No.602. ハラビロトンボの観察.2018.6.21. Part-1.

観察に少し間が空きました.所用と好天の日がうまくマッチせず,先週末の快晴の日には,ひたすらお仕事をしていました.やや欲求不満気味の状態でしたが,今日は予報では晴れるとのこと.梅雨前線から遠い北の方がいいだろうということで,兵庫北部へ出かけてきました.ねらいはたくさんあって,モートンイトトンボの交尾観察,キイロサナエの産卵観察,ハラビロトンボの繁殖活動観察,ヒヌマイトトンボの状況調査,アカネ属の状況調査などです.このうち,キイロサナエについては Part-2.で紹介します.

まずはハラビロトンボから.ハラビロトンボは春早い時期から出現しています.いつ生息地を訪れてもたくさんいるので,かえっていつでもよいなどと考え後回しになってしまいます.今日は繁殖活動を記録することを第一のテーマにしました.ハラビロトンボは今日もたくさん羽化しており,まだまだシーズンたけなわといった感じでした.

▲羽化直後のハラビロトンボのオス.

▲未熟なハラビロトンボのオス.

▲色が黒くなり始めたハラビロトンボのオス.

▲青灰色の粉を吹いたハラビロトンボのオス.

オスは,黄色いうちは未熟で,繁殖行動を見かけることはありません.しかし,黒くなってくると,青灰色の粉を吹く以前であっても,交尾を行っています.一方,メスは黒くならないので,淡い色が濃く地味になっていくだけの変化です.

▲未熟なハラビロトンボのメス.

▲成熟したハラビロトンボのメス.

休耕田にはものすごい数が飛んでいました.これは他のハンターたちにとってはおいしい餌場になります.案の定,アブに捕まったテネラルなメスがいました.

▲ムシヒキアブに捕まったテネラルなハラビロトンボのメス.

10:30を過ぎたころから,ぼちぼち交尾態が飛び始めました.繁殖活動が始まったようです.交尾態のペアは,オスに追い立てられながら飛び回ります.しつこいオスをやり過ごすと,草の間に止まります.交尾は数分で終わってしまいます.

▲オスがメスを捕まえると,まず移精行動をとり,続いて交尾態で飛び回る.

▲しばらく飛んだあと,邪魔が入らなければ止まって交尾を継続する.

交尾を解くと,メスはしばらく止まってじっとしています.その後産卵場所を探して,産卵を始めます.オスは初めのうちはメスのそばに止まったり,周辺を飛んだりして警護しています.他のオスの干渉が激しいと,メスを警護する暇がなくなり,結局他のオスに取られてしまったりします.

▲まだ粉を吹いていないオスがメスを捕まえ交尾を行った.

▲メスはしばらく止まったあと,水たまりで打水産卵を行った.

打水した瞬間はうまく撮ることができませんでした.ピンボケの写真を見ると,水滴が前方に飛んでいるのが分かります.オオシオカラトンボなどと同じように,飛水産卵を行っているようです.

▲最初に交尾したオスが他のオスを追いかけ回しているうちに,このメスは別のオスに捕まった.

▲交尾したあとしばらく止まる.

▲産卵を再開したメス.草の間にもぐり込むようにして産卵をする.

さて,今日はこのハラビロトンボと同じ場所に生息しているモートンイトトンボの交尾を観察するのも目的の一つです.そのため自宅を早く出て,この休耕田に着いたのは8時過ぎでした.モートンイトトンボは,もう減り始めたのか,意外と個体数が少なく,交尾を見つけるのに時間がかかりました.

▲朝早くに交尾するモートンイトトンボ.たくさんいるときは,歩くとあちこちから交尾態が飛び出る.

本当に朝にしか交尾しないという変わった習性のトンボです.生物時計と交尾のシグナルが連関しているのでしょうか.産卵は以前に観察しましたので,今日はこのあと,ヒヌマイトトンボの状況を見に行くことにしました.

ヒヌマイトトンボの観察に来る人は,もうほとんどいないような感じです.生息地は私の背の高さをはるかにしのぐ丈の高いヨシが密生し,歩くだけでも嫌になるほどです.木道が整備されているのですが,あちこちボロボロになっていて,歩きにくくなっていました.なんとかヨシを踏み倒して水面が見えるところまでたどりついて,やっとオス2,3頭と,羽化直後のメス2頭を見つけただけでした.まだ時期が早いのでしょうか? それとも個体数が減少しているのでしょうか.また7月に入ってから再調査をすることにして,今日はここまでとしました.

▲ヒヌマイトトンボの生息環境.

▲ヒヌマイトトンボのオス.個体数が少なかったのが懸念材料である.

▲おそらく羽化直後のヒヌマイトトンボのメス.

最後に,アカネ属の幼虫を調べに行きました.ネキトンボが2頭ほど採れました.その池にはオオイトトンボがたくさん集まっており,産卵を行っていました.そこで,これを観察することにしました.

▲タンデム.単独で飛んできたメスをさっと捕まえたオオイトトンボのオス.

▲たくさんのペアが,様々の姿勢で産卵を行っていた.

よく観察していると,あちこちで潜水産卵をやっていました.オオイトトンボはよく潜水産卵をやります.水に少し色がついているので,潜ったペアは茶色っぽい色になってしまいます.

▲たくさんいたので,時にこのように同じ場所に集まってくる.

▲潜水産卵をするオオイトトンボのペア.

ということで,順調に観察を終えることができました

(Part-2.に続く)

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