No.825. コサナエたちはまだまだ草原で遊んでいる.2022.4.28.

今日は快晴の一日だそうで,コサナエたちの成熟状況を観察に行きました.今年はフタスジサナエが早くから羽化していたので,産卵に来ることも期待しました.まずはタベサナエから...

▲タベサナエのオス.もう成熟して湿地に出ている.▲

▲タベサナエのメス.まだ複眼がちょっと濁っていて,成熟まであと一歩.▲

タベサナエは湿地の周辺にたくさんいました.オスは成熟している個体もいくらかはいましたが,メスはまだどれも成熟まであと一歩の状態に見えました.もっとも,成熟した個体は隠れているのかもしれません.たくさんの半成熟個体は草むらを行ったり来たりして飛んでいました.

▲まだ多くの個体が草むらで遊んでいる.タベサナエ.▲

未熟なタベサナエのメスとフタスジサナエのメスが,並んで止まっていました.

▲左がフタスジサナエのメス,右がタベサナエのメス.▲

次はフタスジサナエです.フタスジサナエは池の畔でもうたくさんのオスがメスを待って止まっていました.まだ未熟な個体もいますが,繁殖活動は一部で開始されたようです.

▲すっかりと成熟したフタスジサナエのオス.池の畔でメスを待っている.▲

▲メスの方はまだ半成熟的な個体が結構見られた.▲

しばらく産卵を待つことにしたら,合計3頭入ってきました.うち1頭はオスにつかまって道に落ちました.今日の産卵メスは2頭とも短時間で産卵を終えました.まだ成熟卵が多くないのかもしれません.久しぶりの飛翔写真であったこともあり,あまりうまく撮れませんでした.まだ草地で飛び回っているフタスジサナエも多く,本格的な産卵活動はもう少し先になりそうです.


▲産卵にやってきたフタスジサナエのメス.一番下は別個体.▲


▲産卵にやってきたメスをとらえて地面に押さえつけている.▲


▲タベサナエと同様に,まだ草地を飛び回っていた個体もいた.▲

この池には数は少なかったですが,オグマサナエも来ていました.メスは路上で未熟な個体に出会っただけでした.この池でも根気強く待てば,産卵活動が見られるかもしれません.本当にオグマサナエの産卵には出会うのが難しいと感じています.


▲オグマサナエたち.下のメスも大分複眼が透き通ってきている.▲

コサナエ属のトンボは,この産地では,今年は例年になく個体数が多いように感じます.あちこち飛び回る姿は春の息吹いっぱいです.本格的な産卵シーズンは,ゴールデンウィークの後半ごろでしょう.

コサナエ属に混じってまたこれも数が多かったのが,シオヤトンボ.すっかり成熟が進んで,多くのオスが白粉を帯び,湿地の上で激しくバトルを繰り広げていました.この成熟したてのオスの,灰青色の粉,マリンブルーの複眼,黒と黄色の胸側,橙色の縁紋,普通種ですがオシャレな色彩の組み合わせで,気に入っています.


▲成熟したてのシオヤトンボのオス.胸側に黄色と黒の縞模様が残るのがいい.▲

さて,この池での楽しい観察はこれくらいで終え,春の新出トンボを探しに行くことにしました.まず先日成虫越冬種をたくさん見た池に足を運んでみました.前にも書きましたが,ここはいつも春一番のシオヤトンボを見に来るところです.しかし今年はシオヤトンボの姿が全く消えていました.おそらく池の一方にある湿地状の彼らの生活場所が,水位の低下か何かで長期間干されていたのではないでしょうか.この池に連なる上段の複数の池も今年は水位が非常に低いのです.そのせいか,他のトンボの姿も全くありません.

成虫越冬種は冬の水位低下の影響を受けないのでたくさん集まっていたのでしょう.その成虫越冬種,今日はホソミオツネントンボが1頭いただけで,他は姿がありませんでした.もう繁殖活動期が終わったのでしょうか.今までの感覚ならゴールデンウィーク中頃ぐらいまでが繁殖活動の盛りだったように感じます.生物季節が早まっている感が強いです.そのことと関連あるようなことが,次の池でありました.ギンヤンマの産卵です.


▲ギンヤンマの単独産卵.翅はまだ輝いている若々しいメスだ.▲

4月中の産卵を見ることは今まではありませんでした.私的に,今までの最も早い記録は5月8日の産卵でした.掲示板にもギンヤンマが飛んでいる報告がありましたし,そこでは真っ赤なショウジョウトンボさえ5月25日に飛んでいたそうです.このメス単独で産卵していますが,交尾を経験しているのかなぁ.オスは全くこの地には姿がありません.

さて,最後は,アオモンイトトンボとアジアイトトンボの確認です.いつもの観察池に行きました.今年3回目になります.今日はやっと出会えました.まだ羽化したての個体がひらひら飛んでいたりして,ようやく羽化が始まったという雰囲気です.生物季節が早まったと書きましたけれども,ここのアオモンイトトンボとアジアイトトンボの出現は,例年より遅い気がします.


▲アオモンイトトンボ同色型メス.▲


▲羽化して間もないアジアイトトンボ.▲

撮影したアジアイトトンボで,腹部第9節の水色部分が少し他の腹節に広がっている個体を見ました.ちょっと珍しい斑紋異常です.


▲腹部第8節後縁と第10節にまで水色部分が広がっているアジアイトトンボオス.▲

あと,2番目に立ち寄った池で,ヨツボシトンボを1頭見ました.写真にはなりませんでしたが,最初の池ではトラフトンボが通過するのも見ました.ということで,新出トンボ5種,うち,写真は4種です.


▲最近はヨツボシトンボもうじゃうじゃいるところがなくなってきた.▲

明日はまた天気が荒れるそうです.あさって以降の観察になります.

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