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神戸のトンボたち 3
西区を中心とした丘陵・平野
−池沼性トンボの宝庫−

 西区を中心とした田園・丘陵地帯は,雑木林とかんがい用ため池,それに最近増えてきた休耕田,さらに明石川,櫨谷川 (はせたにがわ) ,伊川などの河川中流などが水環境の中心となっています.特にため池は,その数が兵庫県が全国ダントツ1位で,1998年兵庫県農林水産部の報告では44,293カ所と,第2位の広島県の20,988カ所を倍以上引き離しています.この一部が西区に分布しているのです.したがって,西区は,これらを生活場所とする池沼性のトンボの宝庫となっています.これは表1をみればはっきりとしています.

 雑木林とそれに囲まれたかんがい用ため池では,アカトンボの数が特に多くなっています.ナツアカネアキアカネリスアカネコノシメトンボマユタテアカネナニワトンボなどが見られます.放置されて抽水植物が繁茂したため池では,キトンボネキトンボマイコアカネなどが見られます.湿地状になった休耕田では,それに適応したヒメアカネエゾトンボなどが見られます.


 ヤンマ類も西区の田園地帯には種類が多いようです.盛夏の夕方谷すじに入って行くと,ヤブヤンマギンヤンママルタンヤンマカトリヤンマをはじめ,ネアカヨシヤンマも飛んでいることがあります.ヨシやガマのたくさん生えたため池にはアオヤンマがいます.クロスジギンヤンマは春早く雑木林に囲まれたため池をパトロールしています.10月に入るとカトリヤンマが田園地帯や雑木林のへりを活発に飛び回っています.

 イトトンボ類も豊富です.西区,垂水区にはアオモンイトトンボキイトトンボアジアイトトンボセスジイトトンボなどが特に多いようです.アオイトトンボホソミオツネントンボも各地にふつうですが,コバネアオイトトンボムスジイトトンボベニイトトンボなどは限られたため池でだけ見いだされます.

 フタスジサナエオグマサナエウチワヤンマなどの止水性サナエトンボも多く,タイワンウチワヤンマも1990年の初記録以来,すっかり神戸のトンボの一員になってしまいました.

 あと,トラフトンボヨツボシトンボコフキトンボオオヤマトンボコシアキトンボチョウトンボ,時にはハネビロエゾトンボが見つかります.

 明石川,櫨谷川,伊川などでは,ハグロトンボキイロサナエホンサナエなコヤマトンボどが確認されています.ハグロトンボは押部谷町の明石川の流れには多数生息しています.

 ところで絶滅危惧 II 類のオオキトンボはわずかに残っている櫨谷町の丘陵地の草原を飛び回っていましたが,1992年以降すがたを消し,その後は西区神出町で少数がなんとか見られる状況です.1999年のレッドデータリストに新たに絶滅危惧 I 類として掲載されたマダラナニワトンボは,1960年代には櫨谷町に結構たくさんいたようですが,1990年を最後に市内では発見されていません.同じく絶滅危惧 I 類のベッコウトンボも櫨谷町に生息していましたが,これも1995年を最後にそのすがたを消しました.

 このように一方では,貴重なトンボが姿を消しつつあるのも事実です.

(次ページへ続く)
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