H099.ヨツボシトンボ Libellula quadrimaculata asahinai
観察地の風景
▲ヨシが生えている池岸が湿地状に広がっている池.
 ヨツボシトンボは春のトンボである.以前はヨシが生えた平地の池には何頭かが必ずいたくらい普通に見られる種であった.今ではかなり限られた池にしか見られない.どちらかというと湿地状の環境が好きで,休耕田が湿地化したところにもいたりする.
羽化そして若い個体
▲上左:羽化しているメス.上右:処女飛行で止まったばかりのオス.
 下:目がまだ透き通っていないテネラルなオス.
 ヨツボシトンボは4月の下旬から羽化が始まる.割合低い位置で羽化する個体が多い.日が昇ってからもこのように羽化途中の個体を観察することができる.羽化が終わると一気に周辺の草地や樹林の方にへ飛び去る.それほど羽化した池から離れることはないようであるが,池には姿を見せない.上の写真下は,テネラルなオスが池に姿を現したものであるが,これは珍しい.
なわばりをパトロール飛翔するオス
▲上・中右:なわばりをパトロール飛翔するオス.
 下・中左:植生の中に静止してメスを待っているオス.
 朝,ヨツボシトンボの生息する池に行くとオスが飛び回ってパトロールをしている.1秒ほどのホバリングを交えすっと右へ左へ移動する.なかなか止まらない.オスどうしが出会うと激しい追いかけ合いをする.気温が上がり暖かくなってくると,やがて止まる個体が多くなってくる.止まるとき,茎などの先端よりは,途中に止まることが多い.
メスとオスの関わり合い
▲メスとオスの関わり合い.上左:タンデム,上右:交尾.
 下:逃げて止まった若いメスを追いかけ,まわりでうろうろするオス.
 メスが産卵に入ってくると,オスは一気に近寄りタンデムになる,その後移精行動をしてすぐに交尾態になる.この間飛び続けたままである.交尾は数十秒で終わる.オスはすぐにメスを放し,メスは単独で打水産卵を始める.まだシーズンの時期が早いころ,時々メスがまぎれ込んでくる.そういったメスは交尾を拒否してオスから逃げる.オスは執拗に追いかけるが,メスが止まってしまうとなすすべがないようである.まわりを未練いっぱいに飛び回る姿が見られる.
産卵するメスたち
▲上:産卵に入ったメス.下左:産卵メスに近寄るオス3頭.下右:抽水植物の間で産卵する.
 メスの産卵はとてもせわしない.まず打水して飛び上がる高さが非常に高い.また一ヶ所でじっとすることなく,あちこちへ移動しながら打水する.抽水植物の間に潜り込んで産卵することも多い.産卵メスを見つけたオスは交尾をしようと近寄る.そうすると警護しているオスとにらみ合いになる.時には複数のオスがぶつかり合うことがある.
産卵のために向きを変えて飛び回るメス
▲産卵のために向きを変えて飛び回るメス.下:打水の瞬間.水が前方に飛んでいる.
 メスは腹部が太く短いので,筋肉の塊のように力強く動き回る感じに見える.打水産卵ではあるが,打水した瞬間水が前方に飛ぶ,いわゆる飛水産卵を行っている.数分間の産卵が終わると,一気に池を後にして飛び去る.
休憩するオスやメスたち
▲休憩するオスやメスたち.
 お昼過ぎになると,産卵のラッシュも一段落し,オスたちは止まって動きが鈍くなる.こんなときメスはめったに池にはいない.上の写真のメスは,そういう意味では珍しい.ただこのメスは少し体の障害があるようだ.