園地帯に分かれて生活しているといった印象でした.

ここにはフタスジサナエは全くいないようです.3年くらいここに来ていますが,まだ姿を見たことはありません.これ以外には,ニホンカワトンボ,アサヒナカワトンボ,シオヤトンボ,シオカラトンボなどが見られました.

ということで,最終目的のタベサナエの繁殖活動の観察に向かいました.次の欄に分けて紹介します(続く).

さて,今日の散歩の終着点はタベサナエの見られる池です.タベサナエは川でも見られます.川と池の両方で平気で繁殖をしている,ちょっと珍しいトンボといえるかもしれませんね.

池の周辺には伐採された後に伸び始めたドングリ(コナラ?)の木が生えていて,そこにたくさんのオスが止まっていました.池にはすでに多くのオスが入っているので,なわばりにあぶれたオスかもしれません.いずれも成熟したオスたちです.

さて,池に降りますと,そこには追いかけ合いをしたりして,なわばり争いをしているオスたちがひしめいていました.なわばり活動をしながらも摂食はするようで,1頭のオスはアサヒナカワトンボを捕まえて食べようとしていました.

時刻は10:30を少し過ぎたあたりです.先日コサナエを観察したときに,産卵にたくさんのメスがやってきたのがちょうどこのころでしたので,タベサナエも同じだろうと予想してやってきました.いや,今日は予定が本当に次々と実現していく日です.水際に降りるやいなや,メスが産卵に入りました.さっと飛び込んでくるといった感じで,水際の植物の葉に止まりました.卵塊をつくっているのでしょうか.そして,すぐにその場で上昇するように飛び立ち,産卵を始めました.

産卵を横から見ようとするのですが,どういうわけか,メスは私の股の下に入り込んで産卵します.上側に何か陰になるものがある場所が好きなのでしょうか,長靴のすぐそばで産卵しています.どうしても上から見下ろすような写真になってしまいます.メスは次々に入ってきました.次のメスは少し離れたところで産卵をし始めたので,ちょうどいい角度で写真が撮れるかと思いきや,またもや股の下に入り込んでホバリングします??.全く変なトンボですね.

その後も都合7.8頭のメスが入ったと思いますが,オスが見つけて連れ去るのも3頭くらいいて,落ち着いて写真が撮れたのは,最初の2頭だけでした.目の前でオスがメスをたたき落としつかむ瞬間を目にしました.また,別のオスは,メスをたたき落としましたが,メスが草陰に転がり落ちて隠れたため,オスは諦めて飛び去っていくというようなこともありました.

コサナエの時と同じで,11:20ころになると,メスがやってこなくなり,産卵活動はぴたっと終了したような感じでした.

今日は,お散歩コースといい,タベサナエの繁殖活動といい,ねらいがすべて的中した充実した半日でした.まあたまにはこういった日もなくてはねぇ.

今日は午前中だけ時間があったので,近くのオグマサナエの産地へ出かけてきました.午後から晴れるという予報に期待して出かけたのですが,毛糸を羽織らねば寒いくらいの気温で曇り空では,オグマサナエの活動も停滞気味でした.

着いたのは9:00過ぎでしたが,トンボはほとんど飛ばず,わずか1頭のサナエトンボが飛び立ったのを見ただけでした.あちこちロケハンついでに回って,10:30を過ぎた当たりから空が少し明るくなり,毛糸を着ているのが暑く感じるようになったころ,オグマサナエが水田に降りてきました.

見つかり始めると次々に出てくるもので,活動を始めたくなる気温というものを,ほとんどの個体が同様に感じているのでしょうね.ただ,すべてオスで,メスは姿を現しませんでした.またオスも,出てきたものの,白っぽいコンクリートなどに止まって,体を温めているといった感じでした.とても繁殖活動を始める気はしませんでした.

結局ペタペタ止まっている10頭ほどのオスを見かけただけで,時間切れで引き返しました.

今日は早朝から兵庫県北部へ出かけてきました.今年はあまり出る機会がないと考えているので,確実に晴れるときしか遠出しないことにしています.予報では昼から曇ってくるとのことで,晴れている間にと思い,朝駆けしました.ねらいはコサナエです.まずは昨年コサナエの幼虫を採ったところへ出かけました.

第一の観察地

8:30くらいに到着し,丹念に水際を見て回りましたが,コサナエの羽化殻や羽化中の個体は見つけることができませんでした.周辺も探してみましたが,シオカラトンボが羽化していたり,ハラビロトンボの未熟な個体などが見られただけでした.コサナエはまだ水の中にいるのかもしれないと思い,幼虫をすくって見ましたけれど,全く網には入りませんでした.でも思わぬものが網に転がり込みました.久しぶりのネアカヨシヤンマです.まだF-1齢幼虫です.

残念ながらコサナエの姿がなかったので,次の場所に移動することにしました.この地を離れるときにウスバキトンボの摂食飛翔を見ました.今年の初見ですね.

次の観察地は,昨年オオイトトンボを観察した公園です.ここには無数のシオヤトンボが飛んでいました.昨年夏に訪れたときには,シオカラトンボとオオシオカラトンボが無数にいました.シオカラトンボ属3種が数多く生息する場所だということが分かりました.これらは極めて普通種ではありますが,個体数が多いということは,何にもまして現在では貴重です.本当にトンボがあふれるほどいる場所が無くなっているからです.

すぐ横の細流には,ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボが混じって飛んでいました.面白かったのは,アサヒナカワトンボの透明翅型オスが,ニホンカワトンボの橙色翅型オスを追尾して飛び回っていたことです.同種の場合,一般的には橙色翅型の方がなわばりを持って強いといわれています.これは異種だからなのでしょうか,どうも兵庫県の透明翅型アサヒナカワトンボは,なわばりを持つ意識が強いように感じます.

さて,普通種に気を取られていましたが,本命のコサナエ探しに行くことにしました.行く途中,あちこちでシオヤトンボが産卵しているので,どうしても立ち止まってカメラを向けてしまいます.シオヤトンボも,オオシオカラトンボと同じように,腹端で水をかき,水滴を前方に飛ばして産卵する,飛水産卵を行っています.

シオヤトンボの産卵もそこそこに,コサナエのいそうな池に向かいました.すると,突然コサナエ属の三連結が道を横切りました.三連結はよく写真に撮られているのですが,私がカメラを持っているときに目の前に現れたのは初めてです.いやラッキーでした.

幸先のよいコサナエとの出会いで,ここにコサナエがいることを確信しました.少し歩くと,未熟なメスが道路横の木の葉の上に止まっていました.帰り道にはオスも止まっていましたので,まずは合わせてここに掲げておきます.

目的の池につくやいなや,コサナエが飛び回っています.またオスがメスをたたき落としてつかまえて交尾態で飛び去るのも見ました.ということで,腰を落ち着けてコサナエの繁殖活動を観察することにしました.オスは止まってメスを待つというよりは,頻繁に飛び立ち,岸辺に沿ってホバリングをしてパトロールしています.突然メスが入ってくると,オスは目ざとく見つけて,交尾態となって飛び去ります.交尾態になったペアは,一気に樹上へ上がってしまいます.

メスも次々に産卵に入ってきて,停止飛翔産卵をしています.ほとんど腹部を動かすことなく,水面上15~30cmくらいのところでじっとホバリングしています.とにかくオスが多いのですぐに交尾態になって連れ去られてしまいます.たくさん産卵を見た割には,写真が少ないことに帰ってから気づきました(笑).

11:30ころになると産卵も一段落したようです.もっとここにいたい気もしましたが,今日は欲張ってもう一箇所,ヒラサナエを見たいと考えており,一息ついたところで移動することにしました.

午後から曇ると言っていたとおり,少しずつ雲が空に浮かび始めました.この3年ほど,ヒラサナエを見に来るときはいつも曇り空なので,何とか,かっと晴れているときに未熟な成虫の写真を撮りたいと思っていました.

というわけで,ぎりぎり間に合い,緑の葉に止まる黄色がきれいなヒラサナエ未熟個体の写真が撮れました.この後空模様は下り坂になっていきましたので早々に引き揚げ,帰り道では雨に遭いました.まあ実質5時間足らずの駆け足観察でしたが,今日は成果があった一日といえました.

今日は晴れたり曇ったりといった天候でした.最近私事の仕事が増えて,なかなか遠くへは出られません.今日も近くの池に昼前後に出かけて,じっと観察を続けました.

今日の観察池

池ではもうトラフトンボ達が元気に活動を始めていました.オスたちは池の縁に沿ってなわばりを形成し,しょっちゅう追いかけ合いをしています.池全体では20頭くらいのオスがいたでしょうか.交尾態になったペアも次々に入ってきて,これも軽く10ペアを超えました.ただ,飛び回るトラフトンボは写真には撮りにくい相手です.

トラフトンボのなわばり飛翔と交尾飛翔

おまけに今日は,オスが多いせいか,交尾を解いたあと,普通なら近くに止まってメスが卵塊を作り始めるのですが,残念ながらオスに追い立てられて,池の背後の樹林高くに逃げてしまいます.オスが多すぎるのも困りものです.結局,卵塊を作るメスは写真になりませんでした.2回ほど岸辺に止まった個体がありました.交尾を解いて1回打水した後すぐ堤のワラビに止まって卵塊をはき出し始めたのですが,カメラを向けて2枚ほどシャッターを切ると,さっと飛び立ち,樹林へ上がっていきました.

トラフトンボ未熟オスと卵塊を作り始めたメス

まだ若いオスもいて,池の周辺で摂食をしています.時々止まる個体もありました.トラフトンボは今が一番個体数が多いのでしょうね.未熟,成熟,入り交じって飛んでいました.どうやら今年は数が多い年のような感じです.それでも打水の瞬間や卵塊をつくるシーンは撮れませんでした.なお産み落とされた卵紐は6本見つけました.たくさん産卵している証拠です.

トラフトンボの卵紐

今日はトラフトンボ・デーといった感じでした.そんななか,ヨツボシトンボも産卵に訪れました.トラフトンボのなわばりの中で産卵するので,トラフトンボのオスに追われながらの産卵です.あるオスはこのヨツボシトンボのメスに体当たりし,水面にたたき落として,強引にタンデムになろうとしました.ヨツボシトンボはいい迷惑です.でもそんな目にあっても,またしばらくすると産卵に戻ってきました.一方で今日まだ羽化しているヨツボシトンボのオス個体もいました.

ヨツボシトンボ達

さて,今年の課題は,均翅類の羽化の様相を去年に引き続き観察することです.Mnais属の幼虫が採れなかったので,こちらは来年回しになってしまいましたが,今日,イトトンボ科のクロイトトンボの羽化を確認できました.

クロイトトンボの羽化

写真の通り,クロイトトンボは直立型で,翅の伸張はサナエトンボと同じく,根元の方から伸びていきます.また成虫は懸垂姿勢を取らず,足で立っていることが分かります.この方式ですと,水平な位置でも羽化が可能です.クロイトトンボの羽化殻は,よく水平な位置にも着いています.

その他のトンボたち

その他には,フタスジサナエの姿が見えました.またクロスジギンヤンマのメスが池に入りました.残念ながら産卵は行わなかったようです.ということで,今日は短時間でしたが,中身の濃い観察ができました.

今日は曇で休業の予定でしたが,家内が山菜を採りに行きたいというので,すぐ近くのところへついていきました.近くに池があって,ここではフタスジサナエとオグマサナエの未熟な個体がふわふわ飛んでいました.

観察池

天気がよければもっと活発なのでしょう.今日は,墓石に止まる個体が多く,少し気温が低いせいかもしれません.サナエトンボはそこそこの数がいましたが,意外に敏捷で,すぐに樹上に上がってしまいます.樹上では小昆虫を追いかける姿も観察できました.

フタスジサナエたち

ここはフタスジサナエが多く,まだ羽化していました.3頭ほど,処女飛行で樹上に向かって飛び立ちました.中にオグマサナエも混じっていて,2種が混在して飛ぶという一昔前普通だった状況が残っているところでした.春は,畦を歩くと,サナエトンボがふわっと飛び立つのが,やはり季節感があっていいものです.

オグマサナエ

まあ,今日は,トンボ調査ではないので,1時間もしないうちに帰宅しました.

そろそろ羽化が見られるかもしれないという予想をもとに,今日はムカシヤンマの羽化状況を見に出かけました.これがプランA.だめなときはタベサナエやフタスジサナエの未熟個体の群れを探すというのがプランBです.現地に着きますと,ねらいが見事に当たったときは思わず小躍りしたくなりますね,たった1頭だけでしたがムカシヤンマが羽化をしていました.

ムカシヤンマの羽化環境

個体数が少ないこのムカシヤンマの羽化に出会えるチャンスはめったにないので,今日はここで処女飛行まで付き合うことにしました.ムカシヤンマは直立型の羽化をするので早く終わるだろうとたかをくくっていたのが大間違い.8:56に写真の羽化途中状態のものを発見してから,処女飛行に飛び立ったのが12:00前と,実に長いお付き合いをさせていただくことになりました.羽化開始はもっと早かったわけですから,実際は5時間くらいかけ羽化しているのではないでしょうか.

枝(1959)によるムカシヤンマの羽化経過の記録では,3例の観察で,いずれも3時間半程度であったと報告されています.これは飼育状態での観察ですから,今回のように野外ではもう少し時間がかかるのかもしれません.また,藤本ら(1994)の野外での観察においては,穴から出た幼虫が夜中に羽化場所を求めて歩き回り,その後の連続観察で7時ころにはじめて羽化途中の個体を見たという報告があるので,5時間くらいで羽化が完了するという推定は妥当な感じがします.

羽化するムカシヤンマ

ご覧のように,羽化していたのはメスですが,残念ながら腹部が曲がっている個体でした.羽化不全なのか,もともと病的な何かがあったのかは分かりません.ここの個体群はおそらくかなり小さなものなので,ボトルネック効果を受けて,遺伝的にかなり均一になっているせいかもしれません.ただし個体数が非常に多い個体群で行われた藤本ら(1994)でも,腹部が曲がった個体の羽化が報告されています.

処女飛行に飛び立った後に残された羽化殻

さて,羽化の観察がかなり長引いたので,その間に幼虫を探してみることにしました.これから羽化するものが見つかるかもしれません.また,すでに羽化した羽化殻がないか探しても見ました.結果,羽化殻はありませんでしたが,幼虫は2頭見つかりました.一見すると来年羽化する小さな幼虫という感じがするのですが,ムカシヤンマの幼虫は,意外にも羽化個体の太い体からは想像できないくらい小さいので,終齢かもしれません.取り出せば分かるのですが,今回はそのままそっとしておくことにしました.

ムカシヤンマの幼虫たち

藤本ら(1994)によると,羽化近い幼虫の穴では土が外に掻き出されているということです.そういう穴は4つありました.そのうち一つは中に幼虫が見あたりませんでした(下の写真上左).二つは幼虫がいて(上の写真),最後の一つはサワガニの穴でした.藤本らもムカシヤンマの生息地にサワガニの穴があることを報告しています.

土が掻き出されていた穴

藤本ら(1994)のいうように,羽化近い終齢幼虫が土を穴の外に掻き出すのであれば,これらは終齢幼虫ということになるでしょう.ただ,昨年10月にこの場所で採集 した終齢幼虫の穴でも,土が掻き出されていました(下の写真).私は,特に羽化近い幼虫だけが土を掻き出すのではないのだろうと推定しています.ですから,上の写真の 幼虫はまだ終齢になっていない幼虫の可能性もあります.

昨年観察されたムカシヤンマの幼虫

さて,今日はほとんどムカシヤンマと戯れて過ごしました.最後に,付近のトンボたちを見て帰ることにしました.下の写真以外にも,ニホンカワトンボの未熟個体を見ることができました.ホソミオツネントンボは,この観察地にはかなり数がいました.これで越冬三種の産卵シーンを写真に収めることができました.

その他のトンボたち

13:00を過ぎるころから雲が厚くなり始め,フタスジサナエを見に行く予定はキャンセルして,帰路につきました.


<参考文献>
枝 重夫,1959.ムカシヤンマの羽化経過.Tombo 2(3/4):18-24.
藤本勝行・吉田雅澄・杉谷篤,1994.滋賀県におけるムカシヤンマの観察記録.Aeschna (29):1-8.

今日は,春の小型サナエトンボを探して,各地を回ることにしました.例年ですと,この時期には,羽化地の近くの農道などをひらひらと飛び回っているころです.しかし昨年同様,今年もトンボの出現は遅れそうなので,どうなることやら….

第一観察地

まず最初は定点池から観察を始めました.フタスジサナエが羽化していないかどうかを確かめるのと,うまくいけば遅いトラフトンボの羽化なども見られるかもしれません.フタスジサナエやトラフトンボの羽化殻が見つかり,もうすでに羽化していることは確実なようです.でも未熟なトンボを見つけることができませんでした.いたのは,アジアイトトンボと,クロイトトンボの未熟個体でした.アジアイトトンボの方はもう成熟しており,先週あたりに羽化を終えていたようです.

アジアイトトンボとクロイトトンボ

目的のフタスジサナエを見つけることができませんでしたので,加古川市の方へ移動しました.ここも過去にフタスジサナエの羽化を観察したところです.池は水が多く,岸辺が,フタスジサナエの羽化にとってはもう一つの状態でした.

第二観察地

池に入って丹念に探しますと,羽化殻がちらほら見つかり,最後に羽化途中のメス個体を発見することができました.同じところへ観察に来続けると,だんだんとトンボの数が減ってくるのを実感できます.この池も,フタスジサナエの数があまり多くないような印象を持ちました.フタスジサナエについては,明日もう一度別の場所へ行って,未熟な個体が農道をひらひらするところを観察してみたいと思っています.

フタスジサナエの羽化

さて,いちおうフタスジサナエを見ることができましたので,次はオグマサナエです.オグマサナエは最近確実に見られるところが減って,この2年ほど,幼虫もあちこちでねらっていますがすくうことがまだ叶っていません.これもできるだけ確実なところをねらって,加西市へ出かけました.

第三観察地

春の田園地帯.農道の脇の草地や雑木の葉の上など,歩くたびにひらひらとコサナエ属のトンボが飛び回る.今から20年ほど前では,神戸市でもそういった場所がありました.これこそ春の田園地帯,サナエトンボ(早苗蜻蛉)という名前が付く由来となったのではないかと思われる,そういった風景は,もう絶滅危惧状態です.でも,この地は,まだそれがわずかながらも残っていました.

オグマサナエのオスたち

オグマサナエのオスとメスが入り交じって,歩くたびに農道横の草地から飛び立ち,すぐに止まり,また歩みを進めると飛び立ちと,宮崎駿の絵に出てきそうな風景が,ここには残っていました.春の日射し,芽吹く雑木の葉,そして飛び回るサナエトンボ,かつては当たり前にあったこういった風景が,いまでは幻想的に感じるのは本当に寂しいことです.

オグマサナエのメスたち

さて,次のコサナエ属のねらいはタベサナエです.途中,ヨツボシトンボのいる池があったので,立ち寄ってみました.以前ほど数は多く見られませんでしたが,2頭のオスが,池面をせわしなく飛ぶ姿を観察することができました.イトトンボ類もあちこちから羽化個体が飛び立っていました.

第四観察地とヨツボシトンボ

とりあえず記録だけは撮って,次の観察地を目指すことにしました.タベサナエの羽化は,時期的にはもう遅いような感じがします.佐用郡まで中国道で移動しました.着いたのがお昼ころ.たとえ羽化個体がいたとしても,もう羽化は終わっているでしょう.川に入りましたところ,タベサナエの処女飛行を1つ観察しました.河岸の桜の木まで一気に飛び上がりました.あと,羽化殻もありましたので,今年も羽化は行われたようです.川では,ニホンカワトンボのオスが1頭,そして,記録としては非常に早いと思われる,アオハダトンボを見ることができました.翅の輝きと色から見て,今朝羽化したように思われます.

第五観察地.ニホンカワトンボとアオハダトンボ

このあと,カワトンボ(Mnais)属の幼虫をすくいに行きましたが不発でした.明日は,天気がよければ,タベサナエとフタスジサナエの未熟な個体が,農道を飛び回るのを観察に行きたいと考えています.

今日は雨が降るかもしれないと思っていたところ,朝から快晴状態で,気温も高く,もういくらなんでも成虫越冬種が活動を開始しているだろうと考え,定点の池に出かけました.

定点の池.

池に着くとすぐにホソミイトトンボが飛翔するのが見え,ウェーダーに履きかえて池に入りました.すると,オツネントンボ,ホソミオツネントンボも飛んでいて,成虫越冬3種,そろいぶみということになりました.最近は,3種とも見られる池はそう数多くありません.特にホソミオツネントンボは他の2種と違って湿地状のところを好むので,これが欠けることが多いのです.

成虫越冬3種そろいぶみ

池に入ったのが9:30を少し回ったところで,まだ産卵している個体は見られず,時々タンデムになって飛んでいるオツネントンボを見るくらいでした.池の土手を歩くと,トラフトンボが処女飛行に飛び立ちました.全部で3頭.そこで,注意深く土手を探してみますと,いましたいました,羽化途中の個体が.この池のトラフトンボは,去年もそうでしたが,池の縁や中で羽化するより,土手をかなり歩いて羽化することが多いようです.下の写真のように,水際から2m近く昇って羽化場所を決めています(白い矢印が羽化地点).

トラフトンボの羽化

さて,10:45ころになりますと,オツネントンボの産卵が見られ始めました.去年4月5日に産卵を見たときは,水面に倒れたヨシの枯れ茎に産卵していましたが,今年はスゲの葉に産卵している個体がほとんどです.時期が早いと,水面に直立する植物がまだ十分育っていないからでしょう.基本的に水面より高い位置に産卵するのが好きなトンボですから...

一度産卵が見られ始めると,あちこちで一斉に産卵が始まるから不思議です.水面からちょっと突き出たヒメガマの葉などにもたくさんのペアが止まって産卵をしていました.写真のようにスゲの葉の根元で,3ペアが産卵するシーンにも出くわしました.

オツネントンボの産卵

オツネントンボが産卵を始めたころ,ホソミイトトンボはまだ交尾しているカップルが2ペアほど見られたといった状態でした.まだ産卵を始める気配がありませんのでしばらく待つことにしました.

ホソミイトトンボの交尾

11:20ころでしょうか,産卵を始めているカップルを見つけました.なんとこれは潜水産卵をしていました.ホソミイトトンボの潜水産卵は初めてです.ホソミイトトンボも,産卵が見られ始めるとあちこちで目につきだすから本当に不思議です.ホソミイトトンボの産卵の写真を撮るのは久しぶりです.この2年間意外と産卵に出会わなかったのです.今日は色々なポーズを撮ることができました.

ホソミイトトンボの産卵

ということで,いよいよ今年のシーズンが開幕です.

今年は本当に成虫の出現が遅いような気がします.まだ私は,成虫越冬種すら見ていません.1週間前,小野市の定点の池で,家内がワラビ採りをしているときに翅が輝くイトトンボを見たと言っていましたので,多分クロイトトンボまたはアジアイトトンボの類が羽化したのだろうと思います.しかし残念ながら私は見ることができませんでした.

今日は,佐用郡の川に,タベサナエが羽化していないか見に行きました.結果はまだ羽化せずというところでした.そこでラフに幼虫をすくうと,ヤマサナエ,ダビドサナエ,オジロサナエなどが入りました.でもアオハダトンボが全く網に入りません.昨年は,一昨年いたニホンカワトンボが嘘のようにいませんでしたが,昨年いたアオハダトンボも今年は同じ運命をたどるのでしょうか.

帰路に,小野市の定点の池へ越冬種を探しに行きました.天気は上々で,午後2:00過ぎに到着しました.でもまだまったく姿は見えませんでした.少し歩くと,定点池の近くに小さな水たまりが林の中にありましたので,そこを探ることにしました.

林内の池

ヤブヤンマがいそうな気配十分です.早速網を出してすくってみましたら,亜終齢幼虫が3頭,簡単に入りました.予感が当たると嬉しいものです.この水たまりにはオニヤンマの終齢もひそんでいました.

ヤブヤンマの幼虫

この6月ころにでも来れば,野外での羽化が見られるかもしれません.羽化直前の幼虫を自宅羽化させると同時に,ヤブヤンマの羽化の野外撮影にチャレンジできればと思います.

まだサクラが満開.(佐用郡)

今年は成虫の出現が遅くなりそうです.まだまだサクラが満開です.今年はのんびりと出現を待つ方がよいようです.もう,初見の早期記録というのは叶わない時期になっていますからね.

今年はちょっと事情もあって出る回数が減りそうです.昨年までのように頻繁に更新できないと思いますが,また時々お越しください.