No.610. トンボの状況調査とヤブヤンマ.2018.7.13.

今日は兵庫県北部に,大雨の後のトンボの状況を調査に行きました.そして,ヤブヤンマとヒヌマイトトンボの産卵を観察できたら,それもやってみようという予定で出かけました.結果を先に言うと,兵庫県北部では,トンボの減少はそれほど大きく感じませんでした.追々紹介していくことにしましょう.では最初にヤブヤンマから始めます.これは順序としては最後から二番目に観察に行ったものです.この時期,ヤブヤンマは少し早いかなと思いながらも,成熟したてのメスは淡色部にまだ緑色が出ていないので,淡色部が黄色とオレンジ色の若いメスが来ることを期待していました.

▲ふわっと入ってきて止まったヤブヤンマのオス.腹部がちょっとへこんでいる.

▲2頭目のヤブヤンマのオス.こちらは若くて新鮮な感じがする.

お昼頃現地に入りますと,オスが入ってきました.やはりもう繁殖活動を始めているようです.オスは2回入ってきて止まりました.結構敏感で,近づくと,さっと飛んで逃げ去ってしまいました.暑い時間帯ですので,日陰で腰を下ろしてゆっくりとメスを待ちました.池ではシオカラトンボが山のように集まって繁殖活動をしています.その中にヤブヤンマのメスのようなものが飛んだので,そちらの方へ移動すると,オオシオカラトンボが目の前で産卵していました.ヤブヤンマが気になりましたが,ヤブヤンマは産卵を始めたら30分以上は軽く続けていますから,ちょっと後回しにして,オオシオカラトンボの産卵を記録に収めました.たくさんオスがいるので,警護はしっかりとやっていました.

▲警護産卵をするオオシオカラトンボのペア.

▲連続打水産卵するオオシオカラトンボのオス.

▲水際の泥面を打つメスとそれを見守るオス.

▲水が前方に飛んでいる.飛水産卵.

▲顔シリーズで最後を締めくくる.オオシオカラトンボのメスの顔.

オオシオカラトンボが産卵を終えたので,ヤブヤンマのメスを探しに戻りました.目算はバッチリ当たっていて,ヤブヤンマの若いメスが産卵をしているのを見つけました.実はこれは2回目で,1回目はかなり敏感なメスで,5mほど近づくと,さっと飛んで遠くへ行ってしまうほどでした.そこで,慎重にも慎重を重ねて,近づきました.でも,やはり気配を感じて飛び上がり,ホバリングします.

▲動くものの気配を感じると,飛び立ってしばらくホバリングして様子を確かめる.ヤブヤンマのメス.

ヤブヤンマは産卵場所に入ったときが一番敏感なようで,近づくのは容易ではなく,また逃げることもままありますが,いったん産卵を始めると簡単には産卵を中断しないようなところがあります.オオシオカラトンボの相手をしていたのがよかったようで,このメスはすでに産卵への執着状態にありました.私が近づいて飛んだ後,なんと,私の足下の方へ移動してきました.動く気配には敏感ですが,私が人間であるということはまったく分かっていないということですね.ということで,産卵を眼前30cm(近すぎる)くらいのところで観察できました.

▲コケに産卵するヤブヤンマのメス.

▲朽木に産卵するヤブヤンマのメス.

▲腹部の淡色部には緑色がまだ出ていない.成熟して間もないヤブヤンマのメス.

▲あちこち移動して産卵を続ける.

▲産卵管を抜いた瞬間.土の中に差し込んでいたことが分かる.

▲逆さまになって産卵を続けるヤブヤンマのメス.

▲少し広角側にして撮った写真.レンズの最短距離で撮影.

▲例によって顔シリーズ.若いヤブヤンマのメスの顔である.

観察は13:32から始めて13:47に止めました.産卵はまだまだ続いていますが,次のヒヌマイトトンボの予定があるためです.では続いてヒヌマイトトンボの観察です.午後に産卵するので,午後を設定したのですが,果たしてどうでしょうか.

▲ヒヌマイトトンボのオス.

▲午後2時過ぎの日向に止まっても平気である.

▲ヒヌマイトトンボの若いメス.こちらは茎の陰側に止まって日差しをしのいでいる.

▲ダニのようなものを捕食している.よく枯れ茎の表面をつつくような動きを見せるが捕食しているのだ.

▲成熟したウグイス色のヒヌマイトトンボのメス.摂食していたが産卵はしていなかった.

ごらんのように,ヒヌマイトトンボはいましたけど,産卵個体は見つけられませんでした.ヨシの間にもぐり込んでやっているのでしょうか.体がウグイス色になっている個体は1頭しか見つかりませんでした.未熟な橙色はたくさんいたのですけどね.時期がまだ早いのか,それとも,ヨシの中へ産卵に出払っているのでしょうか.それにしても,14:00から15:00という猛暑(32℃ありました)の中で日向に出て平気なヒヌマイトトンボ,いやはや負けそうです.

今日の観察はこれで終えました.では最初に戻って,大雨の後のトンボたちの状況調査です.まずは春のトンボの生き残りはいるのか,という点で攻めてみました.キイロサナエです.あちこち探してみましたら,結構生き残っていたのです.雨と飢えに強いのか,北部は雨が上がった時間帯があっで餌を食べることができたのか,よく分かりませんが,よく生き残っていました.

▲大水が出たため草に泥がついている.キイロサナエのオス.

▲まだまだ元気なキイロサナエのオス.

▲止まっている木にたくさんの浮遊物が絡みついている.大水の爪痕である.

▲大水で水の底にたくさんの砂がたまっているのだ.キイロサナエのオス.

次はクロスジギンヤンマ.これは探したわけではありません.飛んできたのを偶然に見つけたものです.産卵に入ってきました.ヤンマの産卵は,オオシオカラトンボやシオカラトンボのオスがメスと間違えるのか,よく追いかけられて産卵の邪魔をされるのです.このクロスジギンヤンマも同じであちこち逃げ回っていました.ところが,最終的に落ち着いたのが,これまた私の足下.人間がいるので,シオカラトンボたちの邪魔が入らないからでしょうかね.ということで,またまた至近距離からの観察です.

▲足下に止まったクロスジギンヤンマのメス.大きく動くと逃げられそうで逆に撮りづらい.

▲まだまだ元気そうな個体である.クロスジギンヤンマは7月まで活動していることがよく分かる.

▲複眼の色が黒ずんでいて,それなりに日齢が経過していることが分かる.

次はハラビロトンボです.ハラビロトンボは春のトンボというわけではありませんけど,春から出ているトンボということで,状況を見てみました.ハエが飛ぶようなほどいた以前よりは数が減っていましたが,まだまだ元気でした.

▲ハラビロトンボの交尾.背景の草に泥がかぶっていることが分かる.ここは水に浸かったのだ.

▲ハラビロトンボの交尾.カンガレイの茎にも泥がついている.

▲交尾を終えたメスはしばらく静止する.このあと産卵場所を求めて飛び回っていた.

▲老熟したハラビロトンボのメス.豪雨を乗り切った感がある.

可憐なハッチョウトンボは生き残っているかなと,行ってみましたところ,何事もなかったようにたくさんいました.羽化直後のメスもいて,まだまだしばらくは繁殖活動が続きそうです.

▲ハッチョウトンボのオス.豪雨の影響をまったく感じないきれいな状態である.

▲こういった小さいトンボは,雨でもうまく隠れることができるのだろう.

▲今日羽化したと思われるハッチョウトンボのメス.まだまだ繁殖活動は続きそうである.

この間近場を回ったときに見つけられなかったコフキトンボもいました.嬉しいことです.よくぞ生き延びた.

▲生き延びていたコフキトンボのオス.

では続いて夏のトンボたち.まずはハグロトンボ.オスたちは流れの草に止まってメスを待っていました.産卵しているメスもいました.ハグロトンボがいつもたくさん集まるコカナダもが大水で流されたためでしょうか,きれいな水の流れで産卵するハグロトンボが撮れました.いつもごちゃごちゃした風景になるのですが,今日は,アオハダトンボみたいな絵になりました.オスは結構メスにディスプレイ的な行動を見せていました.

▲ハグロトンボのオスとメス.オスは腹部先端を反らして白色部を見せている.

▲ハグロトンボの産卵.

▲コカナダもが流されて,こういった場所に産卵すると,アオハダトンボ的である.

▲翅もきれいで成熟したての若いメスである.

キイトトンボは,文字通り,うじゃうじゃいました.イトトンボたちは,1週間ぐらい続く雨でも平気なんでしょうかね.アジアイトトンボが産卵しているかと思って写真を撮ってみますと,オオイトトンボの単独産卵でした.大きさはアジアイトトンボと間違うくらい小さいです.多分二化目でしょう.

▲緑型のメスを従えるキイトトンボ.

▲黄色型のメスと産卵をするキイトトンボのペア.

▲小型のオオイトトンボの単独産卵.

あと,ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,コシアキトンボ,ウチワヤンマなど,定番のトンボたちも元気でした.

▲ショウジョウトンボは相変わらず元気である.

▲橙色味を帯びたショウジョウトンボのメス.

▲シオカラトンボのオス.意外と真横から撮ることはない.

▲シオカラトンボのメスは,水辺を離れて休んでいる個体が多かった.

▲個体数は少なかったが,コシアキトンボも他のトンボに混じって飛んでいた.

▲ウチワヤンマのオス.翅にくすみが感じられ,雨をのりきったことが分かる.

そんなトンボたちの写真を撮っていると,オオヤマトンボが目の前に産卵はいりました.なかなか目の前にはいることはないのでちょっと興奮しました.しかし,シオカラトンボが,メスと間違うのか,追いかけ回し,オオヤマトンボは数回打水した後,どこかへ行ってしまいました.シオカラ君邪魔しないでください.完全ピンボケですが片隅にお邪魔虫シオカラ君の証拠写真を載せておきます.

▲オオヤマトンボの産卵.体をひねっていることが分かる.

▲体を岸の方にひねって打水した水を飛ばす.枠内はシオカラトンボが追うところ.

▲岸辺を往復して産卵を続けるオオヤマトンボのメス.

今日は午前中は走り回り,午後はゆっくりと粘る,そんな観察日でした.ということで,今日の観察順にはなっていませんが,見たトンボを紹介しました.写真に撮れなかったものではギンヤンマ,クロイトトンボが飛んでいました.アキアカネのテネラルなのも1頭いました.あまり豪雨によるトンボの減少を感じなかった今日の観察でした.

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