No.578. タベサナエの観察.2018.5.3.

今日は雨の後の晴れ.こういった日には産卵に来る個体が多いというのが経験則です.本当は川に行きたかったのですが,昨日の雨できっと増水状態.池沼性トンボを狙うことにし,今日はタベサナエの観察としました.この付近にはオグマサナエも見られるので,ついでにオグマサナエのいる池を探してみることにしました.

朝のうちはまだ曇っていたので遅い目に出かけ,現地に入ったのは10:15くらいでした.到着時にはまだ空は曇っていて日はときどき差す程度でした.しかし池に降りると,早速タベサナエのメスが産卵にやってきました.この池は例年タベサナエの観察にやってくるところで,だいたい10:00から11:30くらいの間にメスが産卵にバタバタとやってくるのです.まず最初は10:22でした.

▲10:22,今日1回目の産卵メス.日陰の暗さに慣れていないせいか,ピントを合わせづらかった.

写真はほとんどピンボケでした.しかし,夜,写真を精査すると,1つ面白い写真がありました.腹部先端にかろうじてピントが合っている写真があったのですが,この腹部先端からまさに卵が飛び散り始めている写真です.卵はかたまりではなくバラバラに飛び散ろうとしています.またこの写真によると,岸辺に平行な位置・姿勢で産卵しているタベサナエは,卵を撒くときに体をひねって岸の方に向かって卵をまき散らす工夫をしているようです.これは後の方の写真でももう一度触れたいと思います.ピンボケ写真も簡単に捨ててはいけませんね.これ危うくゴミ箱行きでした.

▲10:22,体の腹面を岸辺の方にくねらせ,卵をまき散らそうとしているタベサナエのメス.

そのときはこの発見は知りませんから,あーあと思っていました.すると少し離れたところで産卵しているメスがいました.近づくと,産卵が終わったのか,カメラを向ける前に飛び去りました.どうもよくないスタートです.元の位置に戻ると,すぐ横でメスがオスに連結されて連れ去られていくのを目撃しました.あちこちに産卵に入りそうな気がして,さっきの位置と最初の位置とどちらで待とうかと思案し,結果,先の場所に変更することにしました.移動するやいなや,またメスが足下に入りました.10:31です.変更正解でした.

▲10:31,今日4回目の産卵メス.やっとピントの来た写真が撮れた.でも背景が暗い写真になってしまった.

今度もピンボケの連続,しかもISO感度が低すぎたためか,暗い感じの写真になってしまいました.この写真,からだをこちらの方にひねっていますけど,これは多分旋回するためでしょう.さて,ISO感度を変更し,確認している暇もなく,またメスが入りました.10:35です.

▲10:35,もう何回目か分からなくなってしまった産卵メス.水際のコケの上で産卵している.

今度は比較的明るいところで産卵してくれたので,背景の水面や岸が写りました.水際のコケの上で産卵しています.写真を確認していると,またまた来ました10:41です.

▲10:41,この個体にもピントがなかなか合わせられなかった.草の間に入り込んで産卵する.

なんか今日のメスは動きが速いものが多く,たくさんやってきてくれる割には,ピントの合った写真が撮れません.こういうときは,フラストレーションがたまってきます.オスの数もだんだんと増えてきました.私のまわりには4~5頭のオスが行ったり来たり,ホバリングしたりして,メスを探しています.メスもオスの動きが活発になってきたので,敏捷な産卵行動をとっているのかもしれません.次にメスが入ってきたのは10:47です.

▲10:47,人の陰に入るのが好きなのか,写真を気にしないメスは足下にもぐり込んでくることが多い.

これも池岸で産卵をしています.今日の産卵環境を写真で紹介しておきましょう.下の写真のような,草の生えた池岸です.

▲今日のタベサナエの産卵環境.水際の草の上で産卵している.

次に入ってきたのは11:07.これは一枚もピントが来ませんでした.でも来た証拠写真として掲載しておきます.またこの写真は,タベサナエも腹部を振って卵をまき散らしている瞬間で,その証拠写真になります.この個体,最後まで暴れ産卵と言ってよいほど,ほとんど停止飛翔することなく,あちこちへ移動して産卵していました.

▲11:07,腹部を振って卵をまき散らす.腹部第10節が屈曲していないので撒いている瞬間だと分かる.

今まで紹介した以外にも,4頭ほど産卵メスを見ていますが,離れた場所なので,もう行くのをやめてながめていました.オスたちは相変わらず追いかけ合いっこをしています.記念に一枚撮っておくことにしました.

▲オスは足下を飛び回る.オスがたくさんいると,もうほとんど人を気にしなくなる.

今日は疲れが出たのか,集中力が切れてきましたので,やめることにしました.この数日間,コサナエ属ばかり見に来ているので,ちょっと食傷感があるせいかもしれません.帰りに池を出ようとしたとき,目の前で産卵するメスがいました.帰りがけの駄賃ですね.

▲11:22,帰り際に出会った産卵メス.この個体は比較的のんびりと産卵していた.やはり足下に入った.

この一連の写真の中で卵が腹部先端の生殖口に付着しているのがありました.下の写真です.先日撮ったフタスジサナエの卵をばらまいている写真とあわせて考えると,腹部先端に突き刺さるようにして着いている卵がバラバラになって飛び散るという感じがよく分かります.そしてよく見てください.やはり,首から下を手前(岸)に向けてひねっています.比較のためのその下の写真は卵を撒く前のホバリング状態の写真で,その上とほぼ同じ角度で撮っています.これと比べてみますと,頭に対する胸の角度がより岸辺方向にねじれていることが分かります.

▲.腹部先端に突き刺さるように着いている卵塊.下と比べて手前にねじれているので胸部背面が見えない.

▲.上との比較写真.同一個体.2秒前のショット.上と同じほぼ角度から撮影.胸部背面が見える.

さて話を元に戻して,約1時間の間に目撃個体も含めると,13頭の産卵メスがやってきていました.成果は十分,ということで池を離れ,オグマサナエが集まっている池はないか探してみることにしました.しかしいたのはタベサナエばかりでした.

▲オグマサナエがいると目星をつけた池だったが,いたのはタベサナエであった.

この近くはタベサナエの数がとても多く,歩く道々コサナエ属のトンボが飛び出すのですがほとんど全部がタベサナエ.稀にオグマサナエもいますけれども.未熟なオス,成熟したオス,メスなど,この生息地一帯にはたくさんのタベサナエが生活しているようです.コサナエ属がいっぱいいるというのは,やはり春の風情です,なんて感じるのはコテコテのトンボ屋だけでしょうね.

▲細流で縄張り活動するタベサナエ.

▲歩く道々止まっているタベサナエたち.上から,未熟オス,成熟オス,メス.まだまだいっぱいいた.

以上で今日の観察を終えました.やはりオグマサナエの産卵観察は,オグマサナエしかいない池で待つよりないようです.一つだけ知っている池があるので,望みはうすいですが,この連休中に一度攻めてみることにしましょう.

▲オグマサナエのオス.タベサナエに混じってときどき発見できる.

ところで,実は今日はホソミイトトンボもひそかなねらいだったのです.タベサナエの池にときどきやってきていましたので.でも,今日も姿なし.今年の春は成虫越冬性トンボに出会えない年です.あと,この時期に兵庫県南部で見ておきたいトンボの生態は,やはりトラフトンボの卵塊づくりと,オグマサナエの産卵です.この連休もう一踏ん張りしてみましょう.

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