No.605. ハッチョウトンボの観察.2018.6.24.

データ放送の天気予報によると,今日は北部の方が天気が良さそうなので,一路北を目指して出かけました.今日は特にねらいを絞れなかったので,行った先でたくさんいるトンボの記録を撮ることにしました.夏のトンボは種類が多いので,最初のうちはこの方式で観察するのがベストです.現地に着いて周辺を一回りした結果,ハッチョウトンボの個体数が多かったので,今日はこれをメインターゲットにしました.

▲ハッチョウトンボのオス.今日はざっと数えただけでも30頭を超える数が出ていた.

▲ハッチョウトンボのメス.オスに対してメスの姿を,産卵時以外にはまったく見つけられなかった.

▲あちこちに止まっているオスたち.右上のような未熟な個体は少なかった.

▲ハッチョウトンボのオスたち.成熟直前と思われる個体が腹部挙上姿勢を取っている.

オスはたくさん湿地に出ていました.ハッチョウトンボは生息場所にオスとメスがいっしょに生活しているのをよく見ていました.そこで周辺の草むらを探しましたが,いくら探してもメスは見つかりません.上のメスは,産卵に来たメスです.

さて,観察のメインは繁殖活動です.オスは私が到着したときから縄張り活動をやっていました.ものすごいスピードでぐるぐる回りながら追いかけっこをしています.さすがにこれはカメラには無理,小さい上にすばしこい.ビデオ向きの被写体ですこれは.以前の観察で産卵にやって来るのはお昼頃でしたので,先に昼食を済ませて,待ちました.11:52,オスがメスを捕まえて交尾に入るのを目撃しました.このペアの写真はすべてピンボケ,オートフォーカスってこんなことがあるのですね.でも今日はオスがたくさん出ていたので,また来ると信じて次を待ちました.12:03,またオスがメスを捕まえて交尾態になりました.

▲12:03,ハッチョウトンボの交尾.足下にメスが入ってきたので最初から観察.本日2回目の産卵観察.

▲交尾が終わると,メスは交尾のために止まっていた草と同じ草に短時間静止する..

今度はすべてマニュアルフォーカスにしました.短時間の交尾が終わるとオスはメスを放して近くに止まります.メスは交尾していた草に止まることが多いです.ちょっとの間静止状態が続いてから,メスは飛び立ち打水産卵を行います.しかし,オスが執拗に追いかけ回すせいか,すぐに止まってオスの関心をそらせます.不思議なんですが,メスが止まってしまうと,ほとんどの場合オスはそのメスに関心を寄せません.今日1回目の産卵の時はその例外で,止まったメスにオスが襲いかかり,嫌気がさしたメスが飛び去りました.なので,1回目の産卵観察はとても短時間でした.

▲産卵は忙しい.打水産卵ではあるが,あちこち敏捷に移動して産卵する.

▲数回打水したかと思うと,湿地の草に静止する.

▲メスは常にと言っていいほど,オスに追いかけられながら産卵をしている.

最初に交尾したオスは必死で他のオスを追い払おうとしますが,いかんせん,オスが多すぎます.メスは他のオスに捕まって再交尾します.そしてまた同じように交尾が終わると,オスはメスを放し,メスは交尾していた草に止まってつかの間静止しています.この瞬間をうまくカメラに収めることができました.交尾していたのと同じ草に止まる様子が分かると思います.草についている葉の形をよく比べると.同じ草であることが分かります.

▲とうとう別のオスに捕まってしまい,再交尾を強いられる.

▲上の交尾ペアのオスがメスを放した瞬間である.メスはオスに摑まっていたので空中に放り出される.

▲オスに放り出されたメスは,とりあえず目の前の草,つまり交尾していた草に止まろうとする.

▲止まると,短時間じっとして,その後産卵を再開する.上の4枚,同じ草であるのが分かる.

そして再び飛び立って産卵を開始します.最近はトンボの数が減って,オスの密度が低い状態で産卵するのを見ることが多くなりました.そんな場合,メスはほとんどオスに煩わされずに産卵を続けられます.でもものすごい数のトンボがいたのが普通だった昔,メスの産卵は本当に大変な仕事だったのだろうと想像できます.

▲産卵を再開したメス.湿地面に向かって打水地点を確かめているのか?.

▲打水の瞬間は撮れなかった.これは打水直前であろう,腹部が下を向いている.

▲この翅の動きから,ホバリングしているのがわかる.

▲そしてまた止まるのだ.メスは本当に産卵中によく止まる.

その後も,飛んで産卵しては止まり産卵しては止まりを繰り返しました.すると,また別のオスがこのメスを捕まえて交尾をしました.一度の産卵で三度目の交尾です.ショウジョウトンボやヨツボシトンボなどでも,こういった複数回交尾はよく見られます.交尾が終わるとまた同じ草に止まり,そして産卵再開と,本当にパターン化した産卵行動です.メスも慣れたもんですな.

▲今度は止まっているところから….

▲産卵再開.しかしこのあとすぐにまた別のオスに捕まるのだ.

▲1バッチの産卵の間の,3回目の交尾である.多分全部異なるオスであろう.

▲交尾のあとは同じ草に止まるのはまったく同じ.

▲オスはメスから少し離れたところに止まる.

▲産卵再開!.

▲動きが非常に素早いが,珍しく多くにピントが来ていました.

▲これが最後の静止.12:09.メスの産卵ミッション完了.ご苦労さんでした.

上の写真の最後の静止のあと,メスは飛び去りました.産卵終了です.12:09でした.さて,ハッチョウトンボの産卵を観察していると,キイトトンボが私の気を引こうと?目の前で産卵をしてくれています.赤いハッチョウトンボの次に黄色いイトトンボです.まだキイトトンボは本格的なシーズンというほどではありません.未熟な個体が,草むらなどにたくさん群れていますから.あと,1週間もすれば本格的なシーズンインとなるでしょう.

▲キイトトンボの連結植物内産卵.

▲これは上とは異なる個体である.

▲陰でストロボを焚くと夜みたいな写真になってしまった.

▲上のペアが飛び立った瞬間.

▲キイトトンボの成熟オス.草むらに入るとたくさん止まっていた.

▲情けない話だが,これはオスかメスか? いちおうメスと判断している未熟なキイトトンボ.

さて,あとはその他のトンボたちの状況を記録しておきましょう.まずは交尾を二題.オオイトトンボとモノサシトンボです.モノサシトンボはあちこちの池で姿を見せ始めています.もう少し季節が進めば個体数はもっと多くなるでしょう.オオイトトンボの方は4月から活動していましたので,もう2ヶ月になります.ずっと,繁殖活動を継続していますね.

▲オオイトトンボの交尾.今日はオオイトトンボの産卵よりは交尾をよく見かけた.

▲モノサシトンボの交尾.メスが重いのか,いつもだらんとした交尾をしているように思う.

シオカラトンボやショウジョウトンボは,もうすっかりシーズンインして,観察に来るたびに繁殖活動を見ることができます.今までこういった普通種をおろそかにしてきたので,今年はていねいに記録を撮っていくつもりです.

▲シオカラトンボの交尾.

▲産卵するシオカラトンボのメス.

▲ショウジョウトンボのオス.鮮やかさが少し消えて日齢が経っている.

▲連続打水産卵するショウジョウトンボのメス.このメスも複数回交尾を強いられていた.

シオカラトンボに混じって飛んでいたのが,なんと,ヨツボシトンボです.だいたい5月の連休あたりがピークのトンボです.もう,同時期のコサナエもトラフトンボも姿を消していましたが,ヨツボシトンボの老熟個体が,元気に水面でシオカラトンボと渡り合っていました.また日陰ではネキトンボが羽化していました.このネキトンボ,羽化殻が腹にくっついています.羽化殻ついでに,ネキトンボの羽化殻と,別の池に付いていたコフキトンボの羽化殻と成虫も記録しておきました.さらにオオシオカラトンボもついでに.

▲この時期になるともう希少価値のあるヨツボシトンボ.

▲羽化したネキトンボのオス.腹に羽化殻がくっついている.一体どうなっているんだろう.

▲左:コフキトンボ,右:ネキトンボ,それぞれの羽化殻.

▲別の池での撮影.コフキトンボのオス.大分老熟してきている.眼が真っ黒.

▲オオシオカラトンボのオス.ここにはメスは現れなかった.

羽化といえば,アキアカネの未熟な個体もあちこちで見られました.やはり日向は暑いのでしょうね,日陰の草の中にもぐり込むようにして止まっている個体が多かったです.弱々しく飛ぶアキアカネのテネラルな個体は,他のトンボたちの格好の餌になるのでしょうか.シオカラトンボがアキアカネを食べていました.

▲アキアカネのテネラルなオス個体.

▲アキアカネのテネラルなメス個体.

▲テネラルなアキアカネをおいしそうに食べているシオカラトンボのメス.

最後に,実は今日も密かに期待していたヤマサナエの産卵,オスはいましたけれども,産卵は今年は観察できずに終わりそうです.ヤマサナエはキイロサナエに混じって頑張っていました.

▲ヤマサナエはまだまだ元気である.

▲キイロサナエのオス.今はこっちがシーズンだ.

この他にもトンボはたくさんいました.ホソミオツネントンボ,モートンイトトンボ,クロイトトンボ,セスジイトトンボ,クロスジギンヤンマ,ギンヤンマ,ウチワヤンマ,コオニヤンマ,オオヤマトンボ,コシアキトンボ,チョウトンボなどです.全部で24種類,6月は本当に種類数だけは多く見られる時期です.

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