No. 923. アマゴイルリトンボの観察.2023.6.23.

昨日は,天気予報がいい方に外れ,わずかな明るい曇り空の中,アマゴイルリトンボの姿を見ることができました.天気予報によると,今日はひょっとしたら雨と雨の間に挟まれた曇り空が広がる可能性がありました.せっかくここまで来ているのでダメ元でもう一度アマゴイルリトンボの観察に行くことに決めていました.夜中にはそこそこの雨が降ったようで,朝起きると地面や草木がびっしょり,でも空は雲の切れ間から青空が見られ,日も差しています.またいい方に予報が外れるかもしれません.現地に着くと青空がありました.


▲雨上がりの青空です.今日はうまくいくかな...▲

池面ではもうクロイトトンボが飛び回り,産卵もしていました.ただ空には雲が広がり始めました.ねずみ色のやや厚い雲です.


▲クロイトトンボの産卵.▲

アマゴイルリトンボはまだ池面には出ていないようです.ただ,岸近くのヨシの植生の中から,羽化直後のアマゴイルリトンボが次々と飛び立つのを観察しました.


▲池の方から羽化して次々と飛び立ってくるアマゴイルリトンボ.▲

こうなっては,羽化しているところを見たくなるのは当然です.しかしこれがなかなか見つかりません.そっと岸辺の草むらをのぞき込んで約10分,やっと羽化殻のそばに止まるアマゴイルリトンボの羽化個体を見いだしました.ただ,草の中なので写真には障害となる草があります.でもそれが実際の姿なので,草越しに記録をとりました.


▲羽化しているアマゴイルリトンボ.▲

だんだんと時間が過ぎていきますがアマゴイルリトンボは水面には出てきません.空はだんだんどんよりとした感じになってきつつあります.そこで,昨日のように草の中にいるアマゴイルリトンボを見に行ってみました.昨日より少ない感じはしましたが,それでもそこそこ飛んでいました.


▲アマゴイルリトンボのオスたち.下はまだ未熟なのだろう,淡色部が白い.▲


▲アマゴイルリトンボのメス.▲

10:00過ぎ,繁殖活動は,やはり曇り空では無理なのかと思い,今度は少し池から離れた草地をのぞいてみました.すると,交尾態のカップルが止まっていました.繁殖活動をやっているようです.


▲アマゴイルリトンボの交尾.10:08.▲

やがて交尾は解かれ,ペアはタンデム状態で池の方に向かって飛びました.これは途中で見失ってしまいましたが,飛んだ方向と池に浮かぶ産卵基質(枯れた水生植物の葉や茎)の存在する場所に目星をつけ,行ってみました.すると,そこには産卵に来ているアマゴイルリトンボのペアが複数飛んでいました.


▲池に現れたアマゴイルリトンボのペアたち.▲

こうなれば,産卵の観察も時間の問題だと思いました.ところがです.なかなか産卵を始めません.待つしかないので待っていると,葉に止まっているペアがだんだんと水面の方に降りていきます.そしてやっと産卵を始めました,が,私がほんの少し動くと,それも1~2mも離れた位置でです,さっと産卵をやめ飛び上がって,また葉に止まるのです.何度やっても同じです.近づけないどころか動けないのです.非常に敏感なトンボです.モートンイトトンボも産卵メスは非常に神経質ですが,それよりもっと神経質にこちらの動きに反応します.ねらいをつけるペアを変えても同じです.


▲かなり離れたところで,こんな向きのままシャッターを切るしかなかった.▲

12:00まで約2時間,とにかく息詰まる攻防戦という感じで,相手を替え場所を変えて産卵の写真撮影に挑みました.警戒してか植生の中で産卵するし,きれいに横からなんていうのは無理でした.それでも何回かはシャッターを切るチャンスがありました.


▲ほとんど,待っている立ち位置から撮影したものである.▲

この歩哨姿勢は水面ギリギリにカメラを置いて撮影するのが一番です.ただ一回だけそのチャンスに恵まれました.


▲やっとねらったような写真が撮れた.▲

今までの撮影でこんな難敵は初めてでした.ここはカエルが多いので,それを警戒して,ちょっとした異変でも飛び立つように学習しているのか,あるいは選択が働いているのかもしれませんね.

さて,今日は晴れていた時間帯があったので,曇った後も,メスたちが産卵に出てきているようでした.コサナエがいました.オスが数頭,メスは2回産卵に来ました.


▲コサナエのオスとメス.メスは産卵に来たもの.▲

それから,エゾイトトンボを見つけました.ルリイトトンボとエゾイトトンボがいましたので,そのほかにもいるかもしれません.アマゴイルリトンボは一応来た目的を達しましたが,その他のトンボが気になります.帰りにもう一度寄るつもりです.


▲エゾイトトンボがいた.▲

なお空気が湿ってきて気温が下がったので急いで車に戻りましたが,途中で本降りの雨に遭い,びしょ濡れになりました.北のトンボたちは,このような隙間的好天に反応して,繁殖活動をしているのですね.朝晴れたのが良かったです.繁殖活動を始めてしまってから曇ってきたので,中断はせず,厚い雲の下で産卵活動を継続していました.

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No. 922. アマゴイルリトンボを見に行った.2023.6.22.

今日はアマゴイルリトンボを見に上信越地方へ出かけました.何しろ遠いので,旅館を予約してから天気よ良くなってくれ,と願うだけでした.しかし,予報は見事に雨雨雨.梅雨前線が南の方に,日本海には低気圧が梅雨前線に沿うように進んでいく構図です.まあ観光旅行だと割り切って,出かけました.ということで,今日も観察記ではなくエッセイとしました.

朝起きますと,雨の音がパラパラ出窓をたたいています.予想していたことなので,6:30ごろに出かけました.晴れていたら本当はもっと早く夜中に出かけるつもりでした.雨ですからそんな無理をすることもありません.舞鶴道・舞鶴若狭道・北陸道と走って行きますと,雨が降り続き,おまけに低気圧がそばにいるからか,ものすごい嵐のような風が吹き荒れて,木々が波打ち,車のハンドルが取られるくらいです.こんなもの,トンボが出てくるわけはないや,とのんびり走行しました.

ところが,金沢を過ぎたあたりから雨がやみ,薄日が差してくるようになりました.なんだこれは,いい方に予報が外れそうです.アクセルを踏む足にも力が入り,それまで100km/hの制限速度の所をトラックについて80km/h位で走っていましたが,一気に指定速度での走行,遅いトラックは追い越し,と運転に力が入りました.

目的地到着は14:00少し前.気温は22℃.日差しはありませんが雨が降った形跡もありません.これは池に出ていなくても周辺の草地で摂食ぐらいはしているはずだ,と見当を付け,目的の池に進みました.しかし駐車場から結構遠い.天気が崩れるかもしれないのでイライラしながら,山道を歩きました.20分以上かかって到着.池には全くトンボは出ていません.予定通り池のまわりの道を探索し始めました.ほどなくイトトンボが飛びました.なんと,クロイトトンボ.このトンボ本当にどこにでもいますね.でも,未熟なクロイトトンボのオスは他にはない美しさがあります.クロイトトンボの名称がしっくりきますね.


▲クロイトトンボのオスとメス.▲

少しがっかりしていますと,青いモノサシトンボが飛びました.いました.アマゴイルリトンボ.メスもいます.ただ,結構敏感に私の動きを感じるようで,なかなか近づかせてもらえません.


▲草の中に潜り込んでいたアマゴイルリトンボのオスとメス.▲

近づこうとすると,どんどんと草の中の方に入ってしまいます.最初に見つけたこの個体たちが最初で最後になるかもしれないので,かなりねばりましたが,近づけませんでした.仕方ないので,さらに先をめざしました.すると,明るい水色のトンボがいました.ルリイトトンボのようです.やはりこんな所にはルリイトトンボがちゃんといるんだと思いました.北の方の普通種でしょうか?


▲ルリイトトンボのオスたち.▲

ルリイトトンボのメスを探しましたが,見つかりませんでした.少しまた歩きますと,アマゴイルリトンボがあちこちから出てきました.たくさんいます.おそらく天気が中途半端なので,池面には出ることなく,全員草の中で摂食をしているのでしょう.かえってこんな天気が幸いしたかもしれません.池面に出られると,むしろ近づくことが難しくなりますから.


▲やはり見つかるのはオスの方が圧倒的に多い.▲

そんなとき普通のモノサシトンボも止まっていました.いるんですねぇ.2頭見ましたが,まだいずれも未熟な個体だったので,アマゴイルリトンボより少し遅れて出てくるのかもしれません.


▲モノサシトンボのメス,未熟.▲

ということで,草の中でちょろちょろしているトンボを見ただけで,繁殖活動などは観察できませんでした.池をちょうど一周した頃,雨がパラパラしてきました.また風も木々をうねらせるようになりました.どうやら低気圧を追い越して到着したようです.雨に濡れながら,池から駐車場へ引き返し,宿に向かいました.近頃はどこでもWiFiがあるので,宿に到着後早速アップした次第です.

このあとさらに東の方にトンボ観察に出るつもりですが,晴れれば,帰りにもう一度寄ってもいいかも...

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No. 921. ハッチョウトンボの産卵.2023.6.20.

今日は薄曇りだったのですが,梅雨時でもあり,このような天気でも調査に出た方がよいと考えて出かけることにしました.最初のねらいは神戸のキイロサナエです.過去にたくさんの記録がある場所へ出かけたら,川に沿った通り道の草刈りがなされていなくて(といっても文句を言う筋合いではないのは承知していますが),藪漕ぎ的な進軍を余儀なくされました.でも目的の場所に着いても,何もいません.シオカラトンボが1頭だけ飛んだだけでした.

そこで,次に目的を変え,神戸のグンバイトンボが生き残っているか確かめに行くことにしました.やはり過去の記録地に行きましたら,今度は30分ほど川に沿って歩いて,シオカラトンボ1匹さえ飛ばず,全くトンボと出会いませんでした.一体何なのだこれは,と非常な落胆を覚えました.30年あまり前ここは,ホンサナエがいっぱい飛んで,アオサナエもいて,グンバイトンボがツイツイ飛んで,セスジイトトンボも飛んで,というところでしたが....神戸のトンボはどこへ行ったのであろう...30年という月日の重さを否応なく感じさせられました.歳をとると喪失感を味わうとよく言われますが,本当にこれが喪失感そのものです.

こうなると,なんとかトンボを見て帰らないと欲求不満になります.ということで,この場所の近くにある某有名湿原に行くことにしました.ここはいまでこそ有名地になって完全に管理されていますが,私が神戸のトンボを探していたころには,アクセスが悪いのを我慢して入っていった場所です.そのころは全く自由に湿原の中でトンボの観察が出来ました.まあこれも時の流れですね.今は木道が整備され,そこからハッチョウトンボが身近に観察できます.


▲ハッチョウトンボのオスとメス.交尾を解いたすぐ後のカップル.▲

着いたのがちょうどお昼前,ハッチョウトンボが繁殖活動を行う時間帯です.木道から見える目の前に,交尾しているカップルを見つけました.ただ,これはすぐに離れましたので記録にはありません.メスは交尾後止まったままじっとしていますが,やがて産卵を始めるはずです.待つことにしました.すると,もう1頭メスがいたようで,草陰から飛び出し産卵を始めました.


▲草陰から飛び出したもう1頭のメスが産卵を行った.▲

このメス,撮影時からなんか色が白っぽいなと感じていましたが,家で写真を見て分かりました.翅胸前面・側面の斑紋が,通常のメスと違っているのです.下の写真と比べてみるとよく分かります.


▲通常の斑紋のメス.上のメスは淡い部分がぼやけるように広がっている.▲

さらに別の場所で撮った未熟なメスとも比べてみましたが,未熟であっても,斑紋の基本的なパターンは同じで,このメスはやはり斑紋異常と言えそうです.


▲2023年6月4日撮影.未熟なハッチョウトンボのメス.▲

さて,このメスはやがて産卵を終えて飛び去りました.オスがそれを追いかけていきました.最初のメスはまだ止まったままで産卵を始めていません.オスたちは相変わらずあちこちで追いかけ合いをしています.


▲オスたちは相変わらずものすごい速さで追いかけ合いをしている.▲

しばらく待ちますと,最初のメスが産卵を始めました.ハッチョウトンボは産卵の途中でよく静止します.このメスも例外ではありません.


▲最初のメスが産卵を始めた.▲

何度も静止を繰り返して打泥産卵を行っていましたが,やがて別のオスに捕まって交尾されてしまいました.


▲ハッチョウトンボの交尾.たいがい産卵した後の交尾なので,成果はあるか?▲

その後このメスを見失ったので,ここまでとしました.空は少しずつ青空が広がり,気温も上がってきました.帰り道に別の木道のところでメスを捕まえ交尾するハッチョウトンボを見つけました.記録をとりましたが,メスは交尾後飛び去りました.先と同じで,きっと産卵後交尾だったのでしょうね.


▲交尾するハッチョウトンボ.十数秒で終わったあとメスは逃げ去った.▲

ということでハッチョウトンボはそれなりにいて活動していました.でも,他のトンボがほとんど見られません.往き帰りを含めて湿原およびアクセス道路をかなり歩いたのですが.シオヤトンボ1頭,コシアキトンボ1頭,アサヒナカワトンボ1頭を見ただけでした.本当にトンボが少ない.途中うす暗い池などもあったのですが,モノサシトンボ1頭すらいませんでした.うーん,多様性に乏しすぎる....

今日はここまでです.

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No. 920. グンバイトンボの確認に.2023.6.17.

今年はアオハダトンボを見に川へ出かけていません.もう時機は逸しているかもしれませんが,植生が剥ぎ取られる工事があった例の場所へアオハダトンボとグンバイトンボを確認に行くことにしました.アオハダトンボはやはり遅かったようで,全く姿が見えず,もうハグロトンボが次々と羽化をしていました.ここは出現が早いんですね.


▲羽化していたハグロトンボ.▲

グンバイトンボの方もなかなか姿が見えず,諦めかけていたころにやっとオスがツイツイと飛ぶ姿を見ることができました.グンバイトンボのオスがメスを探しながら飛ぶときには,写真のように脛節の白い膨らみを目立たせるようにして飛びます.これはきっと何かの信号刺激になっているのだと思います.グンバイトンボの飛ぶ姿はやはり一度は写真に撮る必要がありますね.


▲脛節の軍配状の膨らみを誇示しながら飛ぶグンバイトンボのオスたち.▲

そうこうしていると,タンデムが飛びました.タンデムになるともはや軍配状の脛節は眼だ立たせる必要がないのでしょう,普通に脚を閉じて飛んでいます.


▲タンデムで飛ぶときは軍配状の脛節は目立たない.もちろん止まると見えるが.▲

このペアは産卵する気満々ですね.じっと動きを見守り産卵を待つことにしました.やがて産卵を始めましたが,奥まった場所に入り込んで産卵するために,なかなか写真には撮りづらいところです.そして個体数が少ないときは産卵するトンボも敏感に私の動きに反応するようで,すぐに飛び立ってしまいます.


▲産卵を始めても,私がちょっと変な動きをすると産卵を止めて飛び立つ.▲

まあ,こうなれば根気の勝負です.グンバイトンボを目的に来ていますので,こちらも引き下がるわけにはいきません.じっと待っていますと,もう1ペアやってきました.


▲もう1ペアがタンデムでやって来た.▲

こちらのペアの方が許容度が高いかもしれないと思い,こちらの後を追いました.しかし似たようなものでした.


▲あちこち移動しながら産卵を続ける.単独オスがそばを飛ぶと脚を広げる.▲


▲撮っているうちにどちらがどちらか分からなくなった.▲

ほんの10mほどの植生のところで,合計7,8頭が活動していましたが,それだけでした.川を広く歩いても,ほかの場所では見つかりません.やはり,この川の植生剥ぎ取り工事が,植物内生活者をかなり痛めつけているようです...と言いたいところなのですが,ハグロトンボはほとんど減少が気にならないくらい羽化していました.アオハダトンボやグンバイトンボのようなレッドリストに載るような種は,やはりもっと別の要因が関係しているのかもしれません.

さて,その他のトンボについても,いつも見られる春の種であるタベサナエ,ヤマサナエ,ホンサナエなどは見られませんでした.もう川は夏に移り変わっているようで,アオサナエが複数見られ,コオニヤンマが川に戻ってきてハグロトンボをむしゃむしゃ食べていましたし,オナガサナエは羽化殻がたくさん付いていて,オジロサナエも処女飛行にあちこちで飛び立っていました.やはり5月下旬に来ないと春のトンボは見られないようです.ちょっと今年は遅すぎました.


▲アオサナエは3頭見た.▲


▲コオニヤンマは飛び立ったハグロトンボをむしゃむしゃ食べている.▲


▲オジロサナエはあちこちで処女飛行に飛び立つのを見た.▲


▲もちろんセスジイトトンボも健在!.▲


▲クロイトトンボはたくさんいた.▲

ということで,午後に予定が入っている今日はこれでおしまいです.

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No. 919. キイロサナエの観察.2023.6.16.

今日から三日間ほど梅雨の中休み.今日は雨後の晴れをねらって兵庫北部へ行ってきました.ねらいはキイロサナエです.キイロサナエは最近本当に見かけなくなったトンボです.まずいつもの観察地へ出かけましたが,用水路の草刈りが行われていなくて水面が見えない状態の場所が多く,あまりキイロサナエの数が見られませんでした.


▲キイロサナエのオス.この場所は数が少なかった.▲

そこで少し移動して,去年産卵を見た場所へ行ってみることにしました.現地に入りますと,オスが4頭ほど行ったり来たりしていました.やはりメスが来るところを知っているのでしょうか.他のところではポツポツ止まっているだけですのに,ここではオス同士が追いかけ合いバトルを繰り広げるほどの密度でした.


▲止まっているオスと,産卵に来そうな場所を探索するオス.▲

去年産卵に下りてきたポイントにはしっかりとオスが陣取り,時々岸近くを往復してメスを探すような飛び方をします.本当に去年メスが来たところの場所そのものです.なぜメスはここに下りてくるのでしょう? 背後の樹林の形と流れまでの距離が,樹上から下りてきやすい構造になっているのかもしれません.


▲オスたちはあちこち止まってメスを待っている.▲

10:40ぐらいからここでメスを待っていますが,なかなかメスの姿を見ることができません.コヤマトンボが行ったり来たりしていますので,これと遊びながらメスを待ちます.全く去年と同じ状況です.


▲キイロサナエの産卵場を飛び回るコヤマトンボ.▲

11:50,キイロサナエのメスが入りました.水面を旋回飛翔した後,対岸に止まり卵塊をつくり始めました.近づくと飛び上がりホバリングしました.


▲私が気になったのか飛び上がり様子を見るキイロサナエのメス.▲

その後このキイロサナエはぐるっと旋回し,こちら側の岸の地面に止まり卵塊形成を継続しました.目の前の位置です.


▲こちら側の岸の地面の上で卵塊形成するキイロサナエのメス.▲

その後このキイロサナエは飛び立ちましたが,見失ってしまいました.私の存在が気に入らなかったようです.少しすると5mぐらい上流の水際から,キイロサナエの交尾態が飛び立ちました.そこで産卵を継続していたようです.オスに見つかりお持ち帰りになりました.残念です.しかし,このポイント,何の変哲もない草の生えたなだらかな岸辺なのですが,産卵にやってきますね.こういうポイントを見つけることが,写真記録の成否を分けます.

さて,もう少し待ちましたがメスはやって来ませんので,別のトンボを見に行くことに凍ました.まずはハッチョウトンボ.ちょうど正午過ぎになりましたので,ハッチョウトンボが繁殖活動を行う時間帯です.


▲ハッチョウトンボのオスとメス.メスは産卵に来ていた.▲

案の定1頭のメスがオスに警護されながら産卵をしていました.交尾を見なかったので,もう産卵を始めてから時間が経っているのでしょう.すぐに飛び立ってしまいました.今年のハッチョウトンボは結構数が多いようです.

池ではキイトトンボが活動を始めていました.


▲キイトトンボたちが繁殖活動を始めていた.いよいよ夏だ...▲

キイトトンボのオスは,通常胸部が淡い黄緑色をしているものですが,1頭だけ,緑がかっていないオスがいました.何気ないことですが,結構珍しい気がします.


▲胸部が淡い黄緑色をしていないキイトトンボのオス.▲

オオイトトンボも今年は少し数が増えて,クロイトトンボより目立っていました.時期的な問題かもしれません.クロイトトンボは早い時期からたくさん羽化しますから.


▲オオイトトンボの交尾と産卵.▲

それから今日もまたクロスジギンヤンマが目の前に産卵にやってきました.今年これで4回目かな.今年はクロギンの当たり年です.


▲クロスジギンヤンマの産卵.▲

先日も書きましたが,この時期のクロスジギンヤンマはメスの複眼の上部が透き通っているので,ちょっと感じが違います.

あと目撃したトンボは,シオカラトンボ,クロイトトンボ,モートンイトトンボ,モノサシトンボ,ショウジョウトンボ,コフキトンボ,ハラビロトンボなどで,春の生き残りのヤマサナエ,コサナエ,トラフトンボなどがいました.


▲成熟して水色がきれいにでているモノサシトンボのオス.▲


▲まだトラフトンボが飛んでいた.結構遅い記録である.▲

トンボの多いところへ来ると,やはり幸せな気持ちになります.ここ何回かの神戸市内の調査とは天地の差ですね.トータル3時間半ほどの観察でした.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 919. キイロサナエの観察.2023.6.16. はコメントを受け付けていません

No. 918. 神戸のトンボ調査(10)2023.6.13.

今日は一日家にいるつもりでしたが,なんか朝から太陽が顔を出したりして,梅雨の中休み状態しかし曇りベースという感じでしたので,神戸市内のトンボ調査に出かけることにしました.一応狙いはオオイトトンボとしました.

オオイトトンボの過去の記録地である植物園と,もう一つこの春見つけたタヌキモが生えている池です.しかし,どちらもクロイトトンボは飛んでいましたが,オオイトトンボは姿がありませんでした.オオイトトンボは神戸市では本当に見つけにくいトンボになりました.以前も一日歩き続けて探しましたが見つからずでした.まだ当てはありますので,後日出かけてみます.

まあそんな中で今年の初出会い記録を増やすことができましたので,順次紹介していきましょう.まずはモノサシトンボ.


▲No.24:モノサシトンボの未熟オス(上)と未熟メス(下).▲

モノサシトンボは一つの池で結構たくさん飛んでいました.まだまだ羽化が続いているような状態でした.次はショウジョウトンボ.


▲No.25:ショウジョウトンボのオス(上)とメス(下).▲

そしてアオイトトンボがもう羽化を始めていました.


▲No.26:アオイトトンボの未熟なメス.▲

さらに,最後に寄った別の池ではオオヤマトンボが飛んでいました.


▲No.27:オオヤマトンボのオス.▲

今年は早春のトンボたちもまだまだ生き残っているようで,フタスジサナエが元気に飛んでいました.


▲フタスジサナエのオス(上)とメス(下).▲

そのほか最初に立ち寄った池では,イトトンボたちが草むらで休んでいました.


▲まだ午前中なので,アオモンイトトンボの交尾タイムである.▲


▲セスジイトトンボのオスとメスも摂食中.▲


▲クロイトトンボも草むらでお休み中.▲

この写真で,クロイトトンボのオスの翅胸前面の淡色条が非常に太い(広い)のでなんかセスジイトトンボとの交雑種みたいに見えます.後この池では,オオヤマトンボ,コフキトンボ,コシアキトンボ,シオカラトンボなどが見られました.

あと欲を出してサラサヤンマとハッチョウトンボを見に,過去に記録のある湿地に行きましたが,何もいませんでした.昔ハッチョウトンボが消えて,その後ずっと途絶えたままになっています.復活も,種の供給源がないのでしょうね,このまま何もいない湿地状態が続きそうです.本当にトンボがいません.

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今日は,神戸のトンボ調査を始める前に,ちょっと隣市の森林公園を覗いてみたのです.なんとクロスジギンヤンマが産卵に来ていました.今年はクロスジギンヤンマの産卵によく接近遭遇します.それも写真が撮りやすい位置に産卵に来てくれます.これで3回目です.


▲クロスジギンヤンマの産卵.複眼上部が透き通り老熟を感じさせる.▲

この公園でも春のトンボがまだ活動していました.ヨツボシトンボとフタスジサナエとヤマサナエです.

▲ヨツボシトンボ(上),フタスジサナエ(中),ヤマサナエ(下).▲

あとチョウトンボが羽化を始めていました.ショウジョウトンボとシオカラトンボとクロイトトンボは元気いっぱいでした.


▲ショウジョウトンボ.数はあまり多くはなかった.▲


▲クロイトトンボはまた数が増えたように感じた.▲


▲シオカラトンボ.▲

やはり6月は多種のトンボに出会えます.ただ観察モードではなく調査モードなので,止まっている写真ばかりになりました.

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No. 917. 神戸のトンボ調査(9)2023.6.9.

今日も隙間時間を利用して,市内トンボワンポイント調査に出かけてきました.昼頃から薄曇りになり気温も上がってきましたので,トンボが飛ぶと思いました.市内であれば移動時間もかからないし,こういった突然の天気回復に対応できます.今日の狙いは普通種です.

最初は,アオモンイトトンボを見に行きました.以前は沈水・浮葉植生が非常に豊富であった市内の池です.今は抽水植生を除いて全く消えています.最初に出会ったトンボはコフキトンボでした.まだ羽化直後という感じです.


▲No.18:コフキトンボのオスとメス.まだ粉も十分吹いていない未熟個体だ.▲

一昨日コフキトンボを見に行きましたが,そこもまだ未熟な個体ばかりでした.今年は,早春のトンボは出現が早かったのですが,いわゆる春から初夏にかけて出現するトンボはいつもと同じか,やや遅れて出現しているように思えます.

狙いのアオモンイトトンボを探すべく,池堰堤の草地を歩いて行きましたら,嬉しいことにセスジイトトンボがいました.メスばかり4頭見つけました.オスは池面に出ているのかもしれません.この池は水際に下りるのが難しいので,メスだけの確認で我慢しました.


▲No.19:セスジイトトンボのメス.一番下の個体は成熟している.▲

セスジイトトンボは最近見かけにくくなっていますので,市内の池に残っていたことを嬉しく思います.もっともこの池はかつて沈水植生が豊かだった頃には,軽く3桁の個体数がいましたから,激減はしていますけどね.そしてさらにしばらく歩くと,アオモンイトトンボがいました.


▲No.20:アオモンイトトンボのオスとメス.▲

写真がピンボケしていましたが,成熟した個体も見られました.この池ではそれ以外のトンボの姿がありませんでした.やはりトンボ目の個体数は非常に少ないと言えるでしょう.

この池はこれくらいにして,別の観察場所に移動しました.市内にある森林公園です.


▲No.21:コシアキトンボのオス.▲

コシアキトンボはもう水面で活動を始めていました.本当にこのトンボはどこにでもいるトンボですね.池の中程に突き出ている枯れ枝の先には,ウチワヤンマのメスが止まっていました.


▲No.22:ウチワヤンマのメス.▲

家に帰ってこの写真をよく見ると,ウチワヤンマの下にイトトンボが2頭止まっているのに気づきました.少し拡大してみました.


▲ウチワヤンマの下に止まるイトトンボ.クロイトトンボ(左)と???.▲

左側のトンボはクロイトトンボですが,右側のトンボは明らかにクロイトトンボではありません.クロイトトンボ属ではあるようで,オオイトトンボ,セスジイトトンボ,ムスジイトトンボのどれかです.無理を承知でさらに拡大してみました.すると,眼後紋が目立たないこと,複眼の下部が青色をしていること,前肩条の中に淡色部が見られないことなどから,ムスジイトトンボであると判定しました.


▲No.23:ムスジイトトンボのオス.▲

さらに,ムスジイトトンボ,セスジイトトンボ,オオイトトンボの写真をいったんぼかしてからシャープネスをかけて,上の写真と同じような状態にして比較してみました.


▲わざとぼやけさせた処理をして比較対照を作製したもの.▲

このような処理をしても,セスジイトトンボとオオイトトンボは,眼後紋が見えます.しかしムスジイトトンボの眼後紋は不明瞭になりました.また背隆線上の黒条と前肩条の間の淡色部分の幅が,セスジイトトンボでは狭く上の写真はムスジイトトンボに近いです.オオイトトンボは腹部代8,9節の水色部分の背面に黒斑がありまが,上の写真ではそれがないように見えます.やはりムスジイトトンボが妥当だと考えます.まあ,機会があればこの池にまた調査に入って確認してみたいと思います.

ということで,普通種発見調査はまあまあというところでした.あとキイトトンボも目撃しています.神戸市内で23種撮影・確認完了.30~40種くらいまでは簡単にいくのですが,50種を超えるあたりからが大変です.オツネントンボ,オグマサナエ,ムカシヤンマは今年は逃してしまったことはほぼ確実です.サラサヤンマとヤマサナエもそろそろ危ないかな.やはり1年では無理で,来年も市内調査を続ける必要があるかもしれません.

カテゴリー: 神戸市のトンボ, 観察記 | No. 917. 神戸のトンボ調査(9)2023.6.9. はコメントを受け付けていません

No. 916. オオヤマトンボの産卵.2023.6.7.

今日は曇りの予報でしたが,天気予報が変わり,薄曇り的に晴れました.この時期の太陽は貴重ですので,いつもの池にウチワヤンマやコフキトンボやコシアキトンボの産卵を見に行くことにしました.


▲ウチワヤンマのオス.2頭だけ見た.▲


▲コフキトンボのオス.まだ複眼が黒くなく若い.▲


▲活動しているコシアキトンボがいる一方で,まだ羽化している.▲

ここ2,3年,ウチワヤンマやコフキトンボの活動時期が早まっている印象を持っていましたが,今年は少し遅れているようです.ウチワヤンマの個体数も少ないですし,コフキトンボもまだ若い個体しかいません.コシアキトンボは池面で活動している個体が少しはいましたが,まだ羽化が継続しているようでした.池岸の植生をきれいに刈り取っていたので,ちょっとトンボが集まりにくい感じはしました.しかしたぶん,まだ時期的にちょっと早いのでしょう.もう少ししてからが狙い目のようです.

そんな中で,オオヤマトンボのオスが2頭,池を周回して飛んでいました.


▲オオヤマトンボが池を周回するように飛んでいた.▲


▲目の前を行ったり来たりするオオヤマトンボ.▲

こうなると狙いを変更し,オオヤマトンボの産卵をターゲットにしました.今まで幾度となくオオヤマトンボの産卵を狙ってきましたが,どうも目の前で産卵を見る機会に恵まれませんでした.しかし今日はほぼ初めてと言っていいでしょう,オオヤマトンボに狙いを定めて,産卵メスが目の前に入ったというのは...


▲オスと同じようなコースでメスが進入してきた.▲

メスはオスと同じようなコースで飛んできたので,はじめはオスだとばかり思っていました.そんな感じでしたので,目の前を通り過ぎてから産卵を始めたとき,少し慌ててしまいました.


▲目の前を通り過ぎたとき,初めてメスだと気づいた.▲


▲目の前を通り過ぎてから産卵を始めた.慌てて産卵場所へ走った.▲

イメージとしては左右に往復しながら打水するので,横の位置から撮ればうまく撮れるのではないかと考えていました.でも実際は同じ位置で往復移動するのではなく,少しずつ移動しながら往復打水するので,こちらも移動しながら撮影することになり,ファインダーに入れるのが非常に難しく,半分以上視野から外れてしまいました.


▲まず岸辺に平行に飛ぶ.オオヤマトンボのメス.▲


▲続いて,体をいったん岸とは反対の方向にひねる.▲


▲打水するときは体を岸の方にひねり直す.水滴が岸に向かって飛んでいる.▲

オオヤマトンボのメスは,岸辺のラインに沿って平行に移動しながら打水しますが,打水の前にはいったん岸辺とは反対の方向に体をひねり,その後体を岸辺の方にひねり直すときに打水します.その結果水滴は,打水位置から岸辺の方に向かって飛ぶことになります.上の写真にはその様子をうまく捉えることができました.打水位置から岸辺に向かって水滴が飛んでいます.いままでビデオではこの様子を捉えることができていましたが,スチル写真では初めてです.今日一番の収穫でしょう.


▲その後も産卵は続いたが,...▲

その後も産卵は続きましたが,なんと,こんな時に限って周回オスがやってくるのですね.オスの写真を撮ろうと待っているときには全然来ないのに...オスはしっかりとメスを捕らえ,交尾態になりながら,池の外へ連れ去りました.やけくそでシャッターを切りましたら,逆光ではありましたがピントが来ていました.


▲メスはオスに見つかり,お持ち帰りされてしまった.▲

まだいつものトンボたちが出始めで静かな池でした.そのときに狙えるトンボを観察するという鉄則で,オオヤマトンボの記録を取ることができました.今日はここまで.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 916. オオヤマトンボの産卵.2023.6.7. はコメントを受け付けていません

No. 915. 今日はトンボがいるところへ行く.2023.6.4.

昨日があまりにも欲求不満がたまる調査でしたので,今日はトンボが確実に見られるところへ出かけることにしました.つまり例年出かけているところに行くということです.

まずは源流域へヒメクロサナエとクロサナエを見に行くことにしました.今年はクロサナエの姿をまだ見ていませんので,そちらがターゲットです.朝8:20ごろに現地に入り,12;20ごろまで4時間粘りました.しかし成果はほとんどありませんでした.今日の予報は晴れなのに,日が差していませんでした.観察地の上空に帯状の雲があって,その両側は青空.なんで私のいるところだけが曇っているのだろう... 半日肌寒い時間を過ごしました.

サナエトンボは天気に左右されます.一時,薄日が差して少し温かく感じる時間帯がありました.そのときトンボたちに動きがありました.今日のヒメクロサナエのオスは止まろうとせず,メスが産卵しそうなところをのぞき込むような飛び方をして,どこかへ行ってしまいます.メスも2回ほど飛びました.そのうち1回,メスは水を飲もうとしたのでしょうか水面に衝突しました.目測でも誤ったかな? そして体が濡れ,すぐ近くの葉に止まって休憩しました.


▲水に落ちて慌てて跳び上がったヒメクロサナエのメス.▲

今日もクロサナエには出会えず,もう下りてくる場所を変えたのかなぁ? 今年は,Davidius 属がこの場所にあまりいません.帰りに Davidius 属のヒラサナエをのぞき込みましたが,やはり2頭だけでした.


▲ヒラサナエもこの2頭を見ただけであった.▲

今年はトンボの出現時期が例年と違うのか,どうも例年通りに出かけても思った通りに思ったトンボに出会えないことが多いです.

ということで,午後は,池の方に行くことにしました.ちょっと流れをのぞいてみると,ニホンカワトンボのオスがメスの後ろに止まり,何かメスにアピールしているような行動が見られました,


▲ニホンカワトンボのオスとメス.▲

池にはイトトンボたちがいました.イトトンボが当たり前にいることに安堵感を覚えます.オオイトトンボ,クロイトトンボ,モートンイトトンボなどが活動していました.写真になりませんでしたが,キイトトンボも連結態で飛んでいました.


▲オオイトトンボの産卵,途中からメスが潜水した.▲


▲産卵するオオイトトンボたち.▲

ちょうどオオイトトンボの産卵時間帯だったようです.あちこちで産卵している姿が見られました.一方モートンイトトンボの方は産卵時間帯が終わったのでしょうか,メスも摂食ばかりしていました.


▲モートンイトトンボは今がシーズンである.▲

クロイトトンボの数が一番多かったです.池の水面近くを飛び回り,あちこちで産卵もしていました.


▲産卵するクロイトトンボたち.▲

モノサシトンボも日陰に止まっていました.


▲モノサシトンボのオス.▲

まだ早春のトンボも生き残っていました.トラフトンボがクロスジギンヤンマを追い散らしています.こっちの方が小さいのにクロスジギンヤンマは追いかけようとしません.


▲まだトラフトンボが飛んでいる.▲


▲ホソミオツネントンボの単独産卵.▲

ホソミオツネントンボも産卵していました.連結産卵が2組いましたが,面白いのは上の写真のメスの単独産卵です.6月ぐらいになると,ホソミオツネントンボの単独産卵も時々見られるようになります.オスがいなくなるのでしょう.ただ,なおここでは別の意味で興味深い写真なのです.それは体が褐色をしていることです.この早春のホソミオツネントンボの観察で,「まだ青くなっていない」という言い方で褐色のメスを紹介していました.そのときこの個体は青くなるのだろうかと疑問を呈しておきました.この時期まで青くなっていないということは,ホソミオツネントンボには青くならない個体がいるという言い方をしてもよいと考えます.

あとコサナエも1頭見かけました.次はこの時期のトンボたちです.まずはショウジョウトンボ.もうすっかり晩春から初夏に現れるトンボになってしまいました.もう一つはハッチョウトンボ.今年も元気に出ていました.


▲ショウジョウトンボのストメス.メスは産卵にやってきた個体.▲


▲ハッチョウトンボのオスとメス.▲

シオカラトンボが一番たくさんいました.未熟な個体から成熟個体,交尾,産卵など様々な活動が見られました.


▲活動するシオカラトンボたち.▲

今日はキイロサナエの姿を探すことも目的の一つでした.池を離れて草原に入って探しました.キイロサナエには会えませんでしたが,ヤマサナエがいました.また樹上に飛び上がったトンボがいて,体が見える位置ではありませんでしたので,翅が見るように写真を撮ると,その縁紋の細長さからムカシヤンマであることが分かりました.


▲ヤマサナエ.午後だったせいか,草原にたむろしていた.▲


▲葉の上に止まったトンボ.縁紋が細長いことからムカシヤンマである.▲

今日はトンボがたくさんいました.これが普通なのですね.かつての神戸もそうでした.ということで,今日はおしまいです.

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No. 914. 神戸のトンボ調査(8)2023.6.3.

台風一過,今日はお昼前からよく晴れたので,神戸市内のトンボ調査に行ってきました.3年前にいただいた情報で,サラサヤンマを見つけたというのがあったので,今日はそこへ行ってみることにしました.湿地のようなところがありましたが.残念ながらトンボはいませんでした.

そこで,周辺の池を順番に回っていくことにしました.しかし本当にトンボがいません.2時間半ほど歩き回って,シオカラトンボが10頭あまり,ギンヤンマが4頭ほど,そしてタベサナエが1頭でした.


▲老熟したタベサナエのオス.▲

30年ほど前に神戸市内の調査を盛んにやっていた頃,本当にタベサナエの姿がありませんでした.フタスジサナエばかりという感じでした.今年はこれで2カ所目です.前回見つけた場所とは山続きにはなっています.神戸でタベサナエが増えつつあるのでしょうか.

まあそれはいいとして,景色のいい田園地帯を歩いても,全くトンボがいないというこの状態,なんか本当に恐ろしさを感じます.このサイトを始めた頃は,神戸市内にはたくさんのトンボが見られました.今日来たところも,以前何度もやって来たことがあります.アオヤンマ,ネアカヨシヤンマ,ヤゴをすくえばマルタンヤンマなどが採れ,チョウトンボ,オニヤンマ,コシアキトンボなどが飛び交っていました.かつて「トンボ飛び交う街 神戸」というNHKの番組に出て神戸のトンボを紹介したことがありましたが,もうあの頃の面影は皆無です.

今はほとんど何もいません.下の写真は,今日調べた一つの池です.池の上流部に湿地が見えています.さらにこの上にも池があります.集水域には水田はありません.この景色の中にトンボが全くいないのです.いや,シオカラトンボはいました.2頭だけ.こんな田園地帯,全く信じられません.


▲今日調べた池の一つ,ものすごく見た目の環境はいい.▲


▲上の写真の上側にある池.イトトンボ1匹飛ばない.▲

さらにいくつかの谷筋の池に入ろうとすると,あちこちに「立入禁止」の立て札が立っています.最近よくニュースになる作物の泥棒でも入るのでしょうか? 入るなという根拠が何も書かれていないので,おそらく農家の方が入ってきてほしくないからなのでしょう.私有地ならそう書くはずですから.こんなこともあり,トンボを調べられません.神戸市内ではだんだんとトンボの調査がやりにくくなってくることを感じます.六甲山などでも,観光開発のせいでしょうか,あちこち立入禁止になっていますし,車を止めるのも駐車料金がいります.先日ムカシトンボを見に行ったときは,駐車料金や交通機関のお金で2,200円ほどかかりました.

このサイトのタイトルは「神戸のトンボ」ですが,なんか,神戸にはたくさんのトンボがいるという紹介ではなく,「トンボが衰退していく街 神戸」の記録になりそうで悲しいです.

ということで,今日は愚痴ばかりになりましたので,「観察記」ではなく「エッセイ」にしました.

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