No.678. コサナエ属三種のようすと… 2019.4.28.

ここのところ,連日寒い日が続いています.昨日トンボ観察に出かけようとしたら,雨がぱらついてきました.北風が吹いて寒い上に雨まで降ればどうしようもないので,昨日は中止.そして今日の方が天気がよくなるとのことでしたが,朝から曇り,雲量10の完全な曇り.風も冷たく,時々薄日が差すくらいで条件はあまりよくありません.しかし,観察が1週間空いていますので,今日は出かけることにしました.春のトンボたちは一週間でようすがガラッと変わってしまうことはしばしばですから.繁殖活動は今日は当てにせず,特にコサナエ属のトンボたちがどうしているかを観察することを目的とし,4カ所に出かけました.

▲タベサナエのオス(第二地点).今年は昨年に比べるとタベサナエの個体数が少ない気がする.
▲タベサナエのメス(第一地点).何かを食べている,もぐもぐタイム.

まずは一番気の早いはずのタベサナエ.今日は写真の2頭しか見かけませんでした.オスは体色が黄色く,オスメスとも複眼はまだ少し濁っていて,成熟している感じはありません.昨年はこの時期もう産卵が始まっていました.今年は遅いというより,例年の感じで,昨年が異常に早かったといった方がいいかもしれません.

▲フタスジサナエのオス(第一地点).まだ淡色部は黄色く複眼にも濁りがある.
▲フタスジサナエのメス(第二地点).これも成熟しているとは言いがたい.

次はフタスジサナエ.フタスジサナエもまだまだ成熟している感じはありません.まだふわりと飛ぶ感じで,ビューンと飛ぶ感じではありません.個体数はそれなりにいて,数は出ているようでした.

▲在来種のタンポポに止まるフタスジサナエのメス.

フタスジサナエは,今日もまだ羽化していました.10日前に今年初めての羽化を見たのですが,今日もまだ同じところで,羽化が続いているようです.羽化途中,処女飛行に飛んだところ,まだ翅が開いていないオスなどがいました.

▲11時少し前に羽化していたフタスジサナエのメス(第一地点).
▲池の縁を歩いたときに飛び立ったフタスジサナエのメス(第二地点).
▲処女飛行に飛び立ったあと,まだ翅が開ききっていないフタスジサナエのオス(第二地点).

これら二つの地点ではオグマサナエが見られませんでした.今日の第一地点にはオグマサナエが毎年姿を見せるのですが,今日は見つけることができませんでした.今年はまだオグマサナエに出会っていないこともあり,確実に見られる場所(第三地点)へ足を運ぶことにしました.

▲オグマサナエのオス(第三地点).淡色部の黄色味が取れて成熟が進んでいる個体だ.
▲オグマサナエのオス(第三地点).こちらの個体はまだ体色が黄色く未熟と言えそうだ.
▲オグマサナエのメス(第三地点).複眼がまだ白っぽく未熟なメスである.

オグマサナエも,タベサナエに負けないくらい早く出てくるトンボですが,こちらもまだ十分に繁殖活動が行えるほど成熟していないような感じでした.いちおう池の周囲も歩いてみましたが,サナエトンボの姿はまったくありませんでした.オグマサナエの方は例年並みの個体数が見られました.

▲オグマサナエのオスたち(第三地点).寒いのか明るいものに貼り付くように止まっている.
▲送水管に止まるオグマサナエのオス(第三地点).

コサナエ属三種は,いずれもまだ十分に成熟していませんでした.繁殖活動の観察は,あと一週間ほどしてからの方が良さそうです.

さて,それ以外のトンボたちも,もちろんいましたので,それらを紹介しておきます.まずはシオヤトンボ.

▲青白い粉を吹き始めたシオヤトンボのオス(第二地点).
▲成熟した感じのシオヤトンボのメス(第二地点).

シオヤトンボは,今日の観察地すべてで,その姿を見ました.オスはもう青白い粉を吹いていて成熟しているものも多く,湿地でメスを待っていたり,交尾している個体も見られました.

▲シオヤトンボの交尾(第二地点).交尾は3組見られた.

歩いていますと,いかにも産卵しそうな水田で交尾しているペアがいました.これはここで産卵するに違いないと考え,ちょっとしつこく追うことにしました.何しろ成虫越冬種をのぞけば,今年初めての産卵観察になります.と言って,毎年シオヤトンボの交尾は観察しているのです.ごく普通種なのにねぇ.一番に出てくるトンボの特権です!?.

▲水田の横の草地で交尾しているシオヤトンボ(第二地点).

交尾を解いた後,メスは3分ほど静止して,おもむろに飛び立って産卵を始めました.シオヤトンボの産卵は,いわゆる飛水産卵で,畦近くの水面で産卵するものと思い,動きを追いながら,落ち着いて産卵を始めるのを待ちました.ところが,水を張った水田の中央で産卵を始めたのです.しかも,飛水動作は見られず,チョンチョンと,浮かんでいるアオミドロに卵を貼り付けるような動作で産卵をしているのです.

▲水を張った水田に浮かぶアオミドロをねらって産卵を始めた.
▲打水した瞬間.水滴を前方に飛ばさず,アオミドロに卵を貼り付けるように腹端を置く動作.
▲産卵を続けるシオヤトンボのメス.

トンボの産卵様式も,時と場合によっていろいろと変化するのですね.卵をどのように置くのか,考えながら産卵様式を決めているように見えます.でもトンボは考えたりしないでしょうから,なぜこの場合に飛水行動が引き起こされないのか,不思議です.飛水する目的は,卵を植物などに貼り付けることでしょうから,この場合はアオミドロに貼り付けるという目的であれば,飛水しない方が目的に合致しています.トンボの行動は奥深いです.

さて,これ以外には,今日寄った第四地点の池で,クロイトトンボが次々に羽化して飛んでくるのを見ました.クロイトトンボの羽化の最盛期に入っているようです.しかし,毎年ここで見るヨツボシトンボやトラフトンボの姿は,まったく見られませんでした.

▲クロイトトンボのメスの処女飛行個体(第四地点).
▲オツネントンボが1頭だけ止まっていた(第四地点).シャッターを切った瞬間に飛び立った.

ということで,今年はまだまだ春のトンボが池を賑わすという所まではいっていなくて,もう少し時間がかかりそうです.明日夕方から雨になるようで,この雨が終わって,連休後半の晴天くらいがちょうど観察時かも知れません.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 パーマリンク