H073.リスアカネ Sympetrum risi risi 連結打空産卵
観察地の風景
▲まだ残暑が厳しい9月の中旬,樹林が隣接した木陰のある水落しをされたため池.
 リスアカネは夏に入るとすぐに繁殖活動を始める.もちろん個体差はあるだろうが,夏から秋のアカトンボといって差し支えない.個体数が最も多く見られるのは9月である.ツクツクボウシがまだうるさく鳴いている残暑厳しい9月,リスアカネの産卵の観察に訪れた.樹林が隣接したため池で,この時期まだ木陰がありがたい.腰を下ろして待つと,11:00ころから産卵のカップルが次々にやってくる.リスアカネはだいたいナニワトンボと同じような環境にいて,ナニワトンボも9月上旬から産卵するので一緒に見られることが多い.しかしリスアカネの方があちこちで数多く見られるし,こいつは樹林の横の道路の溝や都市公園の水たまりなどでも産卵をしている.無駄な産卵という感じであるが,これがリスアカネの戦略なのであろう.
産卵に入ってきたカップル
▲産卵に入ってきたカップル.
 産卵は,水落をされたため池の,水のない岸の上で行われる.少しずつ移動しながら,体を上下に振って卵をばらまく.激しい移動はなく,ゆっくりと前進するように産卵する.撮影のために近づくと距離を保って逃げていく.こういう観察は追いかけるより待つ方がよい.そうすると向こうから足元まで近づいてくる.
落ち葉の上をねらって卵をばらまくカップル
▲落ち葉の上をねらって卵をばらまくカップル.
 複数のカップルが同時に産卵にはいることもふつうである.あちこちで上下動するリスアカネを見ていると,まだまだ自然は残っているという感じである.
ササの近くで産卵するカップル
▲ササの近くで産卵するカップル.
 林床のササも好きで,この近くに寄って産卵したり,葉の下に潜り込んだり,いろいろと工夫しながら丹念に卵をばらまく.体をひねって,器用に茎や葉の間をすり抜ける.ササは樹林の縁に生えているので,彼らはできるだけ水際から遠いところに卵を置こうとしているようにも見える.
単独産卵
▲単独産卵.リスアカネは後半に単独産卵に移行することが多い.
 産卵の後半になると,オスはメスを放して,メスが単独産卵をし始めることが多い.そのときオスは近くを飛んだり,止まったりしてメスを警護する.単独産卵になると,上下動はほとんどなくなり,停止飛翔的に卵をばらまくようになる.
別の場所での産卵
▲別の場所での産卵.ここでも後半は単独産卵に移行した.
 この日,別に池に立ち寄ったが,この近くでもリスアカネの産卵を見た.もう13:30を過ぎていたが,日陰であれば問題ないらしい.ここは池ではなく,水田の用水路に隣接する樹林の縁にあるササ群落である.用水路には全く水はないし,横の田んぼは休耕しているので,おそらく来年になっても水は流れない.無駄な産卵ではないだろうか...